「柱のない家」は開放的で明るい空間がつくれるため、のびのびと暮らせる魅力があります。
しかし、どうやって柱をなくせるのか、柱をなくして問題はないのかと不安を感じる方もいるでしょう。
そこで、この記事では、柱のない家の構造や具体的な工法などをわかりやすく解説していきます。
自宅をつくる際に、おしゃれで開放的な空間づくりをしたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
柱のない家とは?
柱のない家とは、木造建築で使われてきた在来工法のような柱で屋根や梁、床の重さを支える構造ではなく、構造材と壁で構成される住宅のことです。
住宅を建築する方法は、時代とともにさまざまな工法が開発されています。
近年は、広いリビングが人気であるため、柱の少ない家の需要が高まっています。
柱が必要ない理由
日本で長く住宅建築に使われてきた在来工法では、耐震性や耐久性のために、柱が多く使われてきました。
しかし、現在は構造計算などで適切な柱の本数や太さ、位置を割り出すことが可能になり、従来よりも柱の本数を減らすことが可能になりました。
また、建物を支える壁の強度や、柱と土台・柱と梁などの接合部の技術が上がり、家の構造にかかる荷重を適切に支える設計がされています。
耐震性は大丈夫?
柱を少なくして耐震性を保つには、柱と壁のバランスが重要です。
そのためには柱の強度だけでなく、建物を支える壁や、柱と土台・柱と梁などの接合部の強度が必要です。
現在では、構造計算を細かく行うことで、柱の太さ、柱と壁の配置、接合部に使う金具などを割り出し、耐震性を向上させる工法が確立しています。
木造建築でも、耐震等級の高い構造の家が建てられています。
柱のない家のメリット
近年では、部屋を区切らず、広い空間として使う間取りが注目されています。
柱のない家は、そんな間取り設計を実現しやすい建築方法です。
ここでは、そんな柱のない家を建てるメリットを紹介します。
部屋が広く見えて開放感がある
部屋に柱がないと空間を広く使えるため、開放感のある空間でのびのびと過ごせます。
柱や壁といった視線をさえぎるものが少なく、屋外からの光も入りやすいので、部屋全体が明るくなります。
そのため、ゆったりした気分で生活できるでしょう。
家族とのコミュニケーションが取りやすい
柱がない家は間仕切り壁もないため、部屋の奥まで見通しが良くなります。
自分がどの位置にいても、家族の存在を確認しやすく、いつでもコミュニケーションが取りやすいでしょう。
家具などのレイアウト変更がしやすい
空間に柱のない家は、家具をどこにでも配置できます。
ライフスタイルや家族構成の変化によって、家具のレイアウトを変更するのにも便利です。
また、家全体の間取りを変更したい場合にも、柱の数が少ないと間仕切り壁を変えるだけとなり、大掛かりな工事をしなくて済むでしょう。
柱のない家をつくる際の注意点
柱のない家は耐震性や耐久性に問題はありませんが、空間を広く取ることによるデメリットがあります。
ここでは、柱のない家をつくる際に気をつけたい注意点を解説します。
冷暖房が効きづらい
柱のない家は壁の数も少ない設計になることが多いため、冷暖房が効きづらくなるでしょう。
家庭用エアコンは20畳用のものなどもありますが、それ以上の広さや変形した間取りによっては、冷暖房効率が下がる可能性があります。
場所によって温度差ができないよう、サーキュレーターなどを使って空気の流れをつくりましょう。
また、高気密・高断熱性能を持つ家を設計する方法もあります。
プライバシーが確保しづらい
柱のない家は見通しがよいため、プライバシーを確保しづらいデメリットがあります。
そのため、家具の配置を工夫したり、適度な間仕切りを活用したりして対応しましょう。
間仕切り壁をつくる方法以外にも、パーテーションやロールスクリーンなどを使うのもおすすめです。
収納できるタイプの間仕切りを設置し、来客時のみ広げても良いでしょう。
音やにおいが広がりやすい
柱のない大空間では、キッチンからのにおいや、リビングにあるスピーカーの音などが伝わりやすくなります。
音やにおいが気になる家族がいる場合は、キッチンの換気扇以外にも換気設備を設置したり、防音機能のある壁を使ったりして対策しましょう。
柱のない家をつくれる主な工法
ここでは、柱のない家をつくれる主な工法を紹介します。
それぞれの特徴を知ることで、自分の理想に合った家の建て方を検討してみてください。
木造の施工方法
日本では住宅を木造で建てることが多く、住宅のうち、木造住宅は60%以上を占めるといわれています。
木造住宅で古くから使われている工法は、多くの柱を使う木造軸組工法(在来工法)です。
しかし、現在では木造でも柱のない家をつくれる工法が注目されています。
木造枠組壁工法 (ツーバイフォー工法) | 床・天井・屋根の面構造で構成する工法です。 箱のように壁で支えるモノコック構造で、耐震性・耐火性に優れています。規格化されたシンプルな構造のため、安定した品質の家ができます。ただし間取りの制約が多く、リフォームが困難です。 |
木造ラーメン工法 (SE構法) | 木材で家の枠組みをつくる工法です。 強靭な接合部によって、柱を使わない大空間がつくれる構造を実現します。間取りの自由度が高く、広い空間や大きな窓がつくれる構造で、リフォームしやすいのが特徴です。しかし、対応できる施工会社が少なく、専門資格を持つ限られた工務店のみで施工できます。 |
木造軸組パネル工法 (木造パネル工法) | 木造軸組工法(在来工法)と木造枠組壁工法を組み合わせた工法で、最小限の柱材と構造用合板を使います。 耐震性・気密性・断熱性に優れているため、省エネ効果の高い住宅を建てられるのが魅力です。施工する会社によって品質や建築費用が異なります。 |
鉄骨造(S造)の施工方法
鉄骨造(S造)とは、建物の骨組みに鋼材を使う工法です。
使われる鋼材の厚みによって、6mm未満は軽量鉄骨造、6mm以上は重量鉄骨造に分けられます。
一般的に、住宅は軽量鉄骨造が多く、3階建て住宅などで採用されることの多い工法です。
鉄骨軸組工法 (ラーメン工法) | 工場でつくられた鋼材で枠をつくり、現場で剛接合して建てる工法です。 そのため施工期間が短く、安定した品質の家が建てられます。広い空間や大きな窓を設置しやすい上に、耐震性・耐久性にも優れています。ただし、建築費用が高くなります。 |
鉄筋コンクリート造 (RC工法) | 柱や梁など主要な部分に芯として鉄筋を使い、コンクリートを流し入れて壁をつくる工法です。 耐震性・耐火性・気密性・遮音性が高く、耐火建造物に当てはまります。ただし、結露やカビが発生しやすく、適切な換気システムが必要です。 |
プレハブ工法
プレハブ工法とは、ほとんどすべての部材を工場でつくり、現場で組み合わせる工法のことです。
主要部材によって木質系・鉄骨系・コンクリート系に分類されますが、どれも壁で支える構造でつくられ、柱のない家を建築できます。
他にも鉄骨のフレームや木材のパネルを使った箱型の部材を積み上げるユニット系もあります。
プレハブ工法はツーバイフォー工法とは違い、断熱材や床下地材などもあらかじめ充填してあるのが特徴です。
安定した品質や工期の短さが魅力ですが、規格化されているため土地の形状に対して汎用性が低くなります。
開放的でおしゃれな柱のない家を建てよう
ここまで、柱のない家の構造や具体的な工法などをわかりやすく解説してきました。
現在の建築技術では、木造住宅も構造計算をしっかり行うことで、柱のない大空間と耐震性を両立した家づくりが可能です。
空間を広く使える柱のない家で、明るく開放的でおしゃれな住まいをつくりましょう。
柱のない開放的な家を建てるなら、SE構法登録工務店であるTIMBER YARDへご相談ください。
育児や介護をする場合は、家事をしながら見守りができ、安全を確認しやすいのもメリットのひとつです。