狭小な土地を有効活用出来たり、一般的な広い間取りを取りやすいSE構法。
一方でデメリットとして挙げられるのがコストが高くなってしまうことです。
- 建材の原価
- 構造計算費用
これらが原因で高コストになってしまうのですが、一般的な構法と比較して広い間取りを取ることが出来ます。なので、部屋の広さという観点で見ればローコストにもなり得ます。
- SE構法を知っているし魅力に感じている。
- コスト面が気になって決断できずにいる。
そんなSE構法に興味がありながらも手が出せないという方は是非当記事をご覧ください。
目次
SE構法のメリットは耐震性能を維持しつつ自由な空間を演出できる事
SE構法は狭小な土地でも空間を有効活用することで広い間取りを取ることが出来たり、収納スペースを確保することができます。耐震性能も一切問題ないため非常に優れた工法として人気です。
言い方を換えれば、耐震性能を維持された安心安全な家にもかかわらず、自分好みの間取りを実現することが出来る構法です。
(例)
- ビルドインガレージ
- 狭小3階建
- 吹き抜け
- 屋上利用
- 勾配天井
- スキップフロア
といった間取りを実現することが出来ます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
多くのメリットがある一方で、価格は一体いくらかかってしまうのか気になります。
自分好みの家を建てたいといっても予算には限界があります。どれほど費用が高くなるかは当然土地や間取りによっても変わってきますが、基本的には坪単価で考えて5万円〜10万円程度は費用が上がってしまいます。
費用が上がる理由は大きく分けて2つあります。
- SE構法に使用される建材は高価
- 全ての建物で構造計算を行う
1. SE構法に使用される建材は高価
SE構法では、一般的な構法と比較して建材が高価になります。
- 専用のSE金物を使用するため
- 集成材を使用するため
SE金物は、柱や梁の接合部に使われる部材で一般的に使われる「ほぞ」と比較すると耐震性能が非常に高い建材となっています。集成材も耐震性能高い建材で、断面寸法の小さい木材を接着剤で再構成して作られている木質材料です。
一本一本強度の確認を行っていることからやはり高価になってしまいます。SE金物や集成材のほかにもSE構法の為の建材があり、その建材が高価な為、自然とSE構法を利用すると費用が高くなってしまうのです。
2. 全ての建物で構造計算を行う
一般的には構造計算する必要があるのは「3階建て以上の木造建築物」「2階建て以上の鉄骨、鉄筋コンクリート増の建築物」です。
しかし、SE構法では全ての家で細かく構造計算を行っています。
具体的には、地震や台風などの『自然災害』をシミュレーションします。実際にSE構法で建てられた建築物は東日本大震災でも倒壊することがなかったといわれています。
なので、耐震性能がバッチリ保証されていますね。そういった安全面のリスクを最小限に抑えるために、建築費用そのものが高くなってしまうという側面もあるのです。
SE構法でもローコストに抑える方法はあるのか?
SE構法は安全面にも優れ、自分好みの間取りを実現できる優れた構法です。一方で建築費用は高くなりがちです。
そんなSE構法でもローコストに抑える方法はあるのでしょうか?
結論から言ってしまえば、それは非常に難しいです。
先述したように建材そのものの費用が高い事と、構造計算を行うことが必要だからです。具体的に、SE構法で使用する建材と一般的な構法で使用する建材を比較してみましょう。
基礎部分
基礎部分に使用される建材をSE構法と一般的な構法で比較してみるとSE構法で使用される建材は耐圧部や立ち上がり部は10%~20%も厚みがあります。
それを考えると基礎部分での見積もり費用が10%~20%ほど上昇してしまうのは当然といえるでしょう。
柱
柱も同様でSE構法に使用される集成材は12センチ幅なのに対して、一般的な構法の柱は10.5センチ程度です。断面積で考えるとSE構法の柱は12×12=144平方センチに対して、10.5×10.5=110.25平方センチ。
高さは同じと考えてもざっくりと、30%程度はSE構法で使用される柱の方が大きいことになります。
つまり、柱も30%程、価格が上がります。
500mlのペットボトル清涼飲料水と600mlのペットボトル清涼飲料水では600mlの方が価格が上がってしまうのといっしょなのです。
他にも壁も同じように厚みが違ったりと、建材はどうしても予め決められた価格があるので、そこから建材部分を交渉して値切ろうとしても恐らく通らないでしょう。
構造計算を行うことも当然費用が掛かりますが、構造計算をして初めて耐震性能の保証がされるので、こちらもやはり価格を下げるのは現実的ではありません。
SE構法でローコスト化することは難しいものの妥当
同じ土地で一般的な構法とSE構法を比較したらSE構法の方が高くなってしまうことは分かっていただけたかと思います。
しかし、ここで逆転の発想をしてみます。
たとえば、「同じ間取りを取る為に必要な価格」という観点で考えてみましょう。
同じだけ広く間取りを取る為に必要な土地面積は、一般的な構法とSE構法で比較するとSE構法の方が狭い土地で実現することが可能になります。
SE構法ではステップフロアも実現可能なので、1階と2階の間にもフロアを設けることが出来、縦の空間を活用することが出来ます。
また、収納スペースも上手に使うことが出来るのでデッドスペースがなくなります。
これを踏まえて「一般的な構法」と「SE構法」で比較をしてみましょう。
一般的な構法 | SE構法 | |
---|---|---|
建材 | 安い | 比較的高い |
耐震性能 | 比較的低い | 高い |
柱や壁の数 | 多い | 少ない |
必要な土地 | 普通 | 比較的少なくて済む |
一般的な構法では建材が安い分、耐震性能がSE構法と比較したら不安が残ります。
柱や壁も多く、狭い土地で家を建てることが難しいのでより広い土地を探す必要があります。SE構法と比較してより広い土地が必要なので家を建てる場所も限られてしまいます。
さらに土地が広くなればなるほど土地購入代金は比例して上がっていきますし、土地が広くなれば施工費も当然上がります。坪単価が安くなることと引き換えに施工する土地が増えてしまうということです。一方で、SE構法であれば、狭い土地でも広く間取りを取れるため、土地を探しやすいという点もメリットになります。
つまり、坪単価の施工費は上がってしまいますが、その分施工する必要がある土地が減少するということです。さらに狭い土地でも問題ないため立地は選びやすく、より柔軟に自分好みの間取りを実現することが出来るのです。
SE構法の費用と自分の住みたい住宅と天秤にかけてみよう
同じ間取りを取る為に必要な土地や建築費用を考えたら結果的にSE構法でもローコスト化は実現できます。
とはいえ、土地ありきで選択を迫られることも多いでしょう。なので結局は自分の希望がどこまで強いかにつきます。
SE構法を選択することで坪単価が5万円~10万円程上昇してしまいます。30坪の家であれば、150万円~300万円もかわってきてしまうのです。
- 300万円を払ってでも、希望通りの間取りにしたいのか。
- 希望の間取りにするよりも、300万円の方が大切なのか。
これは人によりけりです。
300万円で部屋が広くなると考えればいい買い物だと、そう考える人もいます。部屋を狭くしてでも、収納スペースを減らしてでも300万円の方が惜しい人もいるかもしれません。
マイホームは一生ものの買い物です。一度購入したら簡単に取り返しは利きません。300万円を惜しんだ結果今後の何十年を公開することにもなりかねないので、よく考えて購入検討をしてみましょう。