「勝手口」はキッチンやパントリー横にある、玄関とは別に設けられた出入り口のこと。
昔は多くの戸建住宅にありましたが、最近では間取りや暮らしの変化に合わせて作らない住宅も増えてきました。
新しく家づくりをする方の中には、勝手口を作るか迷っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、勝手口の特徴やメリット・デメリット、作る際の注意点を解説します。
目次
勝手口とは?キッチン横につけられた小さな玄関
勝手口とは、キッチンやパントリー横に設けられた出入り口のことです。
ゴミ出しをしたり洗濯物を干したり、家事を楽にする目的で作られました。
勝手口を使うと玄関やリビングを通らずにすむため、スムーズな家事動線を設計できます。
また、ゴミを落として家の中を汚してしまうという心配もありません。
キッチンや水回りと玄関が離れた場所にある間取りの家に多く、昔の戸建では多く取り入れられていました。
最近では暮らしの変化に合わせて作られる機会が減り、新築住宅では採用しない家も増えています。
勝手口は必要ない?新築住宅で少なくなった理由
昔の戸建住宅ではよく見られた勝手口が、最近の新築住宅ではあまり見られなくなった理由は何なのでしょうか。
その理由は、勝手口を作らずに間取り全体で「動きやすい家事導線」を作るようになった家づくりの変化にあります。
昔の住宅は、家の北側に水回りがまとめられており、キッチンも独立した間取りが主流でした。
ゴミ出しをしたり洗濯物を干したりするためには、南側に作られたリビングを通り玄関から出なくてはならなかったため、家事の手間を省くために外からアクセスしやすい勝手口が作られていたのです。
しかし最近の住宅では、キッチンとリビングが一体化した間取りが多く、勝手口がなくても外にアクセスしやすい作りになっています。
また、お風呂や洗面所などの水回りも一箇所にまとめない間取りが増えたため、勝手口を作るだけでは家事の手間を減らすことができなくなりました。
そのため、間取り全体で動きやすい家事動線を作ることが主流になり、勝手口を必要としない住宅が増えているのです。
勝手口のメリット・デメリットは?
暮らしの変化に合わせて勝手口を作らない住宅が増えているとお伝えしましたが、間取りによっては勝手口があることで家事の手間を省けることもあります。
自分達の家に勝手口を作るべきか迷っている方は、まずはメリット・デメリットを把握しておきましょう。
勝手口のメリット
家事の手間を省ける勝手口は、ほかにも
- キッチンに光が入りやすい
- 換気がしやすい
などのメリットがあります。
具体的にどのようなメリットを得られるのかチェックしてみましょう。
外へアクセスしやすい
勝手口の大きなメリットは、なんと言っても外へのアクセスが良いことです。
食品や日用品を買ったときに、玄関から入ってリビングを通りキッチンまで運ぶのは、意外と手間がかかりますよね。
生ゴミを外に出すときも、リビングを通って万が一汚してしまったら、掃除の手間が増えてしまいます。
外から直接繋がっている勝手口を使うと、キッチンやパントリーにそのまま食品をしまうことができ、家を汚さずにゴミ出しをすることができます。
万が一キッチンや水回りをまとめて作る場合は、勝手口を作っておくことで家事の手間を省けるでしょう。
キッチンに外光が入りやすい
キッチンに外の光が入りやすいことも、勝手口のメリットのひとつです。
独立型のキッチンの場合は、日中も外の光が入りにくく、電気をつけなければならないことがあります。
勝手口には窓と同様の採光効果があるのでキッチンが明るくなりやすく、電気をつける必要がないので光熱費を削減することも可能です。
換気がしやすい
窓を開けるとすぐに換気ができる点も、勝手口のメリットと言えるでしょう。
「換気扇をつければいいじゃない」と感じる方もいるかもしれませんが、換気扇を使う場合は電気代がかかってしまいます。
勝手口の窓を開ければ、光熱費もかからず簡単に換気をすることが可能です。
勝手口のデメリット
メリットがある一方、勝手口をつけることがデメリットになる場合もあります。
家づくりをしてから後悔しないように、マイナス面もチェックしておきましょう。
防犯性が心配
勝手口は、玄関とは違い道路に面していない場所に作ることが多くあります。
人目につきにくい場所に出入り口を作るため、防犯面で心配になる方も多いようです。
そのため、勝手口を作る場合は、人が通ると反応する人感センサー付きのライトを設置したり、防犯性の高い鍵を付けたりする必要があります。
使わなくなったらデッドスペースになる
勝手口を使う機会が少ないとデットスペースになってしまうことがあります。
実際に暮らし始めて「勝手口ではなく、収納を作ればよかった」と後悔する方も少なくありません。
万が一勝手口を作る場合は、本当に必要なのか、収納があった方が便利ではないかなどをよく検討することが大切です。
積雪地域では冬場に使えない可能性がある
積雪地域の場合、勝手口部分に雪が積もってしまうことで、ほとんど使えなくなってしまう可能性もあります。
数ヵ月使えない扉を作るのであれば、収納スペースを作った方が暮らしやすくなる可能性もあるでしょう。
積雪地域にお住まいの方で勝手口を作る場合は、直接外に繋がるようにするのではなく、勝手口から土間に繋がるような間取りにしておくと、冬時期も活用できます。
土間を作るにはその分土地が必要になりますが、積雪時に外に置いておけない自転車やベビーカーなどを収納できるので、暮らしの幅が広がるでしょう。
勝手口を作る際の注意ポイント
ここからは、勝手口を作る際の注意ポイントを解説します。
家づくりをしてから、「こうしておけばよかった…」と後悔しないためにもチェックしておきましょう。
防犯性の高い作りにする
前述した通り、人目につきにくい場所に作られた勝手口は、侵入犯に狙われやすくなるので防犯性を高めておきましょう。
- 扉の鍵を防犯性の高いものにする
- 勝手口に繋がる通路に砂利を敷く
- 門扉を設ける
キッチンが寒くならないように断熱性を高くする
外と直接繋がっている勝手口は、外気を取り込みやすくキッチンを冷やしてしまう可能性があります。
冷えやすい環境で水仕事をすることは体にも悪影響なので、扉を気密性・断熱性が高いものにして防寒対策をしましょう。
庇をつけて雨にあたらないようにする
外と直接繋がる勝手口を作る場合は、雨に濡れないよう庇(ひさし)を作るのがおすすめです。
庇を作ることで、雨水が家の中へ侵入するのを防ぐだけでなく、夏の暑い日差しから防ぐ効果も期待できます。
勝手口の必要性は間取りで判断!
今回は、家づくりをする上で知っておきたい「勝手口」について解説しました。
昔の住宅を暮らしやすくするために作られていた勝手口は、暮らしの変化に合わせて少しずつ減ってきています。
ただ、間取りによっては勝手口を作ることで、キッチンや水回りの環境を快適にできます。
勝手口を作るか検討している場合は、間取りや家事動線をイメージしつつ、必要か必要ではないかを判断してみてください。