マイホーム購入が決まって舞い上がってしまう人が多いですが油断は禁物。
マイホームの購入を決めたあとは、慎重に資金計画を立てていかなければなりません。
そこでこの記事では、マイホーム購入において大切な資金計画について徹底解説します。
資金計画に関する知識からポイントまで、幅広くお伝えしますのでぜひ参考にしてください。
資金計画とは?
「資金計画」とは、住宅を購入する費用を計画するだけではなく、住宅を購入したあとの「支払計画」や「返済計画」までをトータルで考えることを意味します。
資金計画を「予算を組む」ことと同じに考えている人も多くいます。
しかし「予算を組む」のはあくまでも住宅購入費用のみに焦点が当てられているため、資金計画とはまったくの別物です。
ここを間違えてしまうと、将来的に家計が苦しくなってしまう可能性があるため注意しましょう。
「資金計算」と「資金計画」の違いは?
資金計算とは、住宅を購入するときの総額を計算することです。
住宅を購入するときの費用は物件価格だけではありません。
諸費用や修繕管理費なども意外と高額になり驚く人が多いのです。
これらすべての総額を計算することを「資金計算」といいます。
一方、先にもご説明したとおり、資金計画とは住宅を購入する費用以外にも、支払いや返済といった長期的な目線で資金の計画を立てることです。
適切な資金計画を立てるためにも、言葉の意味をしっかりと理解しておきましょう。
住宅価格の目安について
「そもそも住宅って平均いくらなの?」と気になる人も多いでしょう。
下記は、国土交通省が実施した「平成30年度住宅市場動向調査」のデータをまとめたものです。
住居の種類 | 平均購入金額 |
---|---|
注文住宅 | 3,205万円 |
分譲戸建住宅 | 3,933万円 |
分譲マンション | 4,577万円 |
中古戸建住宅 | 2,814万円 |
中古マンション | 2,819万円 |
一番高いのは新築の分譲マンションですが、中古になると1/2程度の金額で購入できることが分かります。
資金計画をしっかりと立て、ご自身の予算に合った住宅を見つけることが大切です。
2つの軸で資金計画の大枠を決めよう
次に、資金計画の方法について説明します。
資金計画は、おもに「住宅資金」と「毎月の返済額と返済期間」の2つの軸で考えていきます。
1.「住宅資金」を決める
住宅資金とは、住宅購入に充てられる資金のことです。
次のような計算式で算出します。
【現在の貯蓄額-生活予備費=住宅資金】
ここで大切なのは「生活予備費」です。
生活予備費とは、病気・怪我・自然災害などに遭ったときや、万が一失業してしまったときなどに充てる「もしものお金」を意味します。
また、子供がいる場合には、今後絶対に必要になる養育費なども生活予備費に含めておくと安心です。
これらの生活予備費を貯蓄額からマイナスしたお金を住宅資金にしましょう。
2.「毎月の返済額と返済期間」を決める
毎月の返済額を決めるときに重要なのは「借りられるお金」を考えるのではなく「毎月いくらなら返済できるのか」です。
返済額だけではなく「固定資産税」や将来的に必要になる「修繕費」なども計算しておく必要があります。
こうした費用をすべて含めて住宅購入にかかる金額が、年収の25%以下に収まると比較的楽に返済を続けていけるといわれています。
また、返済期間を決めるときには、自分自身の性格や年齢を考慮したうえで決めていきましょう。
返済額と返済期間について、記事後半で詳しく後述します。
「住宅資金」準備のポイント
続いては、住宅を購入する費用に充てられる「住宅資金」における準備のポイントを5つご紹介します。
住宅資金を貯める方法
住宅資金を貯める方法には、おもに以下のようなものがあります。
住宅資金を貯める方法 | 詳細 |
---|---|
積立貯金 | 毎月の給与から一定額を積み立てて貯金する方法 基本的には金融機関で行うが、勤務先に積立制度がある場合もある |
積立用の保険に加入 | 保険も多種多様で、利率が良く貯金できるような保険も存在する 詳しく知りたい人は、生命保険会社に相談するのがおすすめ |
投資 | ただ貯金するよりも効率よく資金を貯められる ただし、元本割れのリスクがあるため注意する |
NISA | 個人投資家のための税制優遇制度 これを利用すれば、一定額に達するまで税金が免除されるため、手取り額が大きくなる ただし、NISAを使っても投資の元本割れリスクは回避できない |
親族からの援助 | 援助が受けられる場合は受けることをおすすめする |
住宅資金を貯める方法にはさまざまな種類がありますが、複数の方法を活用してリスク分散することを心がけましょう。
また親族が援助してくれる場合、最大3,000万円の贈与なら税金はかかりません。ただし、これを超えた場合、贈与税を支払わなければならないことを覚えておきましょう。
住まいの給付金や自治体の制度を利用する
国が設けている住宅資金補助制度である「すまい給付金」や、住んでいる地域の自治体が設けている補助制度を利用すれば、支払い金額を軽減させられます。
こうした制度にはある程度の条件が定められているため、当てはまる場合には申請してみることをおすすめします。
住宅購入の諸費用とは?
前述のとおり、住宅を購入するときにかかる費用は、物件価格だけではありません。
- 土地代
- 印紙税
- 不動産取得税
- 固定資産税精算金
- 登記費用
- 火災保険料
- 仲介手数料
- 住宅ローンを組む場合の諸費用
単純に物件価格のみを考えていると、資金が足りなくなってしまうため注意してください。
住宅購入の「頭金」はどれぐらい必要?
「頭金」とは、住宅を購入する費用のうち、現金で支払うお金のことです。
この頭金は、住宅資金の2割以上を準備しておくと、そのあとの返済が楽になります。
ただし、貯金してきたお金から生活予備費を避けておくと、十分な頭金が揃えられない場合もあるでしょう。
頭金が少ない場合でも、住宅の購入を諦める必要はありません。
住宅を購入して長く住む予定(売却を考えていない)の人や、購入後に資金を増やす方法を続けて繰り上げ返済する予定の人などは、頭金が少なくても住宅の購入を検討して大丈夫です。
購入に必要な資金とタイミングは?
住宅を購入に必要な資金と、それを支払うタイミングをご紹介します.
資金の種類 | 支払うタイミング |
---|---|
土地手付金 | 土地の購入申し込みのとき |
土地決済金 | 申し込みが通り、土地を購入するとき |
着手金 | 住宅の工事を始める前の請負契約するとき |
中間金 | 住宅工事の途中(上棟が出来上がったとき) ※上棟は業者によって範囲が異なるため注意する |
建物決済金 | 住宅が完成して引き渡しの時 |
契約内容によって金額は異なるため、事前に施工業者や不動産会社に確認しておきましょう。
毎月の返済額と返済期間のポイント
この章では、毎月の返済額と返済期間を考えるときのポイントをご紹介します。
このポイントを理解したうえで、無理のない住宅ローンを組みましょう。
返済期間は定年までの年数を基準にする方法を推奨
返済期間を決めるときは、自分の現在の年齢から定年までの年数を基準にすることをおすすめします。
多くの人は、定年を迎えると年金で暮らすことになり、ローンを支払うのが大変になるからです。
たとえば現在35歳で、定年である65歳まで働くとしましょう。
定年まではあと30年あるため、住宅ローンの返済期間を30年で組めば、定年後に住宅ローンの返済で苦しむことはありません。
定年までの年数を考えずに長いローンを組んでしまうと、定年後まで支払いが続いてしまうため注意しましょう。
毎月返済額とボーナス時加算額を決める
先にもご紹介しましたが、住宅購入にかかる費用が「年収の25%」以内に抑えられると、比較的楽なプランで返済していけるでしょう。
たとえば、年収500万円の人の場合、年収の25%は125万円です。
それを12ヶ月で割ると、月々約10万円の支払いが可能といえます。
長い目で見たときに「これくらいの負担なら支払える」と考えられる計画を立てましょう。
また、住宅ローンの返済方法の1つに「ボーナス時加算」があります。
ボーナス時加算とは、勤務先からボーナスが入る月には毎月の支払額以上に、一定額を支払う方法です。この方法を利用すれば、返済期間を縮められたり、毎月の支払額の負担を減らしたりできます。
ただし、ボーナスは景気の変動を受けやすいのが難点です。
ボーナス時加算で返済しようと思っていたのに、会社が不景気に陥りボーナスが廃止されてしまったといった状況もあり得るので注意です。
この方法を利用するときには十分に検討したうえで決めていきましょう。
住宅ローンの種類を選ぶ
住宅ローンと一口にいっても、その種類はさまざまです。
自分たちのライフスタイルに合った住宅ローンを選びましょう。住宅ローンの種類
- フラット35
全期間固定型の代表的な住宅ローン - 民間ローン
固定期間選択型や変動型をメインにしている
住宅を購入する場合に受けられる制度「住宅ローン減税」を利用することもおすすめです。借入額の1%に相当する金額が所得税から減税されます。
金利タイプの選び方
金利にも様々なタイプが存在します。
- 全期間固定型
返済期間中の金利が前もって決められている - 変動型
金利が低いときもあれば、高くなってしまうときもある - 固定期間選択型
2年、5年、10年、20年などで金利が固定される
ご自身の仕事の状況や家庭状況、また性格などによってもおすすめできる金利のタイプは異なります。
不動産会社や金融機関とよく相談したうえで決めましょう。
住宅購入後のランニングコストも忘れずに計算
住宅を購入したあとも継続的に支払い続ける必要があるランニングコストにも目を向けておきましょう。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 共益費(マンションの場合)
- 保険料(火災や地震など)
こうしたランニングコストも予定に入れておかなければ、支払いに苦労してしまう可能性もあるため注意してくださいね。
資金計画を賢く立てるにはプロへの相談や事前シミュレーションが大事!
この記事では、住宅購入に必要不可欠な「資金計画」について詳しく解説しました。
自分で資金計画を立てられる人はあまり多くはないでしょう。
住宅の購入は金額が大きいため、プロに相談したり、シミュレーションサイトを活用したりすることをおすすめします。
将来を見据えた資金計画を立てて、夢のマイホームを購入に役立ててくださいね。