洗濯物干しや日光浴、植物の育成に適したベランダは、家づくりの段階で設置するか・しないかを選択することができます。
最近は室内干しをする方も増え、ランドリールームを作る代わりにベランダのない間取りにするケースも多いですね。
しかし、元々設置するのが普通と考えている方にとっては、「ベランダなしにすると後から困ることがあるのでは?」と心配になることもあります。
今回はベランダのない住まいを作るメリット・デメリットについて解説します。
目次
ベランダがない住まいが増えている?
洗濯物を干したり、エアコンの室外機を置いたりするスペースとして活躍するのが、ベランダです。
しかし最近では、ベランダなしの住まいが増えていることをご存知でしょうか。
衣類乾燥機や室内干しの普及で洗濯物を外に干さないライフスタイルが広まったことや、コスト削減のためにベランダなしを選択するケースが増えたことが影響しているようです。
しかし、せっかくベランダを設置しても、あまり使っていないというお話を聞くこともあります。
コストもかかりますから、使用頻度が少ない場合はベランダを無くすのも有効な選択肢のひとつですよね。
とはいえ、ベランダなしの住まいがライフスタイルに合わないケースもあります。
ベランダとバルコニーの違い
ベランダと似た言葉に、バルコニーがあります。
この2つには次のような違いがあります。
- ベランダ
建物から外側に張り出したスペースで、手すりや柵で囲まれた屋根・軒がある。 - バルコニー
2階以上にある建物から外側に張り出したスペースで、手すりや柵で囲まれているが、屋根がない。
どちらも建物の外部にあるテラススペースですが、屋根があればベランダ、屋根なしならバルコニーと定義されます。
この記事では、ベランダとバルコニーを区別せずに解説していきます。
ベランダなしの住まいで得られる5つのメリット
ベランダなしの住まいにすることで、どんなメリットを得られるのでしょうか。
代表的な5つのメリットを紹介します。
メンテナンスの手間や費用が抑えられる
屋外にあるベランダは、普段から掃除をしていても汚れやすい場所。
砂埃や虫の死骸が溜まったり、排水溝に落ち葉が詰まったりすると、雨漏りの原因になってしまうことがあります。
また、ベランダの床には防水塗装をしてありますが、効果を保つためには、10年に一度くらいのスパンで塗り直す必要もあります。
そもそもベランダを設置しなければ、こうした掃除や防水工事も必要ありません。
外壁や屋根など、メンテナンスすべき場所はほかにもあるので、1箇所でも負担が減ると助かります。
洗濯の家事動線が楽になる
ベランダは、主に洗濯物を干す場所として使われます。
一般的には、洗濯機があるのは1階なので、濡れた洗濯物を抱えて階段を昇り、乾いた洗濯物を持って降りるという動線になります。
毎日のこととなると、これが意外と負担になるという声は多いもの。
そのため、ベランダなしにして、1階のテラスに洗濯物を干したり、室内干しにしたりすることで、家事動線を楽にすることができます。
生活感のないスタイリッシュな外観にできる
ベランダの有無は、外観の印象にも影響します。
ベランダは2階から出入りできる日当たりのいい場所に配置するため、玄関や庭からも目立つ場所にあるのが一般的。
そのため、外壁に凹凸ができ、存在感が目立ってしまうことがあります。
ベランダなしなら、外壁の凹凸が減り外観がスッキリします。
また、洗濯物を外から見える場所に干さないことで、生活感も抑えられます。
スタイリッシュな外観に設計したい場合は、ベランダなしの方が効果的でしょう。
建築コストを抑えられる
ベランダの広さは、大体0.5坪から1坪くらいです。
このスペースにかかる建築コストを坪単価に換算すると、どれくらいになるでしょうか。
現在新築を検討中の方は、見積りを見ながら検討してみましょう。
もしベランダなしでもそれほど困らないプランであれば、ベランダなしにすることで建築コストを抑えたり、浮いた費用をほかの部分へ使ったりすることができます。
防犯面で安心感がある
防犯面のメリットについては、敷地の状況によるのでケース・バイ・ケースです。
しかし、ベランダが敷地の塀から飛び移れるような場所や、隣の建物から飛び移れるような場所にある場合は、ベランダが不審者の侵入経路となってしまうことがあります。
ベランダなしにすることで、外部からの侵入経路を減らすことになります。
セキュリティを重視したい場合には、ベランダなしもひとつの選択肢です。
ベランダなしだと後悔する?3つのデメリットをおさらい
次に、ベランダなしのデメリットも見ていきましょう。
ベランダを設置せずに後悔してしまってはいけないので、デメリットについても知っておきたいですね。
洗濯物や布団を干す場所が足りない
布団やシーツを外干ししたい方は、ベランダなしでも本当に困らないかよく検討しましょう。
洗濯物は、室内干しや衣類乾燥機でも対応できますが、布団を干す場所は、あらかじめ計画しておかないと確保しにくいものです。
庭で布団を干す、階段の手すりを使う、室内干し用のツールを設置するなど、他の場所でも干せるよう計画しておくことが大切です。
エアコンの室外機置き場がなくなる
ベランダなしにする場合、2階の部屋に設置するエアコンの室外機を置く場所は、確保できていますか。
ベランダがないケースでは、室外機を1階まで降ろしたり、壁面に室外機スタンドを設置したりして対応できます。
こちらも、計画時に室外機を置くスペースまで計画しておきましょう。
1階に入る日差しをさえぎりにくい
1階の大きな窓の上にベランダがある場合、ベランダが庇の代わりとなって、1階に入る日光の量をコントロールしてくれます。
庇があれば、夏の日差しをシャットアウトして室温の上昇を抑え、エアコンの効率も良くなる効果が期待できます。
また、冬は暖かい日差しをさえぎることなく、部屋の奥まで導いてくれます。
ベランダなしの間取りでは、ベランダを庇の代わりに使えなくなるため、日差しのコントロールもできません。
窓の位置や大きさ、庇の設置などをよく検討しましょう。
ベランダなしでも困らない条件
メリット・デメリットを踏まえた上で、ベランダなしの住まいでも困らないライフスタイルとは、どんなものかも見ていきましょう。
室内干しや衣類乾燥機を導入する
ベランダ以外の場所で、洗濯物を乾かすことができる間取りなら、ベランダなしでも困りません。
洗濯物を干すスペースとして導入されるのが、ランドリールームです。
洗濯機のすぐそばに物干し竿を設置したり、衣類乾燥機を置いたりして、室内干しができるスペースです。
天候や時間帯を気にせず、洗濯物を干せるため、近年導入するケースも増えています。
敷地内に広い庭がある
敷地の広さに余裕があり、日当たりのいい広い庭がある場合も、ベランダなしでも問題ないでしょう。
洗面脱衣室から出入りしやすい場所に、物干場を設けておくと家事動線もスムーズです。
晴れた日には、布団や毛布をしっかり干すこともできます。
日当たりや風通しが期待できない
逆に、住宅密集地や都心エリアにある住まいで、ベランダを設けたとしても日当たりや風通しが期待できない敷地なら、そもそもベランダを設置しても活用しにくいでしょう。
こうした敷地では、屋上やサンルームなどベランダ以外の場所で洗濯物を干したり、部屋干しを選んだりすることになります。
ライフスタイルによっては、ベランダなしの選択肢もあり
ベランダなしの住まいのメリット・デメリットについて紹介しました。
近年は、メンテナンスやコスト、洗濯物の部屋干しの広がりなどの影響で、ベランダなしの住まいが増えています。
ベランダなしでも困らないライフスタイルなら、ベランダを設置せず、その分の費用を抑えたり他に回したりすることができます。
ベランダの有無についても計画段階でしっかり検討し、ベランダなしの選択肢についても話し合ってみましょう。
ベランダを設置するかどうかを判断するためには、ベランダなしのメリット・デメリットをよく比較し、検討することが大切です。