「家が老朽化してきた」「日常生活に不具合が生じる」と日々感じる方は、建て替えかリフォームで悩んでいるのではないでしょうか。
家を一旦壊すのは大変だとはいえ、生活に支障をきたす場合は考えざるを得ませんよね。
この記事では、建て替えに踏み切る判断基準や費用、注意点などを詳しく解説しています。
また、古家付きの土地を購入予定の方にとっても建て替えのイメージが分かりやすい内容なので、ぜひ参考にしてください。
目次
建て替えとは
建て替えとは、既存の建物の基礎部分を解体・撤去して、新たな住宅を建築することです。
また、古家付きの土地を購入し、解体後に新しい家を建てることも建て替えといいます。
建て替えのメリット
建て替えのメリットは3点あります。
- 従来の間取りを改善でき、設備の性能をアップデートできる
- 住み慣れた場所に住み続けられる
- 土地を探す手間が省ける
建て替えの最大のメリットは、住み慣れた土地で住宅を新築できることです。
近年の住宅設備は断熱性や気密性に優れており、リフォームでは実現しにくいこともあります。
また、基礎を取り壊して地盤調査や地盤改良ができるため、耐震面の不安も解消できます。
土地を探す手間も省けるため、効率よく新築を構えられるのです。
建て替えが向いている例
上記のメリットから、建て替えが向いている例として、下記が考えられます。
- 環境を変えずに質のいい暮らしをしたい
- 次世代に家を引き継ぎたい
- 耐震性に不安があるため地盤から見直したい
- リフォームと変わらない費用がかかる
建て替えは、家族全員が生活環境を変えたくないならば検討した方がよいでしょう。
一方で、解体費や工事費など多額な費用がかかるもの。
もし建て替えかリフォームか悩んでいる場合は、費用が同額であれば建て替えた方がよいでしょう。
新しい設備により質のいい暮らしができます。
建て替える基準は?
ここからは、建て替えを判断する基準を3点ご紹介します。
家族構成の変化
既存の家は、当時の家族構成をもとに建てられた傾向があります。
例えば、急な階段や細かく仕切られた部屋、日が当たらない北側のキッチンなど。
きっと開放的でバリアフリーが施された住居とは程遠いと推測されます。
このような住居の中で家族構成が変化した場合、人が家に合わせた暮らしをしなければならず、不便を感じることも。
そのため、家族構成の変化が生じた場合は、思い切って建て替えた方が家族の住み心地に直結します。
建て替えたあと誰が何年住むか
建て替えた後「何年住むか」「誰が住むか」を基準に判断するのもよいでしょう。
例えば、「家族が増える」「終の住処として考える」では、家に求めるものが変わります。
家族が増えるならば部屋数を増やしたり、断熱性をよくして光熱費を抑えたり、将来的なメリットを考えるもの。
一方、定年後の十数年しか住まないと決めているのであれば、リフォームでもよいかもしれません。
人生は流動的なので確定するには難しい面もあります。
しかし、今後何年誰がその場所に住むのかを想像して判断しましょう。
築年数
築年数が古い場合は、耐震や断熱に問題がある可能性は否定できません。
特に、築40~50年以上の建物であれば建て替えがおすすめです。
これらは1981年施行された「新耐震設計基準」よりも前の基準の住宅であり、現行の耐震基準と比較するとかなり低い耐震強度だといえます。
また、現在日本における住宅解体時の平均築年数は築30年程度といわれています。
そのため、耐久性や断熱性を高めるリフォームをしても、内装材の故障や劣化、シロアリの被害、地盤の変化により効果がない可能性が考えられるのです。
メンテナンスすれば耐久年数は変わりますが、目安として考えておきましょう。
建て替えの流れ
既存住居の建て替えや古家付きの土地で家を建てる場合、どちらも流れは似ています。
ここからは、建て替えの流れを簡単にご紹介します。
建築会社を探す
インターネットや住宅展示場、情報誌などを参考に建築会社を探しましょう。
設計や建築プランの相談
建築会社を見つけた後は住宅の設計や建設プランを相談しましょう。あらかじめ予算を伝えておくと スムーズに決められます。また、住宅ローンの相談も並行して進めておきましょう。
仮住まいを探す
既存住居の建て替えの場合は、工事の期間中の仮住まいを探す必要があります。仮住まい先には、賃貸マンションやマンスリーマンションがあります。
敷地調査を依頼
工務店に土地の周辺状況や法規制など、敷地調査を実施してもらいましょう。
見積もりの提案を受ける
敷地調査の結果、工事費や設備費の提案を受けましょう。
工事の請負契約を結ぶ・ローンの仮審査の申込み
提案の内容や不明点を解消した後、契約を結びます。工事請負契約には工期や費用、その他条件が記されているため、不明点があれば納得するまで説明してもらいましょう。
建築確認申請書を提出・ローンの申込み
役所に建築確認申請書を提出し、金融機関にローンを申し込みます。
解体工事スタート
建築確認申請とローン借入審査が合格した後は解体工事を進めます。期間は木造だと約1~2週間、鉄骨造・鉄筋コンクリート造であれば約3週間~1ヶ月かかります。ここまでには必ず仮住まいに引っ越してください。解体終了後は地盤調査をして、結果次第で地盤改良工事の有無が分かります。
新築工事スタート
地盤改良工事後は、新築工事に着工します。工期は約4~6ヶ月が目安です。
工事完成後、引き渡し
工事が完成後、建築会社と竣工検査を行います。問題がなければ新築住宅が引き渡しとなります。
建て替え費用
建て替え費用は「工事費用」「諸費用」がかかります。
ここからは、それぞれの費用の目安や内訳をご紹介します。
資金計画の参考にしてください。
工事費用
工事費用は、本体工事・解体工事・地盤改良工事・別途工事が含まれます。
本体工事とは家を建てるための費用であり、坪単価を計算する基盤になるもの。
また別途工事は、電気設備や供給水設備、ガスの屋内外配管工事、エアコン設置費などがあります。
ここでは建て替えならではの「解体工事費用」と「地盤改良工事費用」について詳しくご紹介しましょう。
解体費用は建物の構造や大きさにとって変動があります。
以下で目安をまとめました。
構 造 | 一坪あたりの解体費用の目安 |
木 造 | 約3~5万円 |
鉄骨造 | 約4~5万円 |
鉄筋コンクリート造 | 約5~8万円 |
地盤改良工事費用は、地盤調査の結果、地盤に不具合が生じている場合に必要な費用です。
一般的には約30~50万円が目安であり、工事の内容により幅があります。
諸費用
諸費用は、新築時に加えて建て替えならではの費用がかかります。
以下は、建て替えの諸費用の一例です。
- 登記費用(建物滅失登記、建物表題登記、所有権保存登記、司法書士の依頼報酬など
- 各種税金(印紙税、不動産所得など、合計約1~10万円)
- 引っ越し・仮住まいの費用(引越し費用:約10~30万円、仮住まい費用:家賃約5~8ヶ月分)
建て替えの注意点
建て替える場合の注意点は3つあります。
判断材料として参考にしてください。
仮住まいが必要
建て替えは基礎の部分すべてを取り壊すため、仮住まいが必須です。
引っ越しは既存住居から仮住まいへ、仮住まいから新居へと2回するため、その分費用がかかります。
住居の変更に伴い、役所の手続きも短期間でしなければならないため、費用と時間の余裕を確保しておきましょう。
再建築不可物件かどうか
再建築不可能物件とは、家を解体して更地にした後、再び家を建てられない物件のことです。
これは、境界線の状況の変化や接道義務が影響しています。
接道義務とは、建築基準法により「幅員4m以上の道路に2m以上接していないといけない」というもの。
緊急車両がスムーズに入るように必要であり、旧法令では認められていても現在では基準を満たさないケースがあります。
既存不適格建築物かどうか
既存不適格建築物とは、建設当時は法令に適していても、その後の法改正により現在の法令に適さなくなった建築物のことです。
つまり、現行の法令に従って新築を建てる場合、既存の家よりも面積や高さが制限されることがあります。
そのため、思い描いていた間取りが実現しないこともあるでしょう。
ライフスタイルの変化によって建て替えを検討しよう
「今建っている家は、思い入れがあるので壊したくない…」という方もいるでしょう。
しかし、これからの人生を考えるうえで耐震性・断熱性・安全性が高い家は、暮らしの快適さだけでなく命にも関わります。
今の家に不具合や不満があり、建て替えかリフォームかを検討しているのであれば、家族と話し合って将来的なプランを熟考した上で判断してくださいね。