「家の窓はどんな基準で選べば良いの?」と、新築・リフォームのタイミングで悩んでいる人も多いでしょう。
日本の住宅では、左右にスライドさせて開閉する「引き違い窓」が多く採用されています。
しかし、そのほかにも多種多様な窓の種類があることをご存知でしょうか?
この記事では、日本における代表的な窓の種類や選ぶときのポイントを解説します。
記事の内容を参考にすれば、あなたの家に最適な窓を見つけられるようになります。
目次
暮らしに欠かせない窓の役割とは?
「サッシ」と「ガラス」で構成されている窓は、住宅における換気・採光・眺望などの役割をサポートする働きがあります。
部屋の空気を入れ替えたり、自然光を室内に取り入れるのが主な役割。
また、外の景色を眺めることで気分転換やリフレッシュ効果も期待できます。
つまり窓は、健康的な暮らしを長く続けるうえでなくてはならない存在なのです。
窓を選ぶときに注目したい3つのポイント
窓を選ぶときには、場所・機能・大きさの3つに注目してみてください。
たとえばリビングや子ども部屋の場合、大きめの窓で「採光性」や「風通し」などの機能を重視するのがおすすめ。
お風呂などにつける窓を選ぶ場合には、小さめで「断熱性」や「防犯性」の高い窓が最適です。
このように、部屋に求められる役割を考えながら理想の窓を探すのが正しいアプローチ方法です。
サッシの種類
サッシの種類は主に4つあります。
住宅に取り入れたい機能性や予算などから選んでみましょう。
サッシの種類 | 特徴 |
---|---|
樹脂サッシ | ・断熱性、気密性が高い ・加工しやすいためデザインやカラーが豊富 |
アルミサッシ | ・加工しやすく低価格 ・耐久性が高い ・金属のため冬になると冷えきってしまい、結露も多くなる |
複合サッシ | ・複数の素材を組み合わせたサッシ 例:アルミ樹脂サッシ、アルミ木製サッシなど ・内側に樹脂や木材を用いて断熱性を高め、外側にはアルミを用いて耐久性や耐候性、防火性などを高める ・結露しやすい |
木製サッシ | ・あたたかい風合いで、日本の住宅にマッチする ・断熱性も高くおしゃれな見た目 ・耐久性に劣る |
ガラスの種類
先に紹介したサッシのように、ガラスにも種類があります。
こちらも取り入れたい機能性やコストに合わせて選びましょう。
ガラスの種類 | 特徴 |
---|---|
一般ガラス (フロートガラス) | ・透視性、採光性に優れている ・低コスト ・すりガラス、くもりガラス、網入板ガラスも一般ガラスの一種 |
機能ガラス | ・何らかの機能性が備わっているガラス ・複層ガラス、遮熱複層ガラス、高断熱複層ガラスは高い断熱性を持っている ・強化ガラスは耐風圧性能が高い |
合わせガラス | ・防犯性、防災性が高い ・ガラスの間に挟んでいるフィルムを遮音効果の高いフィルムにすると、防音ガラスになる |
販売メーカーの種類
窓の販売メーカーは、主に次のようなメーカーがあります。
- YKK AP株式会社
- 株式会社LIXIL
- 三協立山株式会社
- 旭硝子株式会社
- 大信工業株式会社
- 株式会社ウッドワン
各メーカーごとに性能や価格帯、推しポイントなどが異なります。
複数のメーカーを比較検討してから選ぶとよいでしょう。
代表的な13種類の窓の特徴を紹介
日本の住宅において、代表的な13種類の窓について解説します。
片開き窓
「片開き窓」には、部屋の内側に引いて開ける「内開き窓」と、外側に押して開ける「外開き窓」があります。
どちらも気密性や防犯性に優れている点が特徴です。
ただし内開き窓は、窓を開けたときに室内の空間を占領します。
また外開き窓は、開けるときに網戸も一緒に開かなければならないため虫が入りやすいところが難点です。
両開き窓
「両開き窓」は、海外の住宅でよく採用される窓の種類。
窓枠に蝶番を使って2枚の窓を固定するタイプです。
2枚の窓を大きく開け放つことができるため、開放感を味わえる点が魅力。
気密性もそれほど低くありません。
防犯性や安全性に劣ることから、ストッパーをつけることをおすすめします。
引き違い窓
日本の住宅の窓としてもっとも多く採用されている「引き違い窓」。
2枚備え付けられているガラス戸を左右にスライドさせて開閉し、どちら側の窓も開け放つことができるタイプです。
採光性が非常に高く、部屋を明るくしたい場合によく選ばれます。
日本においてポピュラーな窓の種類のため、デザインも豊富で安価です。
また2枚あるガラス戸のうち、1枚しか動かせない「片引き違い窓」もあります。
引き込み窓
「引き込み窓」はガラス戸が1枚で、窓を開けたときにスライドさせたガラス戸が壁の内側に収納される仕様になっています。
完全に窓を開け放てば、すべての窓が隠れて開放感が抜群です。
ただしそのぶん気密性は劣ってしまうので注意が必要です。
上げ下げ窓
縦方向にガラス戸を上げ下げしながら開閉する窓を「上げ下げ窓」といいます。
下側だけ動く種類もあれば、上側も動かせる種類もあります。
防犯性や通気性が高く、海外でもよく採用されている窓です。
ただし開閉の動作が大変だと感じる人も多く、窓の外側を手入れしづらいことがデメリットといえるでしょう。
滑り出し窓(縦&横)
「滑り出し窓」には、縦方向に窓が回転する「縦滑り出し窓」と、横方向に窓が回転する「横滑り出し窓」があります。
縦滑り出し窓は通気性が良く、窓のお手入れも簡単です。
しかし雨が窓をつたって滑り台のように室内に入ってきてしまう点はデメリットといえます。
また横滑り出し窓は、窓を開けっぱなしにしてしまっても雨の侵入はそれほど心配いりません。
ただし構造上、通気性に劣ってしまう点が難点です。
倒し窓
「倒し窓」は蝶番を窓枠の下部に設置し、ガラス戸の上部を倒して開閉する窓です。
外側に倒す場合には「外倒し窓」と呼ばれていて、火災時に煙を外に逃すように作られています。
また内側に倒して窓を開閉する「内倒し窓」は、外に障害物がある場合などに最適です。
どちらも換気用の窓として適していますが、雨天時には室内に雨が侵入しやすい点も覚えておきましょう。
突き出し窓
窓枠の上部に蝶番を設置し、ガラス戸の下部を押し出して開閉する「突き出し窓」。
完全に窓を開けると庇(ひさし)のようになるため、雨の侵入を防げます。
ただしほかの窓よりも通気性に劣る点はデメリットといえるでしょう。
また外側に窓が飛び出すため、外側のスペースもある程度確保しなければ設置ができません。
ルーバー窓(ジャロジー窓)
「ルーバー窓」は羽状のガラスを複数枚使用して、ハンドル操作で回転させながら開閉するおしゃれな窓です。別名「ジャロジー窓」とも呼ばれています。
ルーバー窓がよく採用される場所は、トイレや浴室などです。
ただし外側からドライバーなどでガラスを取り外せてしまう構造になっていることが多く、防犯性はそこまで高くありません。
そのため面格子などと組み合わせて選びましょう。
ちなみに、羽状のガラス1枚1枚に対してサッシが付いている窓は「オーニング窓」と呼びます。
天窓
「天窓」は天井に設置されている採光用の窓です。
高い位置から光を取り入れられるので、部屋がパッと明るくなります。
また天井を見上げれば、部屋の中にいても空を眺められるので、開放的な空間をデザインしやすい点もメリット。
日当たりが良すぎると室内の温度が上がりすぎてしまうので、設置場所には十分気を付ける必要があります。また、高い位置にあることからメンテナンスには手間がかかります。
出窓
壁から外側に突き出した窓を「出窓」と呼びます。
出窓は正面・右・左の3方向に窓が設置されているため、視界が広く景色を楽しめる点がメリットです。
また外側に突き出した形から、室内に奥行きが出て部屋が広く見えます。
出窓のスペースを活用してインテリアを楽しむ人も多いでしょう。
しかしメリットばかりではありません。出窓の空間では空気が滞留しやすいため、夏は暑くなり冬は結露に悩まされることもあるでしょう。
スリット窓
「スリット窓」は細長い形状の窓で、「縦スリット窓」と「横スリット窓」があります。
スタイリッシュでおしゃれな印象を与えてくれるため、インテリアにこだわりがある人にもおすすめです。
縦スリット窓は天井を高く見せるのに効果的で、横スリット窓は設置場所によって採光性を高めてくれる特性があります。
ただし窓自体が細いため、天候や設置位置によってはあまり光が入ってこない場合もあります。
はめ殺し窓(FIX窓)
「はめ殺し窓」は完全にガラスを固定して開閉しないようにした窓です。
これは眺望と採光を目的としているため、空気の入れ替えはできません。
別名「FIX窓」とも呼ばれます。窓を開閉しないことから、比較的自由なデザインで楽しめる点がメリットです。
しかし壁として考えたときには、断熱性や防犯性は劣ってしまいます。
窓のことを知ってより快適な暮らしへ
日本の住宅における代表的な窓の種類を解説しました。
私たちが健康的な暮らしをするために必要不可欠な「窓」。
日本の住宅では「引き違い窓」が多く、そのほかにも「出窓」や「片開き窓」などが選ばれています。
注文住宅なら間取りに応じてどんな窓でも設置できるのが魅力です。
デザインと機能性のバランスを考えながら、理想的な窓の配置を考えてみてください。