下半分を別の色や素材で張ってある壁を「腰壁」と言います。
ひと手間加えたおしゃれな壁面は、住まいをおしゃれに見せるだけでなく、壁を汚れや傷から守る実用的なメリットも。
しかし、メリット・デメリットがわかりにくく、取り入れるかどうか迷う方もいらっしゃいます。
そこで今回は、腰壁の役割やメリット・デメリットを具体的に整理し、素材やおすすめの設置場所も解説します。
腰壁を取り入れてみたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
腰壁とは?
腰壁とは、床から90cm〜100cmくらいの高さにつくる壁のことです。
ちょうど人の腰くらいの高さなので腰壁と呼ばれます。
住宅で使う腰壁は、主に次の2種類です。
- 腰から下に張られる壁
- 間仕切りのための壁
それぞれ、どのように使われるのかご紹介します。
腰から下に張られる壁
壁の腰から下の高さに、違う色の壁紙や、板やタイルなど別の素材を張った壁を腰壁といいます。
色や柄のついた壁紙でデザイン性を高めたり、板やタイルのように傷や汚れに強い素材で壁を保護したりする目的で使われます。
腰くらいの高さの壁を間仕切りにする腰壁
もうひとつの種類は、間仕切り壁として使う腰壁です。
よく使うのは、対面キッチンのカウンターや2階の階段ホールの手すりなど。
空間をゆるやかに仕切ったり、落下を防いだりする目的で使います。
他の壁と同じ壁紙を張ることもありますが、タイルや板張りにしてデザイン性を高める場合もあります。
腰壁を採用するメリットは?
腰壁を使う具体的なメリットは次の通りです。
壁紙を傷や汚れから守る
壁の床から腰くらいの高さは、最も汚れや傷がつきやすい部分。
住宅では白やアイボリーなど明るい色の壁紙をよく使いますが、汚れが目立つ色でもありますね。
そこで耐久性があり掃除しやすい素材を選んで腰壁をつくると、汚れが気にならなくなります。
最近は、汚れがすぐ落ちるコーティングや消臭機能がついた機能性の高い壁紙も出ています。
壁のデザイン性がアップする
腰壁を張ると、おしゃれで高級感のあるインテリアになります。
板張りやタイルなど立体感のある素材を選ぶと、高級ホテルのような上質な雰囲気に。
ナチュラルな印象にしたいなら、レンガやヴィンテージ加工のある木材もいいでしょう。
空間をゆるやかに区切れる
対面キッチンを腰壁で囲むと、ダイニングとキッチンを一体の空間として使えます。
また、2階の階段ホールの手すりを腰壁にすると、階段室が吹き抜けのように広くなります。
このように、腰壁で間仕切りを作ると、空間を広く感じられるメリットがあります。
腰壁のデメリットは?
一方で、腰壁を使うデメリットはどんなものがあるのでしょうか。
部屋が狭く見えることがある
壁の上下で異なる色や素材を使うと、壁が低く感じられることがあります。
壁の低さは落ち着きを感じさせる効果がありますが、狭いお部屋や廊下で腰壁を多用すると、狭く感じることも。
コンパクトなスペースで腰壁を使う場合は、上部の壁と同系色の色を選んでコントラスト抑えることなどが効果的です。
壁紙サンプルなどで慎重にシミュレーションしてから、色や素材を選びましょう。
設置にコストがかかる
もうひとつのデメリットは、コストです。
材料費がかかるケースもありますが、多くの場合は設置時の手間代。
上下で壁紙を張り分けたり張り方の違う素材を使ったりするので、作業の手間や時間がかかり、コストが上がる傾向があります。
長い時間を過ごす部屋や見せ場となる場所を選んで、効果的に導入しましょう。
腰壁に使う素材は?
腰壁に貼る素材は、目的に合わせてさまざまな種類を使い分けます。
見た目の印象だけでなく、耐久性やメンテナンスのしやすさも考慮して選びましょう。
ここでは、よく使われる素材を4つピックアップして紹介します。
板張り
板は、耐久性が高く加工しやすい素材です。
樹種によって、和風にも洋風にも対応でき、幅広い価格帯から選べるのもメリットです。
パイン材やレッドシダーの無垢材なら、ナチュラルでカジュアルな雰囲気に。
オークやウォールナットなら高級感のある雰囲気になります。
インテリアに合わせて選びましょう。
また、塗装で色をつけられるのも板張りの良さ。
シナやラワンの合板を仕上げとして使い、好みの色に塗装するとさらにデザインの幅が広がります。
石材
高級感のあるインテリアに似合うのは、天然石の腰壁です。
鏡面のような光沢のある仕上げを選ぶと高級ホテルのようなモダンな印象に。
あえてゴツゴツとした質感を残した仕上げも、おしゃれです。
石材は、重さと厚みが難点です。
あまり高い場所や狭い場所には張れないことも知っておきましょう。
タイル
タイルを使った腰壁も、素敵ですね。
タイルの大きさや貼り方、色でかなり幅広いバリエーションが楽しめます。
耐久性が高くメンテナンスもしやすいため、水回りでも使いやすい素材です。
キッチンカウンターの腰壁など、タイルはよく似合います。
インパクトがあるので、広い範囲に張るよりアクセントとして使うのがおすすめです。
壁紙
色や質感、機能性など豊富な種類から選べるのが、壁紙です。
加工しやすく、コストもそれほどかかりません。
張り替えも気軽にできるので、部屋の雰囲気を変えてみたい時にも使いやすい素材です。
木目やタイル調の素材をプリントした壁紙を選ぶ場合は、チープな印象にならないよう、サンプルなどで質感を確かめるといいでしょう。
腰壁をおすすめする場所
ここからは、腰壁を使うのにおすすめの場所を紹介します。
キッチンカウンター
対面キッチンやアイランドキッチンの背面、つまりダイニングから見える側のデザインは、部屋の雰囲気に大きく影響します。
引き出しなどの扉面材と同じ素材で背面を仕上げる既製品のキッチンは、そのままではインテリアとなじまないことも。
そこで、活躍するのが腰壁です。
キッチンの周りを腰壁で囲み、壁紙やタイルなど全体の統一感を損なわないように仕上げます。
自由度が高いオーダーキッチンなら、キッチン自体の素材選びも可能です。
寝室
腰壁を設置すると、壁に横のラインが増えるため、天井が低く感じられる効果があります。
この特徴が活かせるのが、落ち着いて過ごしたい寝室です。
板張りや石材を使った重厚感のある空間も素敵ですし、柄のある壁紙と無地の壁紙を組み合わせる手法もおしゃれ。
好みの雰囲気を目指して、素材を使い分けてみましょう。
トイレ
できるだけ清潔に保ちたいトイレも、腰壁をおすすめするスペースです。
汚れを拭き取りやすい壁紙や水に強いタイルなどの腰壁を設けると、簡単にお掃除ができます。
長時間使うわけではないので、ちょっとインパクトのある色や素材を選んで、冒険しやすい場所でもあります。
廊下
家族が何度も行き来する廊下は、壁の汚れや傷がつきやすい場所です。
小さな子どもがいたり荷物を持って動いたりすると、どうしても汚れが気になります。
しかし、毎回注意しながら通るのもストレスになってしまいます。
そのため、耐久性を高めてくれる腰壁を設置しておくと、普段の汚れがあまり気にならなくなります。
腰壁をおしゃれに見せるポイントを紹介
さて、せっかく腰壁を設置するならおしゃれに見せたいですね。
次の2つのポイントを知っておくと、効果的に取り入れることができます。
バランスのいい色や素材を合わせる
色や素材選びは、センスの見せ所。
好みもありますが、設計士とよく相談してデザイン性の高い組み合わせを探しましょう。
壁紙やタイルの素材は、できるだけサンプルを取り寄せます。
そして、展開図やパースに組み込んで全体のバランスを検討します。
可能なら、建築中の現場で合わせるのもいいでしょう。
圧迫感のでない色味を選ぶ
色々なパターンを検討しているうちに、腰壁の色選びに迷うこともよくあります。
そんな時におすすめするのは、明るい色味や、上下であまり差のない色です。
濃い色は圧迫感があるので、部屋が狭く感じられるケースがあります。
重厚感を出したい場合は別ですが、一般的には明るい色の方が無難。
また、上下の色の差が強いと、腰壁だけが目立ち狭く感じることも。
同系色なら、全体の統一感を演出しやすくなります。
うまく腰壁を導入しておしゃれな住まいにしよう
壁面を汚れや傷から守るだけでなく、インテリアをおしゃれに見せてくれる腰壁。
間仕切り壁として使うと、空間をゆるやかに仕切ってくれる効果も期待できます。
使う素材や場所、色選びで大きく印象が変わるので、特徴やポイントを踏まえてうまく導入しましょう。