注文住宅やリフォームの場合、縦型式やドラム式の据え置きタイプの洗濯機だけでなく、ビルトイン洗濯機が設置できます。
ビルトイン洗濯機は欧米では標準装備されていますが、日本ではあまりなじみがなく、実物を見たことがない方もいらっしゃるかもしれません。
ビルトイン洗濯機は据え置きタイプと違って、洗濯機の配置を洗面所やお風呂場の近くにこだわる必要がなく、システムキッチンの並びや作業台の下など、自由な場所に配置することが可能です。
この記事ではビルトイン洗濯機を選択するメリットとデメリット、有名ブランド6社の紹介をしていきます。
間取りを自由にできる新たな選択肢として、ビルトイン洗濯機を検討してみてはいかがでしょうか。
ビルトイン洗濯機とは?
ビルトイン洗濯機とは、家具や棚、カップボードに洗濯機が埋め込まれているタイプの洗濯機です。
据え置きタイプに比べて無駄なスペースができないため空間を広く使えることや、シンプルなデザインが多く、欧米スタイルの憧れからスタイリッシュな見た目で選ぶ方も増えています。
据え置きドラム式洗濯機との違い
据え置きタイプのドラム式洗濯機との違いの1つに、洗濯容量があります。
日本製の据え置きドラム式洗濯機はほとんどが乾燥機付きです。容量は最大で12kg程度。
ビルトイン洗濯機の場合は、乾燥機付きのもので8kg程度の容量です。
もう1つの違いは、設置場所のサイズが異なり、排気口や排水口の位置、乾燥フィルターや洗剤投入口などが全く違うことです。
買い替えする場合は工事が必要となるため、予算や工事日程などに注意しましょう。
国内メーカーは製造中止
日本の有名家電メーカー各社は、2020年以前にビルトイン洗濯機の製造を中止してしまいました。
- 海外市場でシェアを獲得できなかった
- 日本での認知を高められなかった
現在は日本の設置代行業者を通して工事するため、アフターフォローも受けられます。
ただし、海外製の電源は200Vに対し、日本製は100Vのため、買い替えする場合は電源変更工事が必要です。
ビルトイン洗濯機のメリット
外国製家電はどれもデザインが秀逸ですが、ビルトイン洗濯機はサイズも大きいため存在感があり、設置すると部屋の雰囲気がぐっとスタイリッシュになります。
ここでは、ビルトイン洗濯機を設置したときのメリットをお伝えします。
見た目がスッキリ
開口部分が斜めになり、洗濯物が出し入れしやすいデザインのドラム式洗濯機と違って、ビルトイン洗濯機は天板や家具と一体化し、開口部分が平面的なためスッキリして見えます。
システムキッチンやテーブル、洗面所のシンクなどと一体化させることが多く、すっきりした空間づくりができるメリットがあります。
ビルトイン洗濯機は天板の高さや幅をそろえて埋め込むように設置するため、据え置きタイプの洗濯機に比べて脇や上部にデッドスペースが生まれにくく、空間を有効活用できます。
快適な動線と空間づくり
ビルトイン洗濯機をキッチンや洗濯を干すスペースの近くに設置できると、家事をラクにできます。
据え置きタイプはキッチンやリビングに置くことは難しい形状のため、洗面所など一般的なスペースに置く選択しかありません。
これに対し、ビルトイン洗濯機はキッチンシンクの下や家具の並びなどに設置しても見た目がスッキリして邪魔にならないため、キッチン空間から動かずに料理と洗濯を同時に進められるなど、家事動線を最小限に抑えられるでしょう。
デザインがおしゃれ
欧米のインテリアを雑誌などで見ると、ビルトイン洗濯機が設置されている風景が掲載されています。
現在ビルトイン洗濯機は日本製のものはなく、設置できるのは海外製のみとなるため、日本製では表せない欧米スタイル風の、雑誌にあるようなスタイリッシュな空間が実現できるでしょう。
ビルトイン洗濯機のデメリット
ここでは、ビルトイン洗濯機を設置するデメリットについてご説明します。
設備費用が高い
ビルトイン洗濯機は設置費用が高いばかりか、重量と振動があるため、床補強工事が必要です。
注文住宅の場合は事前に設置スペースを決めておけば、配管の設計などは工事の中に組み込めるでしょう。
リフォームの場合は負担が大きくなる可能性が高くなります。
修理・メンテナンスが大変
ビルトイン洗濯機の機種が少ない上に、海外製のため修理するにも部品を取り寄せたり確保したりと、メンテナンスの時間とお金がかかります。
入れ替え時はサイズを選べない
ビルトイン洗濯機を買い換える場合、埋め込んだ空間のサイズは変えられないため、買い替え以前のサイズの中から選択しなければなりません。
同じブランドで買い替えを希望しない場合は、選択できるブランドがかなり狭まるデメリットがあります。
また、据え置きタイプの洗濯機に変更する場合は、給排水接続工事やコンセントの電圧変更工事、防水パン設置など大掛かりな工事が必要になることを覚えておきましょう。
有名ブランド6社を比較
ここからはビルトイン洗濯機の有名ブランド6社の特徴をご紹介します。
Miele(ミーレ)
創業120年の歴史があるドイツ発祥の老舗メーカー。
水量や電気を自動容量検知システムが分析し、服の素材別にプログラムを設定できるのが最大の魅力です。
ほかにも自動洗剤投入や染み抜き機能、プレアイロニングなど便利で嬉しい機能が多数あります。
TEKA(テカ)
ドイツで創業したスペイン拠点の老舗メーカー。
使いやすさを追求したモダンなデザインが特徴です。
ドラムが小さな立方体のデザインになっていて、服の風合いと柔らかさを保ちます。
MAYTAG(メイタッグ)
アメリカで設立した家電メーカー。
たたき洗いが特徴で、12種類の洗濯モード・2種類の乾燥モード機能により汚れ具合や素材に合わせた洗濯ができます。
油汚れ、殺菌に効果がある煮洗いもできます。
ASKO(アスコ)
スウェーデンの家電メーカー。
ドラムと外側の箱部分が4本のサスペンションで支えられていて、ドラムの揺れをサスペンションが吸収する構造のため、2階への設置も可能です。
一般的に扉に使われるゴムパッキンがなく、出し入れ口が広いスマートなデザインの洗濯乾燥機です。
AEG(アーエーゲー)
ドイツ創業、エレクトロラックス傘下の家電メーカー。
使用水量や乾燥レベルを内蔵センサーで自動調整できます。
少ない洗濯物を15分で洗濯するプログラムや温度設定が選べる機能、ベッドリネンに特化したプログラムなどがあります。
beco(ベコ)
トルコで設立した急成長している家電メーカー。
洗濯機は16種類の設定ができ、しみ取り機能や短時間洗濯機能が特徴です。
乾燥機は省エネ効果の高いヒートポンプ式を採用し、ヒーター方式よりも衣類を傷めないで乾燥させます。
設置する際の注意点
ここではビルトイン洗濯機を設置しようと思われた際に、注意すべきポイントをご紹介します。
高さを確認
海外の雑誌で見るような、キッチンに洗濯機をビルトインする場合、欧米と日本とではキッチンカウンターの高さに違いがあります。
- 欧米:90cm
- 日本:80〜85cm
その場合、海外製のビルトイン洗濯機は高さが80〜85cm程度のため、設置する場所の床から天板下までは80〜85cm以上が必要になります。
ランドリールームなど、別の場所にビルトインする場合は洗濯機が収まるように設計してもらいましょう。
2階への配置
ビルトイン洗濯機は2階に設置することができない場合もあります。
ビルトイン洗濯機はかなりの重量と振動があるためです。
事前に設計担当者に相談することをおすすめします。
ビルトイン洗濯機は家事の救世主です
ここまで、ビルトイン洗濯機のメリットとデメリット、有名ブランドや注意点を紹介してきました。
ビルトイン洗濯機を設置すると、スマートな欧米スタイルの空間をつくることができます。
また、洗濯の家事動線がスムーズになると、家事労働の軽減にもつながります。
据え置きタイプの洗濯機によくある中途半端な隙間掃除をする手間をはぶき、空間を無駄なく使えるメリットも嬉しいポイントです。
サイズや価格などのデメリットや注意点もよく検討して、ご家庭の生活スタイルにあったブランドを導入しましょう。