物価高の背景もあり、近年マンションリノベーションの需要が高まりつつあります。
とはいえ、「リノベーションでどこまで変えられるの?」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
マンションはリノベーションできる・できない場所が明確であり、素人でも見極められます。
今回は、見極め方や内覧時のチェックポイントを詳しく解説します。
理解しておけば物件選びで失敗せず、理想の住まいが実現しますよ。
目次
リノベーションはマンションの専有部分のみ可能
マンションは「専有部分」と「共用部分」に分けられます。
専有部分はリノベーションが可能であり、室内の床・壁・水回り設備を含む部屋の内部を指します。
一方、共用部にはバルコニー・窓・サッシ・玄関のドアなどがあります。
これらはマンションの所有者全員が共用する場所であり、リノベーションできません。
ただし、リノベーションできる範囲はマンションによって異なり、詳細は管理規約に記載されています。
専有部分であってもマンションによっては「水回りの移動禁止」「特定の床材を使用しなければならない」など、禁止事項が設けられている場合もあるのです。
マンションの専有部分はどこまでリノベーションできる?
まずは、専有部分のリノベーションは一般的にどこまで可能か判断基準を解説します。
知識として身につけておけば物件を購入する材料になります。
間取り
間取りを変更できるか否かは、マンションの構造を確認する必要があります。
基本的に、壁を撤去して間取りを大きく変えられるのは「ラーメン構造」です。
ラーメン構造とは柱と梁で建物を支えており、間仕切りを取り払えます。
細かく分けられた居室を一部屋にしたり、生活動線に配慮した間取りにできたり、収納を大きくしたりなど間取り変更は自由自在。
一方、「壁式構造」のマンションだと柱や梁はなく、コンクリートの壁と床で建物を支えているため間仕切りは撤去できません。
間取りを大きく変えたい場合は、マンションの構造を確かめましょう。
水回り
水回りの移動は、「床が二重床構造である」と「PS(パイプスペース)の位置」に注目しましょう。
二重床構造とは、コンクリートスラブと床の間に空間を設けて配管を通している構造です。
排水管が長いほど一定の勾配が必要になるため、床下空間の高さは欠かせません。
空間にゆとりがあることで配管が動かしやすくなるのです。
また、PSとは上下階の配管をつなぐスペースであり、位置は動かせません。
そもそも、マンションの排水は床下に引いた排水管がPSに集められて下水へ送る仕組みです。
つまり、PSから離れた位置に水回りを移動するとその分建材や工事費がかかり、床の高さを上げざるを得ません。
そうなると、圧迫感を感じる室内になる可能性もあるでしょう。
ちなみに、トイレの大幅な移動はあまりおすすめしません。
トイレの近くには汚水配管用のPSがあり、既存の位置から離すとつまりの原因になります。
向きを変えるなど、軽微な移動なら可能です。
内装
内装はリノベーションの自由度が高く、以下がその一例です。
- 壁や天井のクロスの張替え・塗替え
- 室内ドアの交換
- 水回りの設備
- 造作家具の設置
特にフルリノベーションに特化した建築会社の強みは、室内に合わせた造作家具を作れること。
柱の出っ張りを活かしてデッドスペースが生まれないようにしたり、内装と調和する質感の素材を使用したりなど、使い勝手がよくおしゃれな空間が実現します。
床
床のリノベーションは管理規約の範囲内であれば自由に変更可能です。
例えば、管理規約で定める遮音等級をクリアできれば、カーペットや畳からフローリングに変えられます。
また、防音効果や断熱性を求めるなら床材の下に遮音材を敷いたり、床と床の間の空間に遮音材を敷き詰めたりなど。
床のリノベーションは暮らしの質を高めるメリットがあります。
天井
天井の構造は、コンクリート躯体と仕上げ天井の間に空間がある「二重天井」と、建物の構造がむき出しになっている「直天井」の2種類です。
構造次第で高くしたり低くしたり自由なリノベーションが可能。
例えば、二重天井の場合は直天井にして天井高を上げると、開放的でインダストリアルな空間が実現します。
一方、どちらの構造でも天井高は下げられます。
天井の梁を隠したい、室内の断熱性を高めたい場合に適しており、落ち着きのある空間に。
寝室や書斎に向いています。
設備
リノベーションは設備の一新も可能です。
以下は一例であり、それぞれの特徴と注意点を解説します。
IHの導入・エアコンの対応平米数を上げる・コンセントを増やす際は、電気の上限を確かめましょう。
築古マンションだと容量の上限が低い可能性があります。
複数の電気設備を同時に使用するなら50Aあれば安心です。
また、ガスの給湯器も同様です。
エアコンを新たな場所に設置するには、外壁に室外機と室内機を結ぶ穴を開けなければいけません。
外壁は共用部であるため、穴を開ける場合は管理組合へ申請する必要があります。
また、室外機置き場の増設は一般的にできません。
2台のエアコンに対して室外機を1台にするなどの対策が必要です。
床暖房は、「既存の床に直接貼る方法」と「床をはがして下地から工事する方法」があります。
直貼りなら低コストで手軽です。
工事の場合は、ガスや電気の使用可能容量を管理会社に確認しましょう。
熱源は電気とガスの仕様があり、どちらも消費量が大きくなるからです。
容量範囲内であれば床暖房は設置できます。
リノベーションできない共用部分はどこまで変えられる?
共用部分の中でも所有者が使用できる「専用使用部分」は、管理規約の範囲内で部分的に変えられる箇所もあります。
以下はその一例なので、参考にしてください。
玄関のドアは内側のみ塗り替えが可能です。
鍵は、オートロックシステムで共用エントランスと連動している場合は交換できません。
既存の窓の内側に新たな窓を設ける(内窓)のは可能です。
断熱性を高められ、結露防止・省エネ・遮音効果が期待できます。
窓ガラスの破損やサッシの劣化で交換したい場合は、管理組合に申請する必要があります。
バルコニーは、管理組合の了承を得られればすぐに撤去できるウッドデッキが設置可能です。
ただし、大規模修繕の際はすべて撤去しなければいけません。
また、避難扉を防がない工夫が重要です。
リノベーションでどこまで変えられるか内覧時にチェックするポイント
リノベーションでどこまで変えられるかは、目視で確認することも重要です。
以下は、内覧時のチェックポイントなので参考にしてください。
間取りの自由度を判断する際は、間仕切り壁を軽く叩いてください。音が響く場合は撤去できる可能性があります。一方、叩いても音が響かなければコンクリートの壁なので取り払えないと理解しましょう。
水回りで目視できる点は、「給湯器の状態」「水回りの水圧」「水栓の状態」です。
給湯器はガスの容量を把握できるので、設備導入の参考になります。
水圧や水栓は、配管の状態を知る手段です。
配管が劣化していると水圧が弱く、水漏れの可能性もあるため配管工事が必要と判断できます。
床の状態把握は、階下の住民への配慮にもつながります。
チェックポイントは、「ゆがみ・きしみの有無」「床の厚さ」「水漏れ跡の有無」です。
フローリングを張り替えたい場合は、床材の制限や遮音等級を管理会社に確認しましょう。
上下階や外からの騒音の有無は、内覧時だからこそ見極められるもの。
騒音の程度や種類が分かれば遮音や吸音対策ができます。
マンションリノベはどこまでできるかの見極めが重要!
マンションリノベーションは専有部分のみ変更可能です。
しかし、リノベーションできる範囲や制限は管理規約に記載されており、マンションによって異なることもあります。
とはいえ、管理規約にある条件を満たしていれば、基本的にリノベーションはできるもの。
マンションリノベーションの実績がある工務店を選べば、さまざまな方法で室内を一新でき、インテリアコーディネートまで任せられます。
千葉県美浜区で工務店・インテリアショップを運営しているTIMBER YARDでは、中古マンションのリノベーションも手掛けています。
リノベーション範囲の相談はもちろん、プロの視点から最適なプランをご提案。
上質な住まいの提案に加えて、北欧家具のインテリアコーディネートも行っています。
住まいのリノベーションを検討している方は、ぜひ一度お問い合わせください。
どこまでリノベーションできるかは、管理規約を読み込むことが重要なのです。