こだわりの家を手に入れたいのに、住みたい街に土地が見つからないと、場所選びに悩んでいる人もいるでしょう。
そこで、近年人気が高まっている中古住宅のリノベーションを選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
新築にこだわらず、中古住宅も視野に入れると、住みたい街に住める可能性が高まります。
この記事では、中古住宅をリノベーションするメリット・デメリットや中古住宅を選ぶポイントを解説します。
リノベーションに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
中古住宅をリノベーションするメリット
中古住宅のリノベーションには、4つのメリットがあります。
新築の注文住宅や分譲住宅とは違った魅力を解説していきます。
購入費用を抑えられる
中古住宅をリノベーションすると、新築と比べて土地と家の購入価格をかなり抑えられます。
国土交通省住宅局から発表された報告書(※1)によると、注文住宅の購入費用の平均価格(※2)は5,112万円、分譲戸建住宅は4,250万円、分譲マンションは4,929万円です。
一方、中古戸建住宅は2,959万円、中古マンション2,990万円と報告されています。
購入費用を抑えた分の予算をリノベーション費用に当てられるため、中古住宅リノベーションの人気が高まっています。
※1 令和3年度 住宅市場動向調査報告書
※2 注文住宅のみ全国調査、それ以外は三大都市圏(東京・大阪・名古屋の都心部)調査
物件の選択肢が豊富
リノベーションするための中古住宅は、新築よりも物件数が豊富です。
そのため中古住宅ならば、人気の街や駅近といった好条件の場所でも見つけられる可能性があります。
人気の場所にはすでに多くの住宅やマンションが立ち並び、たとえ土地を見つけられても価格が高い、競争が激しいなどで、良質な物件はなかなか手に入りません。
こだわりを詰め込んだ家が造れる
中古住宅を購入すれば、大掛かりなフルリノベーションに予算をかけられるため、理想的な間取りやこだわりの詰まった家づくりを可能にします。
リノベーションであれば「広いリビングにしたい」「回遊できる間取りにしたい」など、自由な設計ができたり、オーダーメイドの内装にしたり、細かい要望にも対応できる魅力があります。
補助金制度が使える場合がある
中古住宅購入の場合に、条件が合えば使える補助金制度がいくつもあります。
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業の補助金
- 自治体の補助金(耐震改修工事など)
また、大規模なリノベーション工事が対象の住宅ローン減税措置や、条件が当てはまれば介護保険から支給される補助金、特定の改修によっては固定資産税の減税措置の対象にもなります。
中古住宅ならではの補助金については、事業者からの申請が必要なものもあるため、施工業者に相談しましょう。
中古住宅をリノベーションするデメリット
中古住宅をリノベーションする場合は、新築購入とは違ったデメリットもあります。
ここからは4つのデメリットを解説します。
見えない部分の老朽化が確認できない
中古住宅の購入時点では、構造部分の老朽化は確認できないというデメリットがあります。
フルリノベーションの場合、壁材や屋根材、床材などは壊してしまいますが、家の構造部分である柱や梁、基礎部分はそのまま使うことが前提です。
そのため、購入した家の構造や基礎の老朽化次第では、大掛かりな修繕や補強工事を行います。
そうなると見積もっていた予算よりも、大幅に費用がかかる場合があるでしょう。
瑕疵担保期間が短い
瑕疵担保期間とは、購入前に気づかなかった欠陥があった場合は、売り主に修理費用を請求できる期間のことです。
中古住宅は新築に比べると瑕疵担保期間が短く、個人所有の家を購入した場合、数カ月の担保期間しかなかったり、中には保証もなかったりする建物もあります。
そのため、契約書をかわす前に、十分確認しておきましょう。
住み始めるまで時間がかかる
リノベーションする際には、打ち合わせや工事の期間がかかるため、購入した家に住み始めるまでには時間がかかります。
こだわりの家に住むためには、間取りや設備・内装など多くのことを決める必要があり、打ち合わせだけで2〜3カ月かかる場合もあります。
引っ越し日から逆算してスケジュールを決めたり、こだわりの優先順位を決めたりすることで、できるだけ短くするよう工夫しましょう。
住宅ローン審査が通りにくい
中古住宅のリノベーションでは住宅ローンが利用できますが、新築に比べるとローン審査が通りにくい傾向があります。
中古住宅は担保価値が低く、銀行によっては住宅ローンが組めない場合もあるため、注意してください。
また、現行以前の法律下で建てられた中古住宅には、住宅ローンが受けにくい物件もあります。
契約する前に、物件情報をしっかり確認しましょう。
種類 | 特徴・理由 |
---|---|
「再建築不可」物件 | 幅4m以上の道路に建物の敷地が2m以上接する接道義務を果たしていないため、今ある建物の解体後は新たに建物を建てられない土地のことです。リノベーションはできますが、万一火事などで建て替えが必要になっても、再建はできません。 |
「要セットバック」物件 | 幅4m以上の道路に建物の敷地が2m以上接する接道義務を果たすために、敷地の一部を提供しなければならない土地のことです。リノベーションはできますが、将来建て替えの際には、現在の敷地より狭くなります。 |
「建ぺい率・容積率オーバー」物件 | 地域ごとに上限がある、建ぺい率・容積率をオーバーしている物件のことです。該当するエリアによって上限が異なります。リノベーションの際に修正が必要です。 |
リノベーションする中古住宅を選ぶポイント
中古住宅のメリットを活かせる物件を選択するための、6つのポイントを紹介します。
長く住むことをふまえて、最適な中古住宅を選びましょう。
1:2000年以降に建てられた家を選ぶ
地震への備えを考え、新耐震基準の「2000年基準」を満たした家の選択をおすすめします。
震度5以上の地震に対する耐震性能を義務化した1981年施行の新耐震基準に加え、2000年基準ではさらに基礎部分や基礎と柱の接合部、耐力壁などの強化も義務化されました。
生活への備えはもちろん、耐震性能は住宅ローンの評価にも関わるため、2000年以降に建てられた家を選びましょう。
2:購入費が安い築20年程度の家を選ぶ
さらにリノベーションで理想の住宅を作るためには、購入費が安い築20年程度の家を選び、購入費用を抑えることを検討しましょう。
日本の不動産事情では、建物は築年数20年程度で不動産としての価値がほぼなくなり、販売価格は土地代のみとされます。
物件を安く購入できれば、予算をリノベーション費用に回せるため、こだわりの家を実現しやすくなります。
ただし、前述したように耐震性能も重要なため、どちらの条件も備わった家を探しましょう。
3:建てたハウスメーカーで選ぶ
耐震性能の高い家を選びたい場合、中古住宅を建てたハウスメーカーで選択する方法もあります。
構造の強い家を建ててきた実績を持つ大手ハウスメーカーの物件で、築年数が古くても、耐震性能が高い中古住宅も存在します。
事前にインスペクション(不動産調査)を依頼し、耐震性能を見極めることも可能です。
4:間取りを変更しやすい工法の家を選ぶ
リノベーションで自由に再設計したいなら、間取りを変更しやすい工法で建てられた中古住宅を購入することも重要です。
間取りを変更しやすい工法は以下の3つです。
工法 | 特徴 |
---|---|
木造軸組工法 | 一般的な木造住宅の構法。木材の柱と梁で構造が組まれているため、壁を自由に変更しやすい構造です。 |
ラーメン構造 | 鉄筋コンクリート造(RC造)の構法。鉄筋材で建物のフレームを作っているため、壁の位置を自由に設計できます。 |
鉄骨系プレハブ工法 | プレハブ工法の一種。鉄骨材の柱と梁で構造が組まれているため、壁は自由に変更可能です。 これに対して「2×4工法」や「壁式構造」など、壁自体を構造として家を支えている工法は、壊せない壁が多く、間取り設計に制限があります。 |
5:建築基準法に抵触していない家を選ぶ
長く住むことを想定するならば、建築基準法に抵触していない家を選びましょう。
建物の建ぺい率や容積率、斜陽制限など、用途地域で決められた基準があります。
将来、生活スタイルが変わって増築や建て替えをしたい場合、以前の建築基準法で建てられた中古住宅では、できない可能性もあります。
中古住宅の建つ土地の用途地域を自治体のホームページなどで確認しておきましょう。
6:雨漏りやシロアリ・カビ被害がない家を選ぶ
中古住宅で必ずチェックしてほしいのは、雨漏り・シロアリ・カビ被害がないかということです。
これらは木造住宅の構造にダメージを与えるため、リノベーションできる物件かを決定づけます。
修繕もできますが、大掛かりな工事になるため、内装のリノベーション費用が圧迫されます。
中古住宅では少なからず修繕は必要ですが、物件選びの大きなポイントになるため、入念にチェックしましょう。
インスペクション(不動産調査)を依頼する
中古住宅をリノベーションする場合、インスペクション(不動産調査)を依頼しましょう。
インスペクションとは、建物の状況を検査・調査することです。
ホームインスペクターという専門家に中古住宅のインスペクションを依頼すると、住宅の劣化や欠陥、修繕にかかる費用などをアドバイスしてくれます。
中古住宅を購入する前に建物の詳細を調査しておけば、安心して購入でき、リノベーション計画を立てやすくします。
中古住宅のリノベーションでこだわりの家を造ろう
ここまで、中古住宅をリノベーションするメリット・デメリットや中古住宅を選ぶポイントを解説してきました。
中古住宅のリノベーションを選択すれば、数多くの物件から選択できたり、間取りを自由にデザインできたり、夢に描いてきた理想の家を実現しやすいでしょう。
さらに、耐震性や断熱性などの建物性能を上げるための補助制度も整っており、予算面でも大きなメリットがあります。
こだわりの家を造るために、リノベーションに関する知識や技術が豊富な施工業者に相談してみましょう。
中古住宅なら、幅広い選択肢から選べるメリットがあります。