自分好みの家を建てようと、建築屋さんにこんな要望を出したい方も多いのではないでしょうか?
- 広い間取りを取りたい
- 吹き抜けの天井がいい
しかし、実は一般的な構法では耐震性能の面で建築基準法に違反してしまう為に思うように間取りが取れなくなってしまうこともあります。
そんな時の強い味方、SE構法をご存知でしょうか。
SE構法とは全棟構造計算をすることで耐震性能を厳密に計算し、安心安全な間取り設計をしつつ、広く間取りを取るような設計が出来る優れた構法です。
今回の記事では、SE構法について解説をします。自分たちだけの家造りに役立ててください。
目次
SE構法とは広い空間を演出しつつ耐震性能を維持できる構法
SE構法とはSafety Engineeringn(Engineering For Safety)の略で、「工学的に安全な構法」のことを言います。
全棟構造計算をしていることから様々な間取りの設定が可能です。広い空間を演出しながら耐震性能を維持することが出来るため、大変人気な構法となっています。
SE構法によってたとえば以下の様な設計が可能になります。
- ビルドインガレージ
- 狭小3階建
- 吹き抜け
- 屋上利用
- 勾配天井
- スキップフロア
以下に詳しく解説をしていきます。
ビルドインガレージ
ビルドインガレージとは車を格納するスペースを設計に組み込んで、シャッターやドアを設置したタイプのガレージです。
地下室のようにガレージを設けることもでき、様々な設計が可能です。
またビルドインガレージの場合、ガレージの面積が延べ床面積の1/5までは床面積に含めずに計算することが可能です。
狭小3階建
狭小3階建とはその名の通り、狭い土地で3階建の建物を建てることです。
ビルドインガレージと合わせることで2階建ての住居スペースと車の格納スペースを確保することが可能になります。SE構法を行うことで狭い土地でも有効に活用出来ます。
狭小スペースで自宅を建てることが可能になれば、都心部でもマイホームを持ちやすくなったりと立地にこだわることが出来ます。また、狭い土地であればあるほど固定資産税を抑えることも出来る為、お得にマイホームを持つことも可能です。
吹き抜け
SE構法を利用することで吹き抜けを取り入れることも可能です。
家全体を同じ空間にすることが出来る為、床面積以上に広さを感じ、開放的な空間を演出することが出来ます。天井も高くなり、子供がどこにいてもすぐ見つけることが出来る点も安心できますね。
一方で構造上どうしても耐震性能が落ちてしまうのが吹き抜けのデメリットです。
なので耐震性能を考えると不安な面が残りますが、それを解決してくれるのがSE構法というわけです。SE構法を利用して構造計算をすることで、安心して吹き抜けの家に住むことが出来ます。
屋上利用
屋上利用もそのままです。
SE構法を行うことで建物の屋上を利用できるようになります。全棟において構造計算をしている為、耐震性能も問題ありません。
屋上が利用できることでガーデニングなどの本来に綿必要な趣味も楽しむことが出来たりと、暮らしを楽しむ様々な工夫が出来ます。
勾配天井
SE構法であれば、天井に勾配を付けることも可能です。
都心部などの狭小地では最上階の天井が低くなってしまいがちですが、天井に勾配を付けることで天井部に首脳スペースを確保することが出来ます。天井部分の有効活用や最上階の天井を高くすることで解放感を得ることが出来たりと空間利用が出来ます。
スキップフロア
スキップフロアとはフロアの高さを半階分ずらして間取りをとる事です。
階段の踊り場にフロアを作るイメージです。
段差を付けることで空間を有効に利用することが出来ます。空間と言ったら横に活用するのが一般的ですが、スキップフロアなら縦の空間、つまり段差を利用して部屋を区切ることが出来ます。
廊下を作る必要がなくなるため、同じ土地でもより部屋を広く設計することが出来たり、収納スペースを広く確保することが出来ます。
また、1階部分と2階部分を上手につなぐ空間を演出で切るのも大きなメリットです。
一般的な構造の家に比べて家の中全体を見渡しやすいため、子供が遊んでいても見つけやすいです。
また、子供にとっては家全体がアスレチックのように感じることが出来る為、楽しむことが出来るでしょう。SE構法では上記のような様々なカスタマイズを行うことが出来ます。また、狭い土地でもマイホームを持ちやすいため立地にこだわりたい人の為の構法とも言えますね。
SE構法に使用される建築材について解説
SE構法でできる様々なメリットとカスタマイズ方法について紹介いたしました。
空間を広く使いながらも耐震性能を維持できるのがSE構法です。なぜこのように広く空間を使いながら耐震性能を維持できるのでしょうか。
その秘密は建築の部材に隠されていました。SE構法は一体どのような構成をしているのか、解説いたします。
SE構法は基本的に、SE金物、集成材、針葉樹合板、28mm合板で構成されています。それぞれがSE構法で重要な役割を果たし、耐震性能の維持に一役買っています。
SE金物
SE金物はSE構法において接合部を構成しています。柱と梁をつなぎ、高い耐震性能の維持を可能にしています。
一般的な木造住宅では接合部に柱や梁をホゾ継ぎするため、断面を欠損させてしまい住宅の強度が低下していきます。
しかし、SE金物を使用することで、大きな揺れが起こっても接合部が欠損されません。その為、SE金物を使用することで優れた耐震性能を維持できるのです。
SE金物はカチオン電着塗装されている為、100年間もの間強度を保つことが実験によって証明されました。
集成材
集成材はSE構法において柱や梁を構成しています。断面寸法の小さい木材を接着剤で再構成して作られている木質材料です。
集成材は自然素材である無垢材とは違い、一本一本検査されており、一定の強度が保証されています。
その為、自然素材の無垢材とは違い、強度にばらつきがありません。
結果、容易に構造計算を行うことが出来るのでSE構法に使用され、耐震性能を保証することが出来るのです。
針葉樹合板
針葉樹合板はSE構法において壁を構成しています。
針葉樹版は板面に節などがあり、平滑性の点では広葉樹合板には劣りますが、一方で針葉樹は広葉樹に比べて軽量で柔軟性で勝っています。
そのため、耐震性能に優れており、SE構法で採用されています。
28mm合板
この合板SE構法において床を構成しています。
床の構造用の合板で一般的な木造建築では24mmの厚さなのですが、SE構法では28mmの厚さのものを利用します。
そのため、耐震性能に優れているのです。
SE構法では細かく釘を打つ箇所も決められていて、SE構法専用の合板には釘を打つ箇所に丁寧にマークが入っています。
このような合板を使用している為、しっかりと建築することが出来、優れた耐震性能を確保することが出来ます。
SE構法についてまとめ
いかがだったでしょうか。
SE構法は耐震性能を確保しつつ広い空間を演出できる優れた構法です。
SE構法を利用することで、下記の6つの特徴があります。
- ビルドインガレージ
- 狭小3階建
- 吹き抜け
- 屋上利用
- 勾配天井
- スキップフロア
広い空間を演出したりと、自分好みの建築をデザインできる優れた工法です。
そして、SE構法の構成は以下の4つの建材を使用することが多いです。
- 接合部…SE金物
- 柱、梁…集成材
- 壁…針葉樹合板
- 床…28mm合板
どれも耐震性能に優れた部材をふんだんに使用しており、安心して生活することが出来ます。SE構法を利用し、満足のいくマイホームを建ててみてはいかがでしょうか。