熱を遮って暑い日差しから家を守る「遮熱」。
何となく意味はわかっていても、断熱と区別がつかない方も多いのではないでしょうか。
こちらでは、暑い夏でも家で快適に過ごせる遮熱対策を中心に、断熱との違いもご説明します。
「高断熱の家でも夏は夜まで暑い!」と思ったら、遮熱対策が足りないのかもしれません。
「遮熱」ってなに?「断熱」との違いとは?
「遮熱」と「断熱」は、よく似た響きで混同されがちですが、その意味や効果は違います。
一般の住宅で普及している断熱対策が遮熱効果も兼ねることはありますが、すべてに遮熱効果がある訳ではありません。
まずは遮熱と断熱の意味と効果の違いを理解しましょう。
遮熱とは
「遮熱」とは、光を反射させて、日射や地面などからの赤外放射を妨げることを言います。
夏にアスファルトが熱くなると、気温が30度でも体感温度が40度以上になることがありますが、それは赤外放射の影響です。
家でも遮熱対策をしないと、放射熱が家の中に入り込みます。
住宅を建てる時は、窓にひさしをつけたり、屋根に遮熱材を使いますが、断熱材ほど普及していないのが現状です。
不透明な面は光を通しにくいために、断熱材を入れた屋根や壁などは遮熱もできますが、光を通す透明な窓は、断熱性だけでは不十分。
特に夏は窓を通して全体の約70%の熱が入ると言われるだけに、この熱の侵入を防ぐのが遮熱の主な役割です。
遮熱性の高いシェードやすだれで対策を取れば、室内を涼しく快適な温度に保つことができるでしょう。
断熱とは
住宅での「断熱」とは、主に室外から室内への熱の移動を少なくすることです。
熱は高温部から低温部に移動する性質があり、夏は外部から屋内に熱い空気が入り、冬は屋内から屋外に暖かい空気が逃げてしまいます。
熱の移動を少なくすることで、夏は涼しく、冬は暖かい家を保つことができるのです。
遮熱と断熱どちらがいい?
遮熱は主に夏の暑さを防ぎ、断熱は夏の暑さと冬の寒さを防ぎます。
住宅の施工方法で見てみると、断熱は、屋根、天井、壁、基礎に断熱材をほどこすことで主な対策を取っています。
断熱効果を加えた窓もありますが、透明な窓は光を通しやすいもの。
そこで必要となるのが「遮熱対策」です。
1年を通して考えると、暑さも寒さも遮断してくれる断熱が不可欠ですが、特に夏に気温が上昇する地域は遮熱対策も欠かせません。
日当たりが良く、大きな窓がある方角の部屋など、時と場合で遮熱対策を考えるべきでしょう。
遮熱のおすすめアイテム
遮熱の仕組みがわかったところで、次は自分でできる遮熱方法を見てみましょう。
伝統的なすだれから技術を駆使したフィルムやシートまで、形も方法もさまざま。
好みや場所に合ったものを選んでみましょう。
機能性とデザインを兼ね備えた遮熱アイテムのおすすめブランドも紹介するので、合わせてチェックしてみてください。
定番のすだれ
細く割られた竹とひもで編んだ「すだれ」は、軒先などにつるして使います。
平安時代の貴族が日よけや部屋の仕切りに使っていたという日本の伝統的な遮熱アイテムです。
日光は遮断して、風を通して見た目にも涼しげ。水をかければ、室内に通る風を約2度下げる効果もあるとか。
プラスチック、アルミ、シリコン製など、現代風のすだれには天然素材より遮熱効果が高いものもあります。
すだれと似ている「よしず」は、立てかけて使われます。
ブラインド
ブラインドとは、金属やプラスチックの細長い帯状のスラット(羽根)が糸でつながれたもの。
ポールや紐でスラットの角度を変えて、室内に入る光や目隠し機能を調整できます。
ブラインドというと室内につけるイメージが強いですが、屋外から日射をシャットアウトする外付けブラインドも販売されています。
横型で垂直方向に開閉する一般的なベネシャンブラインドの他に、スラットが縦型で水平方向に開閉するバーチカルブラインドもあります。
ブラインドでおすすめのアイテムは、上質なデザインと機能性を兼ね備えた木製ブラインドメーカー「ナニックジャパン」です。
縦横でタイプを選べる木製ブラインドと、可動可能なウッドシャッターという2つのラインナップを用意。
天然木の無垢材を使用しており、重厚さと上品な佇まいを高いレベルで兼ね備えた見た目が特徴的です。
遮熱機能はもちろんのこと、木の素材感や経年変化といった味わいも楽しめるのが魅力!デザイン性や見た目の雰囲気を重視したい人にはおすすめです。
遮熱カーテン
遮熱効果のあるカーテンは、夏は外からの熱が伝わりにくく、冬は室内の暖気を逃がしにくいので、冬も効果が期待できます。
カーテンレールにかけるだけで設置が簡単で、種類豊富。
選ぶなら、UVカット効果があるものがおすすめです。
屋内にいると、紫外線対策を忘れがちですが、肌の深層部まで浸透するUV-Aは約80%まで室内に入り込むと言われます。
紫外線は肌や目にダメージをもたらすだけでなく、家具や床、壁の劣化、色あせの原因にもなります。
UVカット効果が高いカーテンには、部屋に入る紫外線の約90%までカットできるものも販売されています。
カーテンでおすすめのアイテムは、リネン素材100%の自然派ファブリックブランド「natsusobiku」です。
素材選びや製造工程の全てを日本で行い、確かな品質とものづくりへのこだわりを両立。
厳選された天然素材の麻は丈夫で使いやすく、長く愛用できる自然に優しいアイテムです。
日本の原風景を思い起こさせるような自然な素材感と色彩が特徴的で、無駄のないシンプルなデザインはどんな空間にも優しく寄り添うようにマッチします。
遮熱フィルム
窓に貼る遮熱フィルムは、金属層がポイント。
夏は日射を遮断して熱い空気が室内に入るのを防ぎ、冬は暖房などの赤外線を室内に反射させて、暖かい空気を逃さないようにします。
紫外線カットや、事故や災害でガラスが割れても飛び散らない飛散防止効果もあります。
一般的に、反射効果の高いフィルムは色が濃く、透明度が高いものは遮熱性能が低い傾向に。
遮熱フィルムは、網入りガラスなどの特殊なガラスだと、温度変化でガラスが割れることもあるので、貼る場所には注意が必要です。
遮熱サンシェード
日よけのサンシェードには、
- 四隅をフックや金具で「取り付けるタイプ」
- 立てかけて設置する「アーチ型」
- ひさしのように窓の上部からせり出す「オーニング型」
など、設置する場所に応じてタイプを選べます。
中には、アルミコーティングでUVカット率100%や気温差10度以上といった高い効果が得られるものがあります。
防水効果もあれば、雨の日はシェードの下で洗濯物を干すことも可能。
シェードは涼しい風を通しますが、強風には注意が必要です。
集合住宅にはシェードの設置を禁止する物件もあるので、事前に確認しましょう。
熱を反射させるアルミシート
アルミ遮熱断熱シートは、超高熱になる宇宙船や宇宙服の反射絶縁材料として開発されました。
約4ミリメートルと超薄型で、氷点下50度から80度まで耐えられます。
熱を通しやすい建材に、反射率97%のアルミシートを貼れば、ほとんどの熱線をはね返してしまいます。
屋根裏や床下からボイラー、給湯器の配管、カーペットの下まで、ハサミで切れるので扱いやすいシートです。
プチプチシート
割れ物が壊れるのを防ぐ梱包材として有名な「プチプチシート」は、シートの空気層が遮熱効果を発揮。
遮熱対策用は遮熱効果を高めるために、両面にシートが貼ってあります。
窓に水をかけるだけで貼りつけられるプチプチシートもあるので、何より手軽。
プチプチシートは窓より一回り大きいものを選び、窓をきれいに拭いてから貼ります。
片側だけにシートが貼られているプチプチシートは、突起のある側を窓側に貼りましょう。空気が入って、より遮熱効果が上がります。
貼り付け簡単な遮熱クールネットと遮熱クールアップ
「遮熱クールネット」は、ポリエステルメッシュ生地にステンレスをコーティングした遮熱効果の高いネット。
その効果をさらに高めたのが「遮熱クールアップ」です。
窓やサッシに貼りつける遮熱フィルムのひとつですが、特殊ガラスに貼ると高温でガラスが割れる危険性の高い遮熱フィルムやプチプチシートと違って、窓との間に空間ができて、ガラスが割れる心配はありません。
フィルム | 遮熱効果 | UVカット率 |
---|---|---|
遮熱クールネット | 約7度 | 69% |
遮熱クールアップ | 約11度 | 約78.3% |
メッシュ生地なので窓に貼ることができて、ミラー効果もあります。
屋上・屋根・外壁で使う遮熱塗料
屋根や外壁に塗って太陽光を反射する遮熱塗料は、遮熱効果のない塗料より少し値段が上がりますが、表面温度や室温が上がるのを抑えるだけでなく、熱による建材へのダメージを減らすことができます。
その効果は塗料の種類で異なりますが、屋根の表面温度は約8〜10度、室内は約2〜3度下げられます。
冷房の設定温度を2〜3度抑えることで、10〜20%の節電も可能です。
体感温度は人によって異なり、何となく効果が感じられる程度とも言われますが、断熱材や他の遮熱材の補助と考えれば良いでしょう。
遮熱について気になる2つの疑問
色々な遮熱の方法をご紹介しましたが、気になるのはその効果。遮熱対策をするなら、効果が高い方が良いですよね。
こちらでは、遮熱対策をする場所や遮熱アイテムで、どの効果が高いか比較します。
効果が高くても、その場所に設置できなかったり、室内が暗くなるなどのデメリットにも要注意。
遮熱効果だけでなく、デメリットも把握して、最適な対策を取りましょう。
開口部の遮熱って室外と室内はどちらのほうが効果が大きい?
壁や天井などには断熱材で対応できますが、窓や扉などの開口部は熱を通しやすいもの。
特に透明なガラス窓は、いくら断熱性能が高くても光を通します。
室内の遮熱カーテンやブラインドでも光の放射を抑えることができますが、効果は室外にかけるすだれやシェードにはかないません。
その違いは、窓の外側に当たる日射を100%とすると、室内のブラインドは約60%に、窓の外の日よけは10%〜30%と圧倒的な違い。
室内では日よけ自体の放射熱が上がって、外側ほどの効果が得られないのです。
遮熱カーテンは厚地タイプとレースタイプどちらがいい?
室内より室外の方が遮熱効果が高いとはいえ、風が強くてシェードが設置できないとか、外と中で遮熱対策をしたい時などは遮熱カーテンがおすすめ。
遮熱カーテンには厚地タイプとレースタイプがあり、基本的に繊維密度が高いほど、紫外線の反射や光の侵入を防ぐ効果があります。
厚地タイプは、西日や酷暑の地域でも遮熱効果が期待できますが、昼間閉め切ると部屋が暗くなってしまいます。
レースタイプは外の景色がよく見える分、遮熱効果は低め。
部屋を暗くしたくない、部屋からの眺めを楽しみたいという方はレースタイプを選ぶと良いでしょう。
レースタイプにステンレスをコーティングして、遮熱効果を高めたタイプもあります。
厚地タイプとレースタイプを両方かけて、西日のきつい時間帯だけ厚地タイプを使う方法も良いですね。
気楽にDIYできるアイテムを夏が来るまでに揃えましょう
夏の暑さ対策には、断熱だけでなく、遮熱も効果的ということがお分かりいただけたでしょうか。
建設時に外壁や屋根などに入れる断熱材と違って、遮熱対策はDIYでもできるアイテムが揃っています。
景観を損なわず、自分に合った遮熱対策を選んだら、次の夏はきっと快適に過ごせるはず!
適切な遮熱対策で、暑さ対策だけでなく、省エネも電気代節約も、みんな実現してしまいましょう。