洗面所は、朝起きて顔を洗い、歯を磨き、化粧をしたり、身支度をしたり、1日に何度も使う場所。
自分の生活に合わせた設計にすれば、毎日の身支度もきっと快適になるはずです。
洗面台の種類や選ぶ時の注意点など、洗面所を設置する前に見ておきたいポイントを見てみましょう。
洗面所は大きく2タイプで分けられる
洗面所と一口に言っても、そのタイプは大きく分けてふたつに分かれます。
ひとつは脱衣所に使ったり、洗濯機を置いて家事などを行う多目的タイプ、もうひとつは洗面台と収納スペースだけの化粧専用タイプです。
それぞれ使い方が違う分、注意する点も異なります。
家事室や脱衣所と兼用する「多目的タイプ」
多くの家では、風呂場の隣に洗面所を設置して脱衣所として使ったり、洗濯機を置いて家事をするなど、洗面所を化粧や髭剃り以外にも使うことでしょう。
その場合、物干し場を作ったり、シャワー付きの水栓を取りつけたり、目的に合わせて色々な工夫ができます。
多目的タイプを設置する時に特に気をつけたいのは、床や壁などの材質選びです。
脱衣所や家事室を兼ねる場合は、例えバスマットを置いていても水ハネは避けられません。
特に床材は、防水効果があり、足元がひんやりせず、滑りにくい材質にすれば快適に長く使えます。
化粧専用タイプ
化粧専用タイプの洗面所は、シンプルに洗面台と収納スペースだけ。
化粧や髭剃りなど、身支度をする時に使われます。
家の中にふたつ洗面スペースが設置できれば、2つ目を専用タイプにする家も多いでしょう。
玄関の近くや2階の寝室横などに専用タイプを設置することで、手を洗うためにもうひとつの洗面所まで行く必要がなくなります。
化粧専用タイプの洗面所には、鏡を手前まで引き出せるミラーキャビネット、手を差し出せば水が出る自動水栓、小物をうまく収納できるスペース、自然に近い光が当たる工夫など、身支度のしやすさを考えた間取りやパーツ選びができます。
目的別に考える洗面所の注意すべきポイント
色々な目的で使われることが多い洗面所は、その目的に合わせて洗面所を設置すれば、快適さや家事の効率もアップします。
設置する場所から床材や壁、天井の材質、照明、収納スペースなど、目的に合わせて何に気をつけるべきなのか考えてみましょう。
家事室として使う場合、洗濯機と洗面所の位置と動線をチェック!
洗面所を多目的に使う場合、よく置かれるのが洗濯機です。
浴室の隣にある洗面所は脱衣所も兼ねることが多く、お風呂に入る前に洋服を脱いで、そのまま洗濯機に入れられるのが便利。
お風呂のお湯を洗濯に使うという家も多いでしょう。
水回りを近い場所にすれば、工事費用を抑えられるのも大事なポイントです。
毎日の家事をする時の動線を考えて、洗面所と洗濯機を置く位置を定めると、無駄な動きを省くことができます。
脱衣所として使う場合、耐水や湿気調節できる材質を選ぶ
脱衣所兼用の洗面所は、換気ができること、そして床や壁、天井、家具に水に強い材質を使うことがポイントです。
壁によく使われるのは塩化ビニール樹脂などでできた「ビニールクロス」。
安価でバリエーション豊かな上、抗菌や汚れ防止、防カビ機能もあり、洗面所にぴったりです。
床に人気の素材は「クッションフロア」。
こちらもビニール素材で水が染み込みにくく、ビニールクロス同様、安価で色もデザインも豊富に揃っています。
壁も床もタイルなど、他の材質も多種多様にありますが、掃除の頻度や耐久性などを考えて、材質選びは慎重に!
パウダールームとして使う場合、光の取り入れを工夫する
身だしなみを整えるパウダールームとして洗面所を使う時、顔色や化粧の色味がわかるように自然光を取り入れたいものです。
電球の色は、自然の色に近い「昼白色」を選びましょう。
化粧台としての機能を考えたら、照明は、鏡の上下左右から照らすのが理想。
一方向からの照明だけだとメイクが濃くなりやすいと言われます。
フレーム全体にLEDライトがついたライト付きミラーを取りつけたり、照明が足りないと思ったらクリップライトを取りつけたりして、メイクしやすい環境を整えましょう。
目的によって収納スペースの広さと位置は変わってくる
洗面所で化粧をする人しない人、洗剤やタオル、パジャマの保管場所にするかしないかというように、洗面所の使い方も収納するものも千差万別。
使い方に合わせた収納スペースを作ることがすっきりした空間づくりのカギとなります。
化粧専用タイプであれば引き出しや鏡裏などに小物を置いておくスペースを。
洗濯機を置くのであれば洗濯機の上や横を利用して洗剤などの洗濯用品を。
脱衣所にするのであれば家族の誰もが届く場所に脱衣カゴを置くなど、入れる物に合わせて広さと位置を決めておきましょう。
洗面所が物であふれることもなく、きれいに保つことができます。
使いやすい洗面所を叶えるチェックポイント
洗面台は、毎日何度も使う場所。
毎日快適に身支度や家事をするためには、家に住む家族の構成、身長、生活の仕方に合わせて設計を考える必要があります。
洗面台のタイプから高さ、コンセントの数や位置など、ひとつひとつ慎重にアイテムを選んでいきましょう。
洗面所の広さに合わせた洗面台のタイプ
洗面台のタイプは、メーカーによって分け方が異なりますが、大体ふたつに分けられます。
ひとつは洗面ボウルに収納キャビネットを組み込んだ洗面器一体タイプ、もうひとつは洗面ボウルと他のパーツを自由に組み合わせられるタイプです。
リーズナブルに収納スペースまで揃った洗面器一体タイプは、60、75、90センチメートルなど、間口に合わせて選べますが、自由度は低め。
自由に組み合わせられるタイプはデザイン性のある洗面所が設計できますが、高価になりがちです。
どちらのタイプであっても、家族の構成と広さを考えて洗面ボウルをふたつ置くことを検討しても良いでしょう。
洗面台の高さ
毎日使う洗面台は、高さが合わないと腰の痛みにつながることもあります。
ある調査によると、身長170センチメートルの人が75センチメートルの洗面台で顔を洗うと、25キロの荷物を持ち上げるのと同じ負荷が腰にかかると言われます。
毎日使う洗面台の高さは侮れないものです。
洗面台の高さは「身長÷2」の高さが良いと言われますが、家族全員が使うことを考えると、75〜85センチメートルが妥当です。
コンセントの数と位置
一般的に、洗面所に備え付けられるコンセントの数は、洗濯機用を除いて洗面台周りに1箇所、洗面台付属コンセントの標準ワット数は1000ワット前後です。
使用するドライヤーのワット数が高かったり、何人も同時に使うことを考えると、洗面台とは別の位置にコンセントをつけておくと良いでしょう。
また、コンセントの位置も重要です。
洗濯機用のコンセントは水や埃を防ぐために高い位置に、掃除機や扇風機などには壁の低い位置にひとつ設置しておくと便利です。
洗面ボウルの大きさと材質
洗面ボウルの大きさは、大体奥行き400ミリメートル以上。
それ以下の300ミリメートル程度のものは手洗いボウルと呼び名が変わります。
洗面ボウルの大きさや形、材質は時代と共に多様化していて、円形だけでなく四角の洗面ボウルも増えています。
材質は、陶器、ホーロー、樹脂、ガラス、磁器などさまざまですが、中でも一番ポピュラーなのが陶器です。
安価で手入れが簡単、汚れが染み込むことがないため長く持ちますが、重い物を落とすと割れる可能性も。
一方、ホーローは、金属製の素地にガラス材の釉薬をコーティングして焼き上げたもの。
衝撃で欠けたり、金属部分が錆びて穴が開くことがありますが、陶器のように割れることはありません。
人工大理石とも呼ばれる樹脂は、シミがつきやすいのがデメリットですが、カウンターと一体感のあるデザイン性の高い洗面台を探す方におすすめです。
水栓金具
快適な生活のためには水栓金具選びも手を抜いてはいけません。
①お湯と水をそれぞれ調整して水量と水温を合わせる「2ハンドル」
②水量や水温の調整が楽にできる「シングルレバー混合栓」
③洗面台で洗髪できる「ハンドシャワー水栓」
④手を差し出せばセンサーで水が出る「自動水栓」
と、私たちが知っているものだけでも多様性があります。
エコタイプ、スイッチで調整できるタイプなど、メーカーによっても色々な製品が出ているので、デザインと合わせて生活に合ったタイプを選びましょう。
冬の寒さ対策
冬になると、寒い洗面所に立つのが苦痛と感じる方も多いことでしょう。
洗面所が脱衣所を兼ねる場合は、その悩みも深刻です。
室温が18度以下になると、血圧上昇、循環器系疾患などのリスクが高まると言われます。
ヒーターや暖房機を設置して、ヒートショックを防ぎましょう。
便利なのは、タイマー付きの暖房設備や、人の気配でオン・オフを切り替える人感センサー付きの暖房器具など。
暖房器具を別に置く場合は、比較的安全性の高い壁かけ型の暖房器具をお勧めします。
オシャレで使いやすい洗面所実例
新築やリフォームでせっかくきれいにした洗面所も、日々の生活と共に物が増え、いつの間にかごちゃごちゃとしていたという家も多いのではないでしょうか。
いつまでも清潔でオシャレ、そして使いやすい洗面所にしておくために、具体的にどんなことができるでしょうか。
DIYで収納スペースを作る
何かとものを置くことが多い洗面所に、収納スペースはあればあるほど便利です。
お金をかけず、DIYで収納スペースを確保しましょう。
洗面台下にはファイルボックスを置いて、洗剤用、ドライヤー用などと分ければ、出し入れも整理も楽になります。
洗濯機の上に棚がなければ、突っ張り棒やランドリーラックなどで工夫して、空間を有効活用できます。
数センチしかない場所も、ラックをかけたりフックやバスケットを取りつけて、小物を入れるスペースを確保できます。
三面鏡を使って収納スペースもたっぷり
メイクや髭剃りの時にとても便利な三面鏡。
さまざまな角度から顔を映すだけでなく、鏡を開けるとその裏には収納スペースが隠されていて、シェーバー、化粧品など、日々使うこまごまとしたアイテムを入れておけます。
来客の時には、普段洗面台に置いておく歯磨き粉や歯ブラシをしまうことも可能です。
物を置く時のポイントとしては、物の定位置を決めること、そして収納ボックスやボトルの色を統一すること。
鏡の裏に隠れているとはいえ、毎日開ける場所なら、すっきりと見せるようにしておきたいですね。
照明を活用してオシャレな雰囲気を作る
化粧や髭剃り、身だしなみチェックなど、鏡を見ることが多い洗面所の照明は、機能だけでなく、デザインにもこだわりたいもの。
ミラーの上下左右、裏側など、ミラーにライトを取りつけたライトつきミラー、天井からの長さを自分で調節できるペンダントライト、ランプを覆うシェードの色や形で雰囲気を変えられるランプシェードなど、洗面所の雰囲気に合わせて照明を選べば、オシャレな空間に生まれ変わります。
照明器具を選ぶ時には、できれば防湿・防摘機能があるものを選びましょう。
快適な洗面所を作ろう!
使いやすい洗面所づくりのヒントは見つかりましたか?
洗面ボウルの大きさや数、水道栓の種類、照明の位置、収納スペースの多さなど、快適な洗面所を作るためには、いろいろな工夫ができますよ。
配置、大きさ、パーツごとの組み合わせを考えて、居心地よく使いやすい洗面所にしてください!