オープンキッチンが主流となりつつある新築住宅ですが、中でも悩ましいのが冷蔵庫の位置ではないでしょうか。
注文住宅で設計が自由であったとしても、冷蔵庫は大きな家電のため、置き場所にはかなり気を使います。
隠すにしても見せるにしても、打ち合わせの初期段階から考えておかないと間取りがまとまりません。
適当に決めると後悔してしまうでしょう。
この記事では、冷蔵庫の位置決めの失敗例と確認ポイントなど、事前に知っておくべきヒントを紹介します。
後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。
目次
冷蔵庫の位置の失敗例
情報を集めて納得して冷蔵庫の位置を決めても、住んでみてから「思っていたのと違う」となりたくありませんよね。
ここでは失敗例と解決方法を解説します。
大きさの認識不足
当たり前すぎて見落としてしまいがちな失敗に、冷蔵庫の大きさの認識不足があります。
冷蔵庫を家に運んでキッチンに設置してみると、店頭で見るよりも大きく、圧迫感を覚えることもあるでしょう。
重要なことは、冷蔵庫本体の幅より扉を大きく開けられるかです。
扉の内側ポケットからペットボトルなどを取り出したいとき、特に大容量サイズの場合は大きく開けられないと出しにくく、毎回になると大きなストレスです。
扉が思うように開かないという失敗を防ぐために、カタログに掲載されている「据付必要寸法図」をチェックしましょう。
「サイズはちゃんと見たはず」と思っても、もう一度、ドアを全開に開けるために必要な横幅を確認してください。
扉の向きの確認不足
冷蔵庫の扉の開く方向がキッチン内の作業動線と逆向きだった場合、かなり使いづらいことになるでしょう。
朝の忙しい時間帯では家事や雑事をしながら、同時にキッチンで朝食やお弁当づくりをするため、効率よく流れるように動ける作業動線が必要です。
使いやすいキッチンにするためには冷蔵庫の扉の向きが重要なポイントです。
奥に配置すると入り口から遠い
冷蔵庫をなるべく隠したいと考えて、キッチンの奥に配置したことで起こる失敗例は、買い物した重い食品を運ぶ距離が長くなってしまうことです。
ほかにも、家族の中で冷蔵庫から飲料水などを出したい人がいたとき、料理をしている人の後ろを通るため通路が狭くなるといった問題が起こります。
これらの解決方法としては、「キッチン手前にパントリーなど食品を保管する場所を設置する」「通路を広めに確保する」などの工夫で解消できるでしょう。
コンロとの位置関係が悪い
コンロの後ろに冷蔵庫があると、火を使っている最中に後ろで扉を開けられることもあり、落ち着いて料理がしづらくなります。
さらに、よけたり押されたりする可能性が高まり危険です。
冷蔵庫の位置はコンロの真後ろは避けるのが無難でしょう。
日差しが当たる
盲点となるのが、太陽光と冷蔵庫の位置関係です。
勝手口や窓からの強い日差しが冷蔵庫に直接当たると、太陽光の影響を受けて消費電力が上がってしまう可能性があります。
光熱費を抑えるためにも、日差しが届かない場所に設置することをおすすめします。
冷蔵庫の位置を決める確認ポイント
ここでは冷蔵庫の最適な設置場所を決めるために、押さえるべきポイントを紹介します。
見た目と機能性のどちらを優先させるか、両立させるかも検討してみてください。
作業動線を確認
キッチン内の作業動線とは、シンク・冷蔵庫・コンロの3ヵ所をつなげる三角形の移動ラインのことです。
三角形の辺に当たる距離が、手を伸ばして届くかどうかくらいの長さであれば、使い勝手がいい動線ができます。
具体的にはそれぞれの距離が2m前後、2〜3歩程度の移動距離だと理想的でしょう。
扉の向きを確認
冷蔵庫の左右どちらかを壁際にする場合、扉の開き方は壁と逆開きを選びますが、使う人の利き手や作業動線の流れも考慮して配置しましょう。
大型冷蔵庫に採用されている観音開きの扉であれば、左右どちらにも開けられるため、位置を決めやすくなります。
扉が大きく開くときの横幅と、隣りに置く食器棚や家具の奥行きにも気をつけましょう。
手前に置くメリットを確認
キッチンの手前側に冷蔵庫を配置すると、扉の開閉を気にせず、キッチンの通路を広々と使えます。
キッチンで料理をしているときでも、ほかの家族が気兼ねなく開閉できるでしょう。
乳幼児がいる場合はチャイルドゲートの外に冷蔵庫があると、ゲート開閉のひと手間によるストレスがありません。
奥に置くメリットを確認
キッチンの生活感を極力見せたくない場合は、冷蔵庫を奥に配置する方法があります。
冷蔵庫を開けたとき中身が見えないようにするためには、キッチンの片側が壁に接しているペニンシュラ型がおすすめです。
コンロの前に壁があるタイプにしたり、L字型キッチンにして冷蔵庫を横向きに配置するとよいでしょう。
その場合は複数の人がキッチンに入ってもいいように、通路は広めがよいでしょう。
搬入経路を確認
冷蔵庫の寿命は8〜12年、主要メーカーの部品保有期間は9年とされています。
冷蔵庫を買い替えたときの搬入経路も想定しておきましょう。
故障だけではなく、「子どもが成長期なので食材を多くストックしたい」「夫婦二人だけで食事するようになった」など、ライフステージの変化によって冷蔵庫の買い替えのタイミングがくる可能性があります。
現在使用している冷蔵庫より容量が大きい冷蔵庫に変える場合でも、搬入できるだけのスペースを確保しておきましょう。
キッチンの作業動線から考える冷蔵庫の位置は?
ここからは、作業効率を優先する場合におすすめしたい、冷蔵庫の設置場所を紹介します。
ダイニングから近い
ダイニングから近い位置に冷蔵庫を置くと、食事中に必要になった調味料や冷蔵庫に入れておいた惣菜などをテーブルに出しやすく、頼まれた人もそれほど面倒を感じないでしょう。
子どもに手伝わせたとき、誰かとぶつかったりする危険もないため安心です。
リビングからも近ければ、くつろぎタイムに欲しくなったお酒なども取りに行きやすいメリットがあります。
キッチンカウンターから近い
オープンキッチンの場合、コンロやシンク以外にもキッチンカウンターを使う場面も多くなります。
電子レンジや炊飯器を置くだけという場合もありますが、野菜を切ったり料理の盛り付けにと、頻繁に使う家庭もあるでしょう。
その動線の延長上に冷蔵庫があると、冷蔵庫から取り出す食材とキッチン家電が近くなり、利便性が高まります。
キッチンの見た目から考える冷蔵庫の位置は?
料理中の動線や利便性よりも、キッチン空間のおしゃれ度を重視したい方もいるでしょう。
ここからは、見た目を優先したい場合の冷蔵庫の配置の仕方を紹介します。
キッチンの奥に配置
冷蔵庫を隠す方法として、上述したペニンシュラ型キッチンを採用するのが一般的ですが、キッチンの奥に冷蔵庫を置くための専用スペースをつくる方法もあります。
コンロやシンクの奥側やキッチンカウンターのさらに奥など、かなり横幅を必要とする間取りとなるため、設計者と相談しながら検討してみましょう。
パントリーに配置
キッチンの奥に配置するもうひとつの方法として、キッチン奥にパントリーを作り、その中に冷蔵庫を入れることも考えられるでしょう。
パントリーにほかの家電も収納し、扉をつけてしまうと完全に冷蔵庫が隠れてしまうため、かなりすっきりとしたキッチンが実現できます。
ただし、作業動線が長くなるのがデメリットなので、よく検討しましょう。
収納扉で隠す
すべての生活感をしっかりと隠したい場合、壁側のキッチンカウンターごと引き戸の扉で隠すレイアウトもあります。
キッチンカウンターの並びでダイニングに近い場所に冷蔵庫を配置すれば、料理中以外は引き戸の一部のみを開くようにして、冷蔵庫の扉を開けることもできるでしょう。
実は難しい冷蔵庫の配置をしっかり検討しよう
冷蔵庫の位置決めの失敗例や確認ポイントなど、事前に知っておくべきヒントを紹介しました。
大きな家電である冷蔵庫の位置は、一度決めるとなかなか配置換えができません。
新しい家でどんな生活を送りたいかを想像しながら、家族の生活動線や作業動線をできるだけ妨げないような場所に冷蔵庫を配置しましょう。
家族それぞれの利き手によっても使い勝手が変わりますが、一番キッチンを使う人を基準にして冷蔵庫の扉の向きを決めるとよいでしょう。