シエスタはスペイン発祥の文化であり、「長いお昼休み」のことです。
忙しい現代人にとって「休み」は後ろめたい傾向があるもの。
しかし、あえて暮らしに長い休憩を取り入れれば、心と体がリラックスした状態を保てるのです。
この記事では、シエスタの基礎知識や過ごし方、効果などを詳しく解説します。
また、住宅で取り入れられるシエスタの日常もご提案します。
長いお昼休憩の文化と活かし方を紐解いていきましょう。
目次
シエスタとは
シエスタとは、スペイン文化である「長い昼休憩」のことです。
日本の昼休憩は1時間前後が大半ですが、スペインでは約2~3時間の昼休憩があることも。
スペイン以外の国では「シエスタ=昼寝時間」のイメージが強いですが、昼寝ではなく「お昼休みを含む休憩時間そのもの」をシエスタと呼びます。
シエスタが生まれた背景
シエスタは、スペインの「日照時間の長さ」「夏場の猛暑」「1日5回食事をする文化」が関係しています。
スペインの日照時間は長く、夏は日の出が6時半頃、日の入りが10時近くになることも。
また、夏季は6月から40℃を超える地域です。
このことから、暑さがピークになる昼過ぎは痛みを感じる猛暑により、働くことは非効率であるため長い休憩を必要としてきました。
さらに、1日5回食事をとる文化があるスペインは、メインの食事はランチタイム。
日本の夕食にフルコースを食べる感覚で、スペインではランチにフルコースを食べる習慣があります。
一方で、飲食店も昼前後はシエスタしているため店を閉めることもあるのだとか。
シエスタの過ごし方
スペインのシエスタは午後2時~4時が大半であり、地域によって3時~5時の場合もあります。
基本的に家で過ごすことが多く、気兼ねなく自分の時間を楽しめる点が魅力的。
- お昼寝(20分前後)
- 食後にワインやコーヒーを楽しむ
- 友人と談笑する
- 家族とゆっくり過ごす
- 読書をする
- 趣味の時間に費やす
- スポーツ観戦をする
シエスタはフラットな自分でいられる、完全オフな時間だといえるでしょう。
現在のシエスタ文化は?
魅力的なシエスタですが、現在スペインでは2006年より公務員に対してシエスタの習慣が廃止されています。
その背景には、近代化が進んだ都市部において国際的な企業が多いこと、外国人観光客に合わせていることが要因です。
スペインでは、時代とともに国際基準に合わせた働き方を意識しています。
そのため、大都市ではシエスタの文化が廃れている傾向。
一方で、地方の小さな町や田舎では、シエスタが今も残っています。
日本で取り入れられているシエスタ
実は、日本でシエスタの習慣を取り入れている企業があります。
日本では「シエスタ制度」と呼び、積極的に昼寝を推奨しています。
背景には、2014年に厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」の発表によるものです。
取り入れている企業の中には昼寝スペースを設ける取り組みもあります。
さらにシエスタの文化は「睡眠カフェ」「お昼寝カフェ」「お昼寝グッズ」など、新しいビジネスも生まれています。
シエスタがもたらす5つの効果
シエスタは好きなことができるお昼休憩のこと。
シエスタを取り入れれば、心や体にさまざまな効果をもたらします。
以下は具体的な5つの効果をご紹介します。
生産性が向上し、集中力がアップする
昼食後は、体内のリズムやパフォーマンスが落ちて眠たくなる時間帯です。
シエスタで昼寝やリラックスタイムを設ければ脳の疲れがリセットされ、生産性の向上や集中力アップにつながります。
昼寝であれば15~20分を目安に取りましょう。
眠気が解消でき、脳が活性化されます。
あえて仮眠を取るだけで、トイレ休憩やタバコ休憩よりも効果的なのです。
体力が回復する
シエスタで昼寝すれば、体力の回復も期待できます。
特に昼寝の効果は、アスリートでもスタミナ回復や身体的能力の向上が確認されているほど。
例えば、昼寝をした後にアロマを焚きながら読書して頭を切り替えるなど、昼寝とリフレッシュタイムを効果的に使い分けましょう。
ストレスが解消される
現代人はストレスにさらされている傾向があるため、脳の許容範囲を超えてしまいがち。
シエスタはストレスを解消する効果もあります。
シエスタ中だけは外部からの情報を一時的に遮断し、散歩など適度な運動を取り入れましょう。
ストレスは健康被害をもたらすもの。
シエスタの定期的な時間を活用して、効率よくストレスを解消しましょう。
睡眠不足が解消される
シエスタに昼寝を取り入れれば寝不足が解消されます。
睡眠不足は脳の疲労が蓄積され、パフォーマンスの低下やストレスを増大させる原因に。
定期的に質の良い昼寝を取り入れれば睡眠の質が改善し、必要な睡眠を補えます。
シエスタで昼寝をするだけでも睡眠不足が解消されて健康を守れるのです。
病気のリスクが軽減できる
昼寝や適度な運動は、心臓疾患・精神疾患・自律神経の乱れなどを軽減できます。
つまりシエスタを習慣化して昼寝や運動を取り入れれば、病気のリスクは低下して免疫力は向上し、精神面で落ち込みにくくなるでしょう。
シエスタは心にも体にも効果があるといえます。
シエスタを暮らしに取り入れる方法
大手の企業ではシエスタ制度を取り入れていても、実際に日常で取り入れている方は少ないでしょう。
シエスタの原点は「基本的に家で過ごす」こと。
この原点に戻り、ここからは暮らしにシエスタを取り入れる方法をご紹介します。
オットマン付きソファでのびのび休む
シエスタはベッドに入って昼寝するのではなく、ソファでくつろぎながらうたた寝する感覚です。
オットマン付きのソファで体全体を伸ばしてリラックスした体勢でシエスタすれば、身も心も休まり最高の昼休憩になります。
シエスタルームを作って、オンオフ切り替え
自宅にシエスタ ルームを作って、オンオフを切り替えるのもよいでしょう。
特に在宅ワークであれば集中しすぎて切り替えが難しい方もいるのではないでしょうか。
室内に電子機器は持ち込まず、癒される音楽やお気に入りのコーヒーや紅茶を飲み、あえて切り替えられる空間を作るのもおすすめです。
ハンモックをつけてリラックスタイムが充実
家にお気に入りの庭やベランダがある場合は、ハンモックを取り付けてシエスタするのもよいでしょう。
ハンモックに揺られながら外の心地いい空気を吸えば、心身がリラックスした状態になり、心地よく過ごせます。
ハンモックとシエスタの組み合わせにより上質な時間になり、心と体に安らぎを与えるでしょう。
シエスタは心と体がフラットな状態になれる時間
シエスタは「長いお昼休み」というスペイン発祥の文化。
忙しすぎる日本人にとって余暇が中心にある住宅は、日常に潤いを与えます。
あえて休憩するためだけの空間を設ければ、心と体がフラットな状態になり上質な時間をもたらすでしょう。
以上の背景からシエスタが生まれ、世界に広がるまでになっているのです。