賃貸物件の構造欄で見かけることが多い「RC造」という構法。
なんとなく頑丈そうなイメージはあるけど、RC造住宅の具体的な特徴やメリット・デメリットは知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、RC造の基本知識のほか、ほかの構造の特徴もあわせて紹介します。
構造の詳しい特徴を知って、理想のマイホームを実現できる構造を見つけてみてください。
目次
建物にはどんな構造がある?
賃貸物件を探すときやマイホームを建てるときなどに必ず把握しておきたい建物構造。
構造とは、簡単にいうと建築物で使用される材料や組み立て方のこと。
構造には様々な種類がありますが、そのうちの一つが「RC造」です。
こちらでは、RC造の特徴とほかの構造の特徴を紹介します。
鉄骨コンクリート造(RC造)
RC造とは「Reinforced Concrete」の頭文字で、直訳すると「補強されたコンクリート」という意味。
「鉄筋コンクリート造」のことで、主に柱や梁、床、壁が鉄筋とコンクリートで構成されていて、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたものを指します。
マンションやオフィスビルの多くがこのRC造で建てられています。
木造(W造)
木造は材質「Wood」の頭文字をとって、W造とも表記されます。
主な構造部分に木材を使用してつくられた建物の構造を「木造(W造)」と呼びます。
木造は日本の湿度の高い気候や風土に合っていることから、昔から多くの建物がこの構造を用いて建てられてきました。
いまも、賃貸アパートや一軒家などでよく見かける構法です。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
SRC造は「Steel Reinforced Concrete」といってRC造と似た構造のこと。
「鉄骨鉄筋コンクリート」という意味で、鉄骨を支柱とし、その周りに鉄筋を組んで、コンクリートを打ち込んだ構造を指します。
大型のマンションや高層ビルなどによくみられる構造で、RC造よりもさらに耐久性が高いのが特徴です。
RS造(一階がRC造、二階がS造のような混合構造)
RS造とは「Reinforced Steel」の略で、一階がRC造、二階がS造のような「混合構造」のこと。
建物の下の部分(一階)にある柱や壁、床、天井などは鉄骨コンクリート(RC造)で、その上部(二階)の柱と梁、屋根などの架構部分は鉄骨造(S造)で構成された建物のことを指します。
低中層マンションなどでよく使われる構造です。
賃貸で一階か二階どちらかを選ぶ場合など、RC造の一階とS造の二階で遮音性に違いが出るので注意が必要です。
鉄骨造(S造)
S造は「Steel」の頭文字で、「鉄骨造」を指します。
鉄骨造の中でも鋼材の厚みによって呼び方が変わります。
- 6mm以上のものは「重量鉄骨構造」
高層ビルやマンション、体育館などの大規模な建物に適しています。 - 6mm未満のものは「軽量鉄骨構造」
一般的な住宅や小規模な店舗などの建物で用いられています。
鉄骨造はRC造やSRC造とは違ってコンクリートを使わないため、強くてしなやかで軽量化できるのが特徴。
SE構法
憧れのマイホームを建てるとき、紹介した構造とは別に知っておきたいのがSE構法です。
SE構法とは、「Safety Engineering」の略で、「工学的に安全な構法」のことを指します。
鉄骨造(S造)やRC造において主流のラーメン構法に、木造建築の良い部分を取り入れて洗練させたのがSE構法です。
ラーメンとはドイツ語の「Rahmen」で、「額縁」や「枠」を意味します。
耐震工法とも呼ばれ、接合部に高剛性のSE専門金物を使うことで断面欠損や柱の引き抜き現象を防ぎ、耐震性を高く保っているのが特徴です。
本来はコストの高いRC造などでしかできなかった、大きな吹抜けや柱のない大きな開口のあるデザイン設計が木造でも可能になっています。
耐震性が高いという安心感に加えて、デザインの自由度も高い魅力的な構法といえます。
RC造には2つの構造がある
様々な構造の種類と特徴を紹介しましたが、RC造についてさらに詳しく紹介しましょう。
鉄骨コンクリート造であるRC造には主に2つの構造があります。それぞれの構造について解説します。
ラーメン構造
先ほどSE構法のところでも少し触れましたが、「ラーメン構造」はドイツ語の「ラーメン」の意味のとおり額縁のような枠で建物を支える構造です。
壁式構造に比べると横揺れには弱いと言われますが、垂直方向に建つ「柱」と、柱と柱をつないで水平方向にかけられる「梁」で長方形を構成しており、建物の強度や耐震性も確保できる構造になっています。
面ではなく線で構成されるため、広い空間や大きな開口などのデザインの幅も広がり、将来リフォームするときに自由度が高いのが特徴。
一方、室内に柱や梁が張り出すため、デメリットに感じるという声も。
建ててから「イメージと違った!」ということがないように、事前にどのような完成イメージになるかをチェックしておきましょう。
壁式構造
「壁式構造」は、床と天井、4枚の壁の面で構成される構造です。
横からの力に強い耐力壁であり、分厚く防音効果があります。
断熱性にも優れており、冷暖房の効きが良いことも魅力として挙げられるでしょう。
また、柱や梁ではなく壁という面で建物を支えるため、室内は凹凸がなくすっきりとした印象になります。
柱などの凹凸がないことで、家具の配置がしやすいのも嬉しいポイントです。
ただ、建物を支える壁を取り払うことはできないため、間取り変更などのリフォームは難しくなります。最初の設計時に将来的な計画も踏まえて間取りやデザインを考えるといいでしょう。
RC造のメリット
多くのマンションで採用されている構造でもあるRC造。
鉄筋やコンクリートというだけあって、頑丈そうなイメージはあるかもしれませんが、どんなメリットがあるのでしょうか。
代表的な4つのメリットを紹介します。
耐震性
RC造のメリットの一つは”耐震性に優れている”という点でしょう。
これは、鉄筋とコンクリートの構造上の特性が関係しています。
RC造では、骨組みに鉄筋を使用し、それをコンクリートで覆います。鉄筋のたわみや曲がりはコンクリートの硬さで、コンクリートの曲げに対する弱さは鉄筋で補っています。
この鉄筋とコンクリートの組み合わせにより、木造(W造)や鉄骨造(S造)と比べて耐久性が高くなります。
耐火性
RC造住宅は壁や柱、床などの主要構造物が全てコンリートで造られているため、材質そのものが燃えることはなく、住宅全体の耐火構造が高いです。
気密性も高いので、マンションのほかの部屋で火事が発生した場合でも、延焼のリスクを低く抑えることができます。
耐火性及び気密性に優れていることから、万が一火事が発生した場合も被害を最小限に抑えることが可能でしょう。
防音性
(must:家の中で子供が走り回る様子)
RC造は、木造(W造)や鉄骨造(S造)と比べて、”防音性が高い”ことも魅力の一つです。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)には劣りますが、RC造住宅は外部の音がほとんど遮断されます。
ただし、マンションなどの共同住宅の場合、マンション自体はRC造でも、部屋同士の区切りの壁は石膏ボードなんてことも。
その場合、ベランダや通路などの防音性が高くても、隣同士の生活音が丸聞こえになってしまいますので、賃貸や購入する場合には事前の確認が必要です。
耐用年数が長い
住宅用の木造の耐用年数が22年であるのに対し、住宅用のRC造の耐用年数は47年。
木造に比べてRC造の方が長く設定されているのです。
耐用年数が長いため、ローンを組む場合も長く組むことができ、月々の返済額を抑えられることができるのは嬉しいポイント。
また、耐用年数とは別に、”RC造の寿命は65年以上、長いと100年以上”とも言われています。
それはやはり、木造などと比べて素材自体の耐久性が高いことも大きな理由でしょう。
実際にRC造の建物が取り壊される場合は、「設備や機能面、経済的理由によるところが大きく、建物の寿命を理由に取り壊されることは少ない」そうです。
RC造のデメリット
紹介した以外にも、断熱性の高さや設計の自由度の高さなど、RC造には非常に多くのメリットがあります。
良いこと尽くしのように思えるRC造にも、デメリットにもなりうる点が2つあります。
順番に見ていきましょう。
家賃や建築費用が高め
賃貸の家賃やマイホームを建てる場合の建築費用も、木造や鉄骨造などに比べるとRC造は費用が高くなりがち。
理由は、様々な建設材料が必要になり、建築の作業工程も大掛かりなものになることから、材料費に加え人件費などが多くかかるためです。
坪単価で比較すると、”木造の1.5倍~2倍ほどのコストがかかる”と思っておきましょう。
地盤を強化する必要がある
RC造は鉄筋やコンクリートなどの重い材料を使用することから、建物全体が非常に重くなります。
そのため、そのままの地盤に建てることができないというケースも少なくありません。
地盤が軟弱な場所にそのまま建ててしまうと、地盤沈下や液状化の懸念があるため、地盤を強化する必要があります。
安全な住まいを建てて、安心して暮らすためにも、地盤調査や改良・強化の工事は欠かせません。地盤強化に費用がかかることは念頭においておきましょう。
建築構造の特徴を知って賢く建てよう
この記事では、RC造の特徴やほかの構造の種類、RC造のメリット・デメリットを紹介しました。
RC造の特性を十分に理解したうえで、理想の一軒家やマンションの購入を検討してみましょう。