自然素材でナチュラルな雰囲気がある無垢材。
無垢材を使用した家であれば、天然の木本来の温かみを感じられるため日本の風土にも合うでしょう。
今回は無垢材のメリット、デメリットや、後悔しない選び方を解説します。
家づくりに無垢材を取り入れたい方は正しい知識を理解できるので、木材を選ぶ楽しみにもつながるでしょう。
目次
そもそも無垢材とは
無垢材とは、天然の木1本から使用する大きさに切り出して、つなぎ目のない加工を施した1枚板の資材のことです。
「天然無垢の木材」という意味で使用されています。
無垢材は伐採した後、乾燥させて加工の工程を経て住宅の内装や家具材として仕上げます。
古くから建築文化に根づいている無垢材。
歴史のある寺社なども天然の無垢材を使用して建てられたものです。
例えば、法隆寺五重塔などは約1400年以上も立ち続けている日本最古の木造建築物です。
無垢材にはそれほどまでの耐久性を兼ね備えている建材といっても過言ではありません。
一方、無垢材と比較されている建材に「集成材」があります。
集成材は複数の薄くした木材を接着剤で張り合わせてできた資材のこと。
必要な形に整えられて安価なので、多くの木造住宅が集成材を使用して建てられています。
無垢材との違いは、1本の木から作られているかどうかという点が大きな違いといえるでしょう。
無垢材のメリット
無垢材を住宅に使うメリットは、住む人にとってさまざまな効果をもたらすためです。
主なメリットは以下4点です。
湿度を調整してくれる
無垢材は、湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥しているときは水分を放出する性質があります。
それにより、室内が快適な湿度に保たれて住心地の良さにつながるのです。
特に夏は高温多湿な気候であることから、無垢材は日本の住まいに適した建材だといえるでしょう。
断熱性を兼ね備えている
無垢材の構造は、小さな繊維がつぶれずにいくつにも重なってできています。
この繊維の層が断熱効果を発揮するポイントです。
繊維の間にある空気が熱を通しにくくするため、繊維が密であれば空気層が薄いので冷たさを感じやすく、繊維の隙間が多ければ断熱効果が高いといえます。
したがって、床や天井に無垢材を使用すれば、外気の影響も受けにくくなるでしょう。
意匠性が優れている
無垢材の樹種は多く、それぞれに木目の表情や色味のコントラストの違いが出てきます。
だからこそ木材の個性には同じものがないので、美しさは唯一無二。
住宅に取り入れると無垢の多彩な表情を楽しめて、大自然にいるかのような落ち着いた空間になります。
無垢材の個性を活かしたデザインは意匠性が優れているといえるでしょう。
経年美化を楽しめる
無垢材は、時間をゆっくりかけることで色合いに深みが増します。
天然木特有の油分がありコーティングは施されていないので、手をかければかけるほど美しく味わい深いものに変化します。
無垢材の変化により住宅のオリジナル性も高まり、キズや汚れさえも風合いとして楽しめる点がメリット。
体に優しい
無垢材にはリラックス効果があり、総じて体に優しい建材です。
例えば、接着剤が使われていない点では、シックハウス症候群の心配も少ないといえます。
また、木から産出される精油成分には殺菌力があります。
喘息やアレルギー疾患がある方にとって悪影響を及ぼすカビやダニなどを寄せ付けないので、体に優しいといえるでしょう。
さらに、ストレスを緩和させる効果もあります。
自然の中にいるようなあたたかい色合いや、ほのかに香る天然木が心を癒してくれるので、リラックスできる住環境を実現できます。
無垢材のデメリット
無垢材はメリットもありますが、人によってはデメリットだと感じる方もいます。
デメリットも理解して、無垢材を検討する材料にしてください。
素材に変化がともなう
無垢材は調湿作用がある影響で、膨張や収縮の性質があります。
そのため、板が反ったりひび割れたりすることも。
それらを最小限に抑えるためには、含水率が18~20%前後の樹種を選び、職人の技も必要になります。
無垢材は天然素材だからこそ、呼吸を繰り返しているもの。
数年経過するとしっくりなじんでいくでしょう。
水や汚れに弱く、傷がつきやすい
無垢材は極端な加工は施されていません。
したがって水や汚れに弱く、傷がつきやすい特徴があります。
これは無垢材の内部にある繊維の層が関係しています。
繊維層に無数の小さな穴があるため、水分を含んで汚れを浸透させやすい性質があるのです。
しかし、生活パターンにより無垢材がなじむこともあります。
また少々のキズならば、味わいや当時の思い出になることも。
もし心配ならば、水をはじく塗装や水をこぼしたらすぐ拭くなどの対策をしましょう。
価格が高い
無垢材は材料コストが高くなる傾向があります。
理由は天然の木であり、年々価格が高騰している点が挙げられるでしょう。
無垢材には品質やグレードによって価格が異なる場合もあります。
どうしても使用したい場合は、木材の特徴を適材適所考慮した上で検討してみてみましょう。
定期的なメンテナンスが必要
無垢材は天然素材のため、定期的なメンテナンスが必要。
木そのものの油分が年数の経過と共に薄れていくためです。
床材として無垢材を使用するならば、自然塗装のワックスをかけましょう。
手間はかかりますがその反面、家を育てているという実感が湧くもの。
無垢の良さを美しく長持ちさせるには、定期的なメンテナンスは必須です。
無垢材を選ぶときに後悔しないポイント
実は、「住宅に無垢材を使って後悔した!」と感じる人がいるのも事実です。
後々後悔しないように、選ぶときのポイントを4点紹介します。
デザイン性で選ぶ
木目や色味が活かされるよう、デザイン性で選ぶのがポイントのひとつです。
唯一無二の美しさを活かしたデザインは、内装の雰囲気を大きく左右するもの。
北欧風なのかアジアン風なのか、カントリー調などでもテイストが変わると使用する無垢材も変わります。
好みのデザインに合わせて無垢材を選ぶとよいでしょう。
実用性で選ぶ
無垢材は手入れや掃除のしやすさ、床材で使うのであれば床暖房に対応しているかなど、実用性も選ぶポイントです。
無垢材は塗装が施されていないので、キズや汚れが付きやすく、ソリやひび割れなどの変化もしやすいもの。
したがって、メンテナンスの頻度や塗装の種類、床暖房に適しているかそうでないかで、選ぶ無垢材も変わります。
肌感覚で選ぶ
家に無垢材を使用するならば、木の持つ性質と自分の肌との相性を重視することも大切です。
リラックス効果や体に優しいかどうかは、家族みんなが触れてみて心地よい方が暮らしの快適さに繋がるもの。
例えば、スギやヒノキなどの針葉樹は香りもよく柔らかな質感があり、心と体に優しい木材です。
一生付き合っていくものだからこそ、肌感覚で選ぶことも大事だといえるでしょう。
使用する場所で選ぶ
無垢材は、「建物のどこに何の木材を使用するか」「どんな暮らしがしたいか」で使用する場所を検討しましょう。
なぜならば無垢材は高額なため、すべての部分で使うと予算がオーバーするためです。
住宅の思い描くデザインによって、目に見える部分は無垢材、そうでない部分は集成材といったように使い分けするとよいでしょう。
ポイントは”木遣い”。無垢材を使って暮らしを快適に!
職人の中では木を正しく使うことを「木遣い」といい、これは1400年以上も前から熟知されているもの。
天然素材だからこそ心や体、五感にも優しい無垢材。
その美しさや良さを長年味わうには多少の手間も必要ですが、一生ものである住宅に無垢材を正しく使うことで愛着もわくことでしょう。
家族の中で無垢材の魅力を感じる部分はさまざまです。選ぶポイントを考慮して、木のある暮らしを取り入れてみてはいかがでしょうか。
種類によって色味が異なるので、経年美化を考慮しながら選ぶのがおすすめです。