家を建てる時や購入する時に知っておくべきことは、山ほどあります。
その中でも決して忘れてはいけないのが耐震性や耐震等級です。
命に関わることなので、これから購入するマイホームにできるだけ長く安心して暮らしていくためにも、耐震について調べて知っておきましょう。
今回は耐震等級を中心に、建物の耐震に関する情報をまとめたので最後までチェックしてみてください。
目次
地震大国だからこそ押さえておきたい!耐震性と耐震等級の基礎知識
世界の大地震の20%はここ日本で起きているといわれています。そんな地震大国である日本に家を建てるとなると、耐震性や耐震等級については知っておきたいところ。
耐震性の重要性や耐震基準などについてご紹介するので、これから家を建てる方や土地を購入する方、リフォームをする方はしっかり覚えておきましょう。
なぜ耐震性が重要なのか
家を建てる時、耐震性が重要ということは聞いたことがあるし、多くの人がその認識を持っているでしょう。
では、なぜ耐震性が重要なのか、具体的にその理由を考えたことはありますか。意外と知らない人は多いのではないでしょうか。
過去に日本で起きた大地震を振り返ってみると、その重要性が見えてきます。
これまでに1995年に阪神淡路大震災、そして2011年に東日本大震災が起こっています。特に、阪神淡路大震災の時は建物の倒壊による被害が多く、その際に耐震基準も見直されているのです。
こういった過去の状況から、建物の倒壊を未然に防ぐ方法として、耐震性の高い住宅を建てることが挙げられます。耐震性が高ければ、倒壊する可能性は低くなり、地震が起きても倒壊による窒息死または圧死の可能性を下げることができるのです。
耐震等級とは
耐震性がなぜ重要なのかがわかったところで、次は耐震等級について解説します。
まず、耐震とは建物自体の構造により、地震の衝撃に耐えることを意味します。そして、耐震基準と耐震等級は別物ですが、どちらも耐震性能を示す指標です。
- 耐震基準
「建築基準法」及び「建築基準法施行令」によって定められた耐震性能の基準のこと - 耐震等級
建物の強さつまり強度の指針で、2000年6月に制定された品確法(住宅品質確保促進法)の一つである住宅性能表示制度で定められた基準のこと
ここで混同されやすいのが、この品確法は、建築する上での法律である「建築基準法」とは異なるということ。建築基準法の耐震基準を満たせば、耐震等級1に当てはまります。
そして、この耐震等級には3つあるのですが、詳しくは次項で説明します。
耐震等級1〜3のそれぞれの基準詳細
先ほども紹介したとおり、耐震等級には3つの段階があります。これらはあくまで基準であって、耐震等級3だから安全、1だから危ないというものではありませんので注意してください。
それでは、それぞれの基準詳細を見ていきましょう。
- 耐震等級1
建築基準法に定められた最低基準の耐震性能。基本的には一般の建物すべてが該当する。 数百年に一度程度発生する地震(およそ震度6~7、阪神淡路大震災と同程度)に対して倒壊、崩壊しない強度を持ち、数十年に一度程度発生する地震(およそ震度5)に対して損傷しない強度。 - 耐震等級2
耐震等級1に対して、1.25倍の耐震強度があることを示す。 長期優良住宅の基準にもなっている等級。 - 耐震等級3
耐震等級1に対して、1.5倍の耐震強度があることを示す。 警察署や消防署などの防災拠点になる建物の基準にもなっている等級。
SE構法は、耐震等級3に加えて全棟構造計算を入れるのが特徴です。
新耐震基準と旧耐震基準の違いは?
「旧耐震基準」は、1981年5月31日までの建築において適用されていた基準で、震度5強程度の地震でも建物が倒壊せず、破損した場合でも補修することで生活が可能な構造基準として設定されていました。
気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、旧耐震基準には震度5強以上の地震に対しては明確な基準がありませんでした。
しかし、1981年6月以降に耐震基準が見直され、「新耐震基準」となりました。
新耐震基準では、震度5強程度の地震では大きくは損傷せず、震度6強から7に達する程度の地震でも倒壊・崩壊しないというような構造基準として制定されています。
そして、さらに1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、建築における技術面をより強化し耐震性能を高めるための改定が行われました。つまり、耐震基準に関しては、過去に2回見直しが行われているのです。
気になるメリットや注目ポイント!耐震等級で知っておきたいこと
耐震性が高い家にすることで安全性や安心感があるだけではなく、他にもメリットがあります。耐震等級に関して、よくある質問や知っておきたいポイントを5つ紹介します。
長期優良住宅が認定される耐震等級とは?
まず、長期優良住宅とは「長期優良住宅認定制度」の基準を満たし、認定を受けている住宅を指します。簡単にいうと、長い期間安心して快適に暮らすことができる家のこと。
この長期優良住宅に認定されるためには、いくつかの基準があり、そのうちのひとつに耐震等級が入っているのです。
先ほど、耐震等級のところでも紹介したとおり、長期優良住宅に認定されるには、耐震等級2級以上の強度が必要です。
耐震等級によって地震保険料は異なる?
地震保険には、耐震性能に応じた割引がいくつかあり、その中に「耐震等級割引」があります。耐震等級は3段階あるということは紹介しましたが、その等級によって割引率も異なります。
耐震等級1で10%、耐震等級2で30%、耐震等級3で50%の割引
この割引は非常にお得ですね。
ただし、保険の契約開始日によっても割引率は異なります。詳しくは地震保険に加入する保険会社に確認するようにしましょう。
耐震等級3以上なら住宅ローンがお得?!
住宅ローンの一種として近年知られる「フラット35」。一度は耳にしたことがあるかもしれません。簡単に説明すると、これは、借入時に返済終了までの借入金利が確定するローンです。
この中の一つに、「【フラット35】S金利Aプラン」というプランがあります。このプランは、当初10年間金利が引き下げられるという優遇があるのです。
そして、このプランの対象となる住宅基準の一つとして耐震等級3級以上という基準があります。つまり、耐震等級3以上の家を建てる際に、このプランで住宅ローンを組むと、金利の優遇があるということです。
ただし、「適合証明書」が発行されている必要があり、細かな条件を含め、本当にあなたの住宅がお得になるのかどうかは、事前に詳しく確認するようにしましょう。
また、公式サイトに「【フラット35】S」は2021年1月に制度変更を予定しているとの記載があるので、その点も注意するようにしましょう。
家を建てるときの耐震等級はどう決まる?
耐震等級はどんな基準で決まるのか気になる人も多いはず。 マイホームをどのように購入するかにもよりますが、分譲住宅の場合は施主となるハウスメーカーがどの耐震等級で建てるかを決めます。
一方、注文住宅の場合は施主であるあなた自身が必要な耐震等級を決められるのです。どの程度の耐震等級にするかは設計図を作成する段階で決めなければなりません。
そして、耐震等級は建物の構造で評価するため、構造計算が必要なのですが、その計算方法にもいくつか種類があります。
先ほど紹介した税優遇などを考えている方は、この構造計算だけでなく検査機関によって発行される「適合証明書」の取得が必要です。そういった点もチェックするようにしましょう。
マンションの多くは耐震等級1
マンションに限らず、実は日本で建てられている住宅のほとんどは耐震等級1だと言われています。これは、冒頭でご紹介した耐震基準を思い出していただけるとその理由がわかりやすくなるでしょう。
マンションを建設するときに、建物が地震に耐える能力の基準となるのが耐震基準ですね。つまり、建築基準法に定められた最低基準の耐震性能である、耐震等級1となるわけです。
何度も紹介しているとおり、耐震等級1だから危ない、3だから安全というものではありません。実際、阪神淡路大震災では、新耐震基準で設計された建物はほとんど倒壊していないそうです。
マンションが耐震等級1であることを心配するよりも、中古マンションを購入する場合は、基準が2回改正されていることを踏まえ、「新耐震基準」を満たしているかどうかを確認するようにしましょう。
中古住宅を購入するときの耐震等級の調べ方
中古住宅を購入する時に耐震等級を知っておきたい場合の調べ方ですが、方法は2つあります。
その方法をご紹介する前に、まず思い出したいのが”耐震等級がいつ制定されたか”という点です。
冒頭でも紹介したように、耐震等級の指針ができたのは2000年6月。つまり、それ以前に建てられた建物は耐震等級1以下であるといえます。
しかし、耐震等級とは別に耐震基準はそれよりも前に改正されているため、新耐震基準を満たしているかは別途確認するようにしましょう。
住宅性能評価センターで調べる
1つ目の方法は、住宅性能評価センターで建築確認番号を伝えて調べてもらう方法です。住宅性能表示があれば耐震等級2以上ということになります。
この建築確認番号など詳しいことがわからない場合は、仲介業者さんに聞いてみましょう。
構造計算書があれば自治体で確認
2つ目の方法は、構造計算書があった場合の確認方法です。建築確認を許可してくれた自治体に、構造計算書を元に調べてもらうことができるそうです。
しかし、各自治体によっても対応は異なり、必ず調べてもらえるわけではなく、時間がかかる場合もあるので注意しましょう。
耐震等級だけでなく押さえておきたい耐震基準の3つのポイント
耐震等級が高い家なら、地震が起きても大丈夫というわけではありません。他にも大切な基準があります。
耐震基準の3つポイントを知って、その条件を満たしているのかも考えながら家を建てる計画を立てましょう。
地盤・床の強度
耐震というと建物ばかりに目をむけてしまいがちですが、地盤も非常に重要です。どれだけ耐震性の高い家を建てたとしても、地盤が緩ければ地面の揺れをが建物に伝わりやすくなってしまいます。
家が傾いたり、沈んでしまったりしては大変。家を建てる時には、地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良を行うようにしましょう。
また、床の厚さを増して、床の強度もしっかりと高めてあげることも大切です。
耐力壁のバランス
地盤や床と同じように重要なのが耐力壁です。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、耐力壁とは地震や風など、建物の水平方向からの力に抵抗する能力をもつ壁のこと。この耐力壁と床の強度のバランスも、耐震性を高める上で重要な要素のひとつです。
建物の形状
建物全体の形状も、耐震性に大きく関わります。きっと皆さんがなんとなく想像しているように、シンプルな形状で左右上下で極端に形の差がない建物の方が揺れに強く、耐震性が高いといえます。
実際、ピロティと呼ばれる、2階以上の建物で地上部分が空間になっていて柱だけで支える建築形式の建物の場合、通常の1階部分に空間がない建物と被害の差があったそうです。
個性的なデザインの家を建てたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、耐震性とのバランスを考えて設計するようにしましょう。
耐震性のある家で安心できる暮らしを
一度は聞いたことはある「耐震等級」をはじめ、耐震性の家を建てるためのポイントをご紹介しました。
耐震等級が高いから絶対安全というわけではありませんが、地震大国日本で少しでも安心して長くマイホームで暮らすためにも、耐震性を踏まえた家を購入または建てるようにしましょう。
今回ご紹介した知識やポイントはあくまで一部です。実際に建てる際には、施工会社や専門家にしっかりと詳細まで確認するようにしてくださいね。
SE構法の注文住宅は、木造住宅の良さを取り入れつつ耐震強度にも優れた良いとこ取りの住宅です。SE構法の上位会員である「重量木骨プレミアムパートナー」に選ばれている工務店に依頼すれば、予算に合わせた自由度の高い居住空間をデザインできます。こだわりのデザインと安全性を両立した注文住宅を探している人は、ぜひ一度チェックしてみましょう。