新築で家を建てるときに迷う要素のひとつがキッチンスペース。
どのような機能・デザインのキッチンを採用するかも大切ですが、特にキッチンの高さは使いやすさに直結する最重要ポイントです。
ゼロから理想のキッチンを作る場合、高さは何を基準に決めれば良いのでしょうか。
この記事では、キッチンの高さを考える目安や押さえたいポイントについてまとめました。
目次
キッチンの最適な高さはどのくらい?
まずはキッチンの最適な高さについて学びましょう。
使いやすいキッチンの高さは人それぞれですが、一般的には身長の半分よりも少し高めの位置が最適とされています。
こちらは簡単な計算式「身長÷2+5cm」で求めることができます。
一般的なキッチンの高さは?
日本のメーカーが展開するキッチンシリーズで多い高さは85cmで、ほとんどのシステムキッチンは85cm規格で製作されています。
高さの変更は通常5cm刻みで変更でき、稀に2.5cmまで細かく調整できるメーカーもあります。
また、オーダーメイド設計の造作キッチンを手掛ける工務店などでは、1mm〜1cm単位で細かく高さを調整できる場合もあります。
知っておきたいキッチンの構成要素
一般的にキッチンの高さとは、ワークトップ(食材の下ごしらえや盛り付けをする作業台)を指すのが一般的です。
キッチンにはワークトップ以外にもさまざまな構成要素があるので、使い心地を確かめる際の参考にしてください。
キッチンに含まれる主な要素 | 役割 |
---|---|
ワークトップ | 食材の置き場。下ごしらえ・調理・盛り付けに使用。 |
コンロ | 各種調理を行うスペース。ガスコンロ・IHなど。 |
シンク(流し台) | 食材や食器を洗うスペース。各種調理にも使用。 |
下部収納 | 食器・調理器具・調味料を収納するスペース。 |
吊り戸棚収納 | 主に食器類を収納するスペース。 |
ビルトイン調理機器・食洗機 | 下部収納と同じ位置に取り付ける埋め込み型機器。 |
キッチンの高さを決める5つのポイント
一般的なキッチンサイズがわかっても、どのように高さや機能を決めるべきか迷ってしまいますよね。
ここでは、キッチンの高さを決めるときに押さえたいポイントを5つ紹介します。
キッチンに立つ人の高さに合わせる
キッチンの高さを決める目安として一番おすすめなのは、普段キッチンに立つ時間が多い人に合わせることです。
複数人でキッチンを利用する場合でも、最も利用時間が長い人に合わせるのが無難でしょう。
ワークトップや収納棚、シンクの高さで迷った場合にも便利な指標になります。
身長から計算して高さを決める
身長からキッチンの高さを決めるのもおすすめです。
一般的には「身長÷2+5cm」の高さが最も調理しやすい高さだと言われており、高さを決めるときに目安として活用できます。
下記の表は身長に対する最適なキッチンの高さを表したものなので、こちらも参考に高さを考えてみましょう。
身長 | キッチンの適正な高さ |
---|---|
155cm | 80cm |
160cm | 85cm |
165cm | 90cm |
肘の高さから考える
身長だけでなく肘の高さから考えるのもおすすめです。
身長から割り出した高さのキッチンでも、実際に使用してみると少し低く感じてしまう場合があります。
これは肘の高さが考慮されていないことに原因があります。
肘高の位置は人によって個人差があるため、実際の使用感を確かめながら高さを微調整しましょう。
ちなみにキッチンの最適な高さは、肘よりも10〜15cmほど低い位置が良いとされています。
調理中は肘を上げて下方向に力を入れる場面が多いため、最適な高さに調整することでより使い勝手が良くなります。
スリッパの高さも計算に入れる
水や油はね、調理中の汚れなどが気になるキッチンでは、普段スリッパを履いて調理している人も多いでしょう。
高さを確認する際は、普段使用しているスリッパのサイズも考慮して調整することが大切です。
一般的なスリッパの厚みは数cmほどですが、キッチンにおいてはわずか数cmでも使用感が大きく変わります。
また、下にキッチンマットを敷く場合も、同じく高さを計算に入れましょう。
ショールームへ足を運んで確かめる
いくら想像の計算で高さを確かめても、本当の使用感は実際に触ってみないと分からないものです。
もしもお気に入りのキッチンメーカーや工務店がある場合は、ショールームに足を運んでキッチンを使ってみるのもおすすめです。
高さだけでなく、ワークトップの質感や使い心地、コンロ・収納との位置関係、使用時に感じた違和感など、さまざまな情報を得られます。
前述したスリッパやキッチンマットなども持参して、普段の調理環境となるべく近い状況で使い心地を確かめてください。
ワークトップ以外の使い心地も確かめよう
キッチンの高さはワークトップを基準にして合わせますが、コンロやシンク、収納などは使用シーンが異なるため、使い心地が異なる場合があります。
ワークトップの使い心地だけでなく、キッチン全体の使用感を考慮して高さのバランスを決めることが大切です。
コンロ・シンクは使用時の高さの違いに注意!
例えば、IHクッキングヒーターであればワークトップの高さとほぼ誤差のない感覚で使用できますが、ガスコンロの場合は数cm高くなり、使用感が大きく変わる可能性があります。
シンクの使い心地も底の深さやサイズ、形状によって変わるため、手で触ってチェックするといいでしょう。
キッチン収納とビルトイン機器は屈んで使用感をチェック
ワークトップの下部に位置する収納スペースは、実際に使用する場合に屈んだ状態で出し入れする場合が多いです。
キッチン周辺の使い心地に加えて、屈んだ状態の作業を快適に行えるかもチェックしておきましょう。
ビルトイン食洗機を導入する場合は、扉を開けた際の位置や洗い終わった食器の移動動線なども考えて位置を決めましょう。
吊り戸棚はキッチンの高さに合わせて決める
キッチン収納を増やしたい場合は、天井から設置する吊り戸棚の収納が便利です。
設置を検討する場合は、キッチンの高さとのバランスを考えて大きさを決めましょう。
吊り戸棚を大きくしすぎると視界が圧迫されて、調理の効率が下がったり、キッチン全体の開放感が損なわれたりする場合があります。
また吊り戸棚の位置を高くしすぎると、出し入れがしにくくなる恐れもあります。
収納物をラックごと昇降できるダウンキャビネットを採用するか、そもそも吊り戸棚をやめて別の収納スペースを作るなど、生活スタイルに合わせて最適な収納を考えてみてください。
造作キッチンならより細かい設計が可能に!
これまでに紹介したポイントはセミーオーダーのシステムキッチンを想定していましたが、ゼロから設計する造作キッチンであれば、より細かい部分まで調整した自分好みのキッチンを作ることが可能です。
例えばワークトップの高さを1mm〜1cm単位で細かく調節したり、造作家具でキッチンと親和性の高い収納を作れたりと、設計のバリエーションと選択肢が格段に増えます。
新築の場合は、後で大幅なリフォームをするよりも、設計段階でプランに組み込んだほうがお得。
わたしたちTIMBER YARDの家づくりでも、さまざまな造作キッチンの施工事例があるので、新築・リフォームを考えている方はぜひご相談ください。
キッチンの高さにこだわって理想の調理環境を作ろう
今回はキッチンの高さの決め方について、重要なポイントをまとめて紹介しました。
毎日立つキッチンで心地良い時間を過ごすには、細かな使い心地がカギを握ります。
自分の身長や生活スタイルに最適化されたキッチンであれば、日々の料理をもっと楽しめるようになりますよ。
キッチンカタログで好きなシステムキッチンを選ぶ場合、工務店の造作でオーダーメイドキッチンを設計する場合などは、ひとまず仮の高さとして割り出した数字を目安にしましょう。