二世帯住宅で快適に暮らすための知識や間取り・注意すべきポイントまとめ

    少子高齢化が進む現代社会で、再び注目を浴びているライフスタイルが「二世帯住宅」です。

    家事や子育てを協力して行えるのはもちろん、条件によっては節税効果も見込めるメリットの多い住宅です。

    今回は二世帯住宅の種類や、建てるときに気を付けるべきポイント、節税面の注意点などについて解説します。

    二世帯住宅とは?

    色の違う4脚のチェアがあるダイニングを上から見た様子

    二世帯住宅とは、二つの世帯(家族)が同じ敷地内で一緒に住む住宅スタイルのことを指します。

    子世代・親世代が一緒に住むケースがほとんどで、プライベートな領域を守りつつ、協力・交流・生活できるのが特徴です。

    二世帯住宅のメリット

    二世帯住宅最大のメリットは、生活の不自由をお互いの家族がサポートし合えることです。

    食事や洗濯といった家事はもちろん、子供の世話や送り迎え、その他雑務などを分担して行うことができます。

    特に育児面でのサポートは、小さな子供がいる家庭ではかなり助かります。

    また、コミュニケーションが少なくなりがちな現代社会において、常に身近に家族の存在を感じられるのも嬉しいポイントでしょう。

    二世帯住宅のデメリット

    二世帯住宅のデメリットは、プライベートの線引きが難しいことです。

    両方の家族が同じ屋根の下で暮らすため、生活リズムや価値観の違いによる軋轢を生みやすいのです。

    親世代は朝方中心で静かな生活スタイル、子世代は活動的で夜遅くまでテレビや晩酌を楽しんでいる…

    というふうに、生活する時間帯がずれていると、どちらか一方がストレスを溜めやすい構図になります。

    また、嫁姑問題に代表される人間関係の問題も深刻。

    家族間の相性が悪いと、過干渉や嫌がらせなどに発展するケースも多いです。

    知っておきたい!二世帯住宅に関する知識

    二世帯住宅は通常の住宅と比べて特殊なポイントが多いため、建築を検討する前に基本的な知識を学んでおくのが得策です。

    この章では二世帯住宅について知っておきたい情報を簡単にまとめました。

    賃貸でも二世帯での暮らしはできる?

    賃貸物件で二世帯住宅を探したいという人がいるかもしれませんが、結論から言うと、賃貸用の二世帯住宅はそう多くありません。

    家族構成やライフスタイルによって間取りが変化しやすい二世帯住宅は、新築でオーダーメイド設計になることがほとんど。

    賃貸物件を探す場合、住みたい土地や欲しい設備などの条件で合致する物件が少ないため、長く住むことを前提にするなら新築戸建てもしくは中古物件を購入するほうが良いでしょう。

    二世帯住宅の価格・費用の相場

    二世帯住宅の価格帯ですが、こちら通常の住宅よりも坪単価や建築コストが高くなることが多いです。

    二つの世帯が快適に住める条件を満たそうとすると、設備や面積を充実させる必要があり、結果的にコストが高くなるのが現状です。

    ただし二世帯住宅のタイプによっては、税金が減額される特例制度を利用できる場合があるので、節税や維持コストを安く抑えることも可能になります。

    二世帯住宅を建てるタイミング

    二世帯住宅を購入するタイミングについては、ライフステージの変化を基準に考えると良いでしょう。

    購入を決めるキッカケとしてよく聞くのが、結婚・出産・子育て前後のタイミング。

    新しい家族が増えるときにマイホームの購入を検討する世帯主が多く、家事や育児の効率を考えて、親世代との同居を考えるケースがあるようです。

    また、親世代の高齢化も同居を決める要因の一つです。

    介護が必要になってから家の購入を検討するのは大変なので、将来を見据えて子世代のほうから相談するケースもよく見られます。

    登記パターンで節税条件が変化する

    二世帯住宅を購入する場合は、子世帯・親世帯のどちらかが登記をする必要があります。

    二世帯住宅の登記は下記の3つがあり、どの方法で登記するかによって税金減額の審査基準や対象範囲が異なります。

    節税の詳しい条件は非常にややこしいので、建築会社の担当者や税金の専門家に事前に確認しておくと良いでしょう。

    ◆単独登記:子世帯・親世帯のどちらか一方が登記する方法

    ◆共有登記:子世帯・親世帯が共同名義で登記する方法

    ◆区分登記:子世帯・親世帯がそれぞれの住宅を分割して登記する方法

    二世帯住宅の3つの間取りタイプをご紹介

    シンボルツリーがある住宅

    二世帯住宅は主に3つのタイプに分類することができます。

    それぞれメリット・デメリットが異なるので、各タイプの特徴を学んでおきましょう。

    完全共有・同居タイプ

    二世帯家族がソファでテレビを見ている様子

    「完全共有・同居タイプ」は、一戸建てに二世帯で住む住宅のことです。

    単純に一つの家で二世帯が共同生活をするイメージで、キッチン・トイレ・お風呂・リビングなどは全て共有して使います。

    生活人数が多いことから、通常の一戸建てよりもかなり広めに設計する必要があります。

    家事・育児などの協力がしやすい反面、プライベートな空間が確保しにくい特性があります。

    通常の一戸建て住宅とほぼ変わらない造りなので、建築コストは比較的安く済みます。

    一部共有タイプ

    ガラスの建具でリビング空間と階段空間を分けている

    「一部共有タイプ」は、お風呂・トイレ・キッチンなど、一部のスペースのみを共有する住宅のことです。

    同居タイプと同じく玄関は一つですが、居住エリアははっきりと分けられているケースが多いです。

    一定のプライベートを確保しつつ、家事の協力もしやすいというバランス重視の住宅タイプと言えるでしょう。

    居住スペースを分けるためおのずと部屋数が多くなりがち。

    建築コストは同居タイプと比べて少し高くなります。

    完全分離タイプ

    おうちのオブジェ

    「完全分離タイプ」は、二世帯の居住スペースが完全に分かれている住宅のことです。

    独立した一戸建てが二つ隣り合わせになっているイメージです。

    1階、2階と上下で分けるタイプと、左右で分けるタイプの2種類があり、玄関はそれぞれ独立しています。

    完全にプライバシーが確保されるため、共同生活におけるストレスはほぼありません。

    反面、お互いが意識的にコミュニケーションを取らなければ、二世帯間の繋がりが希薄になってしまうのがデメリットです。

    二つの住宅が隣接した設計なので、建築コストは3タイプの中で最も高額になります。

    二世帯住宅の間取りを決めるときに気を付けるポイント

    間取り

    ここからは、二世帯住宅の間取りを決めるときに抑えておきたいポイントを解説します。

    実際に購入を検討している人は、理想の住宅造りの参考にしてみてください。

    一緒に暮らす家族の構成

    鳥のオブジェ

    二世帯住宅の間取りを考えるときは、一緒に暮らすことになる家族構成を第一に考えましょう。

    最終的に何人住むかによって、部屋数や共有スペースの広さが変わってきます。

    現状ベースで考えるのではなく、将来的に増える家族や将来的に巣立っていく時期など、あらゆるシチュエーションを考えておくのがベストです。

    家族それぞれの生活時間帯

    仕事へ向かう様子

    一緒に住む家族の生活時間帯を考えて、間取りや部屋割りを決めていくのも有効な方法です。

    例えば、リビングダイニングなどの共有スペースを作る場合は、それぞれの生活の負担にならないような配置や移動経路を工夫する必要があります。

    メインの活動時間帯によってベストな間取りも異なるため、二世帯間で話し合って生活導線を考えるのが良いでしょう。

    将来を見据えたバリアフリー対応

    木製の建具

    将来的に親世帯の介護が必要になりそうな場合は、バリアフリーに対応した家造りをするのも良いでしょう。

    玄関や廊下に手すりを設置したり、浴室の段差をなくしたり、高齢者でも住みやすい居住スペースにしておくと便利です。

    また、建具の少しの段差が車いすでの生活になった場合には思いがけない障害になってしまうことがあるので、床がフラットになる建具を選ぶこともお勧めです。

    現状は必要ないという場合でも、将来的にバリアフリー対応できるような設計・レイアウトにしておくのが得策です。

    収納の充実性

    大容量の収納スペース

    必然的に居住人数が多くなる二世帯住宅は、収納スペースの確保が大きな課題になります。

    それぞれの世帯のライフスタイルを考慮して、物を十分に収納できるスペースを確保しましょう。

    お互いの物が増えすぎて空間を圧迫しないように、事前に収納場所の割り振りなどのルールを決めておくと、後々トラブルが少なくなります。

    新築でもリフォームでも心地よく二世帯住宅で暮らそう

    今回は二世帯住宅を建てるときに大切なポイントや、知っておきたい基本的な知識を紹介しました。

    よくある失敗パターンを回避して、子世帯・親世帯がお互いに心地よい住環境で暮らせるような空間をデザインしましょう。