省エネ関連の情報でよく耳にすることが多い「低炭素住宅」という言葉。
「環境に優しいエコな住宅なんだろうな」となんとなく理解はできても、実際にどんな住宅なのかわからない人は多いと思います。
この記事では、低炭素住宅の特徴や魅力、ほかの省エネ住宅と比較したメリットなどについて解説します。
目次
低炭素住宅とは
低炭素住宅とは、二酸化炭素の排出量が少ない環境に配慮した省エネ住宅のこと。
国が定める省エネ基準を満たした住宅であり、都市部の省エネ化を目指す施策の一部でもあります。
国から認定されれば、各種税金の控除や住宅ローン補助など多くの優遇を受けることができます。
通常の住宅よりも省エネ機能と断熱性能が高く、月々の維持費もお得になりやすいのが特徴です。
低炭素住宅と長期優良住宅の違い
混同されやすい「低炭素住宅」と「長期優良住宅」の違いについてもおさらいしておきましょう。
どちらも省エネ効果の高い住宅を意味していますが、特に大きく異なるのが認定基準と性能です。
詳しい認定基準については後述しますが、低炭素住宅はエネルギー効率の認定基準が比較的緩く、チェック項目も少なめ設定されているのが特徴です。
長期優良住宅は認定基準・チェック項目が厳しく、細かい条件を満たさなければ認定が下りない建築難易度の高い住宅です。
審査基準が厳しいぶん、住宅性能・補償の充実度は長期優良住宅のほうが上。
手軽に建築できる省エネ住宅が低炭素住宅であり、基準が厳しいぶん住宅性能が高いのが長期優良住宅です。
長期優良住宅についてもっと詳しく知りたい人は、下記の記事もチェックしてみてください。
低炭素住宅の認定基準をチェック
低炭素住宅として認定されるには、どのような基準を満たせば良いのでしょうか。
認定のカギを握る「定量的評価項目」と「選択的項目」の2つの側面から解説します。
定量的評価項目【必須】
「定量的評価項目」とは、低炭素住宅の認定を受けるうえで絶対に満たさなければいけない項目のことです。
基準を可視化できるように、具体的な数値目標が設定されているのが特徴です。
具体的な要素を挙げると、
- 一次エネルギーの省エネ率を基準値より10%削減すること
- 省エネ基準と同等以上の断熱性能を備えていること
の2つが重要視されています。
設計段階でエネルギー効率を計算すればそれほど難しい条件ではなく、土地の条件によって建築難易度が変動しにくいのがポイントです。
実際に建築する場合は、低炭素住宅の認定をスムーズに受けられるように、事前にハウスメーカー・工務店に相談しておくのが良いでしょう。
選択的項目【任意】
「選択的項目」とは、複数の条件の中から、自ら選択して取り入れる省エネ施策のことです。
一次エネルギーの可視化、節水対策、ヒートアイランド対策、劣化軽減対策…など、住宅の省エネ化に関する選択項目が多いのが特徴。
どれか一つを取り入れても良いし、複数の省エネ設備を導入するのもOKです。
あくまでも省エネ推進計画にとって「あると好ましい設備」なので、予算の関係で厳しい人は最小限に抑えるのも一つの手です。
低炭素住宅を建てるメリット
ここからは、低炭素住宅を建てるメリットについて詳しく解説します。
住宅性能以外の優遇面についてもしっかりと確認しておきましょう。
省エネ・断熱効果が高い
低炭素住宅は一般的な住宅と比べて省エネ・断熱の基準が高く設定されています。
住宅素材の基礎性能が高いので、冷暖房をフル稼働させなくてもある程度快適な温度を保つことが可能。
月々の光熱費を安く済ませられるのがメリットです。
加えて節水やエコ給湯システムなどを導入することで、さらなる維持コストの削減も可能になります。
認定基準を満たすのが比較的容易
コンセプトや機能面で同じようなスペックを持つ
- 長期優良住宅
- ZEH
- パッシブハウス
などの設計方法と比べて、認定基準を満たすのが簡単というメリットもあります。
細かい性能で比較するとやや劣る部分が出るものの、控除や補助金などの条件はそこまで変わらないのがポイント!
「各種補助金や住宅ローン控除は欲しいけど、そこまでコストを負担したくない」という人にはぴったりです。
フラット35S(金利Aプラン)を使える
一般的な住宅ローンよりも返済額が少なくなる上位プラン「フラット35S(金利Aプラン)」を活用できるのも嬉しいポイントです。
家の購入費用にもよりますが、一般的な住宅ローンと比べて最終的な返済額が60万円以上もお得になる計算なので、可能な限り審査を通せるようにするのがおすすめです。
固定資産税など税制面で優遇を受けやすい
新築で家を建てるときには、建築費用以外にも諸経費がかかりやすいもの。
低炭素住宅と認定されれば、「固定資産税」「登録免許税」「不動産取得税」など、数多くの税金に優遇を受けることができます。
それぞれの控除割合はそこまで高額ではないものの、積み重なればかなりお得な金額になります。
地域によっては低炭素住宅に独自の補助金を設定しているところもあるので、申請可能な補助金がないかどうか事前にチェックしておきましょう。
低炭素住宅を建てるときの注意点
低炭素住宅は比較的手を出しやすい省エネ住宅の一つですが、建築にあたって事前に知っておいたほうが良い知識もあります。
特に注意しておきたい2つのポイントについて解説します。
通常の住宅と比べて建築コストが高い
低炭素住宅の認定条件で特に大きなポイントは、一次エネルギーの消費率を10%以上削減しなければならないという制約です。
認定条件を満たすために住宅素材の強化・設備導入を行う必要があるので、初期の建築コストが高くなりやすいのがデメリットです。
住宅ローン控除や各種税制のメリットを受けられるのは魅力ですが、建築費は通常よりも多めに見積もっておく必要があるでしょう。
認定を取得できない地域がある
低炭素住宅は都市の開発計画における省エネ施策の一つなので、認定を受けられるのは「市街化区域」に指定されている土地だけです。
自分が家を建てようと思っている土地が市街化区域になっているかどうかを事前にチェックしておきましょう。
- 市街化区域
市街地としてインフラ整備されており、継続的な都市開発の計画に指定されている区域のこと。都心部や住宅街にある土地はこちらに指定される場合が多い。 - 市街化調整区域
主に農業・漁業・伝統工芸創作などを行うのに適した土地で、都市開発計画には指定されていない区域のこと。仕事の効率や暮らしを守るために、開発の指定からはあえて外されている。
あまりにも田舎すぎる土地や、元農家の人から譲り受けた土地などは、「市街化調整区域」に指定されているケースが多いです。購入するときは事前にチェックしておきましょう。
省エネ効果の高い低炭素住宅で快適な暮らしを
低炭素住宅の特徴・魅力についてわかりやすく解説しました。
環境保護に対する意識は年々高まっているので、いずれ住宅の省エネ基準が今よりも高い基準に設定される日もそう遠くないはず。
生活に配慮した省エネ住宅は低炭素住宅以外にもたくさんあるので、数ある選択肢の中から自分にあった住宅を探してみてください。