家を建てる際に天井の高さを考えることは、居心地の良い空間づくりに繋がります。
とはいえ、「ベストの高さはどのくらいか」「どうやって高さを決めたらいいのか」など悩む方もいるのではないでしょうか。
この記事では、天井高のメリット・デメリットや高さを決めるポイントを解説します。
また、記事の最後には部屋別に適した高さや天井のデザインもご紹介しているので、天井高の判断材料になりますよ。
ぜひ参考にしてください。
目次
天井高とは
天井高とは床から天井までの高さのことです。
建築基準法では、居室の(玄関やトイレなどは除く)天井高は2m10cm以上でなければならないと定められています。
戸建て住宅の標準的な天井高は、1階が2m40cm前後、2階は2m20cm前後が多い傾向です。
一方、輸入住宅などは2m70cm~3mの天井高があります。
とはいえ、天井高は高ければ高いほどよいというわけではありません。
天井高が与えるメリット
ここからは、天井高を高くすることで得られるメリットを4つご紹介します。
開放感が得られる
天井高は、開放感のある空間を演出できます。
天井が高いほど壁面積も広くなり、空間に余白が生まれるからです。
そのため、床面積を変えずに部屋を広く見せる効果が期待できます。
例えば、敷地には限りがあるため、広い家が建てられないこともあるでしょう。
しかし、縦の空間を広く取ることで延べ面積が狭くても圧迫感が軽減できます。
天井は意識しなくても自然に視界に入るので、高さがあるほど部屋全体の見え方がかなり変わると心得ておきましょう。
採光を効率よく取り入れられる
天井を高くすると窓の位置も高く設定できます。
高い位置に窓があれば効率よく採光を取り入れられ、家の中がさらに明るくなるでしょう。
また、窓のサイズの自由度がアップするため、方角や部屋の広さに合わせて採光計画が立てられます。
インテリアの選択肢が広がる
高い天井であれば、家具や照明のデザインの選択肢も広がります。
一般的な天井高だと、吊り下げて使用する照明や、壁面を利用した本棚などは圧迫感を感じるもの。
しかし、天井が高ければ、ペンダントライトやシャンデリアなど吊るすタイプの照明を選んでも圧迫感を軽減でき、選択肢の1つになります。
つまり、天井高はこだわりの空間が演出できて、おしゃれな部屋作りも可能になるのです。
設計の幅が広がる
天井の高さを活かせば、空間が有効活用できるので設計の幅が広がります。
例えば、スキップフロアや小上がりの和室、壁面本棚など。
天井高を高くすればライフスタイルに合わせた設計が可能であるため、理想的で快適な住空間に近づきます。
天井高のデメリット
メリットがある一方、天井高のデメリットもあります。
天井高を考える際の判断材料にしてください。
冷暖房がききにくい可能性がある
天井を高くすれば室内の体積が大きくなり、部屋の冷暖房が効きにくい可能性があります。
そのため光熱費がかかり、コストアップにつながることも。
天井高を上げる際は、空間全体の断熱性と気密性を高めることが重要です。
部屋の体積が大きくなっても断熱対策を施せば、住宅の快適さにつながります。
費用がかかる
高い天井は壁面積が増えるので、材料費・外壁材・作業費などの建築費用が高くなります。
また、窓のサイズや性能によって価格が変わり、カーテンのサイズが一般的なものだと使用できないことも。
建築費用やインテリアにコストがかかる可能性がある点はデメリットだといえます。
メンテナンスしにくい
照明を高い位置に設置すれば電球の交換や掃除の手間がかかり、メンテナンスしにくい場合があります。
ご自身でできない際は業者に依頼する必要があり、メンテナンス費用がかかることも。
照明の電球はLEDを採用し、デザインはハンディモップなど手軽に掃除できるものがよいでしょう。
天井高の決め方
天井高を検討する際に、どのような基準で高さを決めればよいか悩む方もいるのではないでしょうか。
決め方は3点あります。
天井高を決める際は、「空間に与える影響」と「人の心理に与える影響」を考えて、家族全員が過ごしやすい天井の高さを模索する必要があります。
実際、一般的な高さでは低いと感じる方もいるため、「身長・体型・ライフスタイルによって個人差がある」「人間の心理に作用する」特徴があるからです。
人が感じる心地よさは部屋ごとに異なり、あまりにも広い空間は「人との距離感を覚える・落ち着かない」と感じる方も一定数いるでしょう。
どのように過ごすかを明白にすれば決めやすくなります。
また、天井高は求めるデザインによって決めるのもよいでしょう。
ラグジュアリーな空間にしたいなら天井を高くし、落ち着きのある空間なら高さを抑えると調和がとれて統一感のある雰囲気になります。
部屋別の快適な天井高は?
天井高は、部屋ごとに高さを変えればメリハリが生まれて心地よい空間につながります。
ここからは、部屋別の快適な高さをご紹介しましょう。
リビング
リビングは家の中で最も天井を高くした方がよいでしょう。
家族で団らんしたり来客を迎えたり人が集まるシーンが多い場所であるからです。
最低でも2m40cmは確保しましょう。
また、2m70cm~3mあれば、より一層開放感を得られます。
キッチン
キッチンは作業場だけでなく、収納が多い場所でもあります。
高すぎると収納物が届かずストレスを感じるため、使い勝手を考えて高さを決めましょう。
2m20cm~2m40cmであれば収まりもよく、換気も十分できます。
ダイニング
ダイニングは、イスに座ってテーブルを囲んで過ごす場所です。
そのため、天井高は2m40cm~2m60cmが理想的。
あまりにも高ければ照明とのバランスが悪くなり、殺風景に感じることもあるでしょう。
リビングとのメリハリを出せば、緩やかに空間を区切れます。
寝室
寝室の天井高は低めに設定するのがよいでしょう。
低ければ落ち着いた空間になるからです。
床の高さを上げたり、下がり天井にして天井高を調節することでゆるやかに他の空間と仕切ることもできます。
また、寝室に置くインテリアも低いものを選ぶと落ち着いた雰囲気になりますよ。
和室
一般的に、和室は座って過ごすことが多い場所。
つまり、天井が低くても快適に過ごせるため、高さの目安は2m10cmであれば十分です。
高すぎるとバランスが悪くなり、落ち着かない空間になってしまいます。
天井のデザイン
天井を高くする際に、天井のデザインにこだわると心地よさや見た目が変わります。
ここでは、天井のデザインを4つご紹介しましょう。
勾配天井
勾配天井は、屋根裏の空間を使う手法であり、天井に傾斜を付けた仕様。
デザイン性が高く、スペースを最大限に活用できるため開放感を得られます。
吹き抜け
天井高を上げてさらに開放感を求めるなら、吹き抜けと組み合わせることも効果的です。
厳密には天井の種類ではありませんが、日当たりの良くないスペースに高窓を設置するよりも採光を確保する役割があります。
下がり天井
下がり天井とは、天井の一部分が下がって段になっているデザインのこと。
間接照明を使ったり、天井の一部の色を変えてアクセントにしたりなど、空間ごとにアレンジして印象を変えることもできます。
室内をより広く見せるアクセントとしておすすめです。
折り上げ天井
折り上げ天井とは、部屋の中央部分の天井をへこませたデザインのこと。
フラットの天井に比べてデザインが施されているため、アクセントになって高級感を演出できます。
また、空間を広く感じさせますが、天井を個性的に見せてくれる効果もあります。
天井高は快適さと見た目を決定づける要素
天井高は開放感をもたらし、住環境の居心地に影響を与えます。
しかし、ただ高ければよいというわけではなく、部屋に合わせてメリハリをもたせることが快適さにつながります。
メリット・デメリットを理解したうえで、ライフスタイルや空間デザインに合わせた天井高を考えましょう。
住宅全体のバランスを考慮し、思い切って高くする場所、低く抑える場所などメリハリをつければ快適な住宅につながります。