2枚のガラスの間に空気の層をもたせた「ペアガラス」。
注文住宅を検討している場合、耳にする機会もあるでしょう。
ペアガラスには結露改善や断熱効果といったメリットがある一方、デメリットもあります。
そのため導入を検討するときは、基本的な知識を理解しておくことが大切です。
この記事ではペアガラスの特徴やメリット・デメリット、導入するときの注意点について解説します。
目次
ペアガラスとは?
ペアガラスとは、2枚のガラスの間に空気の層をもたせたガラスです。
一般的な板ガラスよりも分厚いのが特徴的。
もともと「ペアガラス」という名前は、大手ガラスメーカー「AGC」の登録商標でした。
しかし呼び名として分かりやすかったため、一般名称のように広まりました。
ペアガラスと複層ガラスの違い
ペアガラスと似た言葉に「複層ガラス」があります。
ペアガラスは複層ガラスの中の1種であり、複層ガラスは枚数によって呼び方が変わります。
- ガラスが2枚の場合:ペアガラス
- ガラスが3枚の場合:トリプルガラス
近年取り入れられている窓ガラスの多くは、ペアガラスやトリプルガラスといった複層ガラスです。
省エネの風潮もあり、断熱効果のある複層ガラスが普及しました。
ペアガラスの導入により期待できる3つの効果
注文住宅の窓にペアガラスを取り入れると、さまざまなメリットがあります。
この章では、ペアガラスの導入により期待できる効果を3つ紹介します。
1:省エネ効果がアップする
ペアガラスを取り入れると、ガラスとの間にある空気の層により遮熱や断熱、UVカット効果がアップします。
室内の空気が外に逃げにくくなるので、冷暖房器具を効率的に活用できます。
また、エアコンの使用による光熱費を抑えられるのも嬉しいポイントです。
2:結露の改善に役立つ
ペアガラスの導入は結露の改善にも役立ちます。
空気の層があることで、家の中と外の温度差が小さくなるためです。
結露によるジメジメとした空気は、カビやダニの発生につながります。
鼻炎や喘息の原因になる場合もあるので、衛生環境の面でも窓選びは重要です。
3:防犯性を高められる
ペアガラスであれば、工夫次第で防犯性を高めることも可能です。
さまざまな種類のガラスを組み合わせられるため、ペアガラスの2枚のうち1枚を防犯ガラスにすれば、耐久性が上がります。
窓を破るのに時間が掛かるので、空き巣の侵入を阻む効果が期待できるでしょう。
ペアガラスの導入前の注意点と対策方法
ペアガラスには省エネ効果や結露改善といったメリットがある一方、注意点もいくつかあります。
気を付けたいポイントを押さえて対策に役立ててください。
防音や遮音効果は備わっていない
ペアガラスには防音や遮音効果は備わっていません。
それどころか、二重サッシに比べて音が伝わりやすくなる可能性があります。
ペアガラスの間にある空気の層が振動する「共鳴透過現象」が原因です。
防音目的で導入を考えている場合は、以下の対策のどれかを実施しましょう。
- 内側と外側のガラスの厚みを変える
- 2枚のうち1枚を防音ガラスにする
- 真空ガラスを取り入れる
使い方によっては熱割れのリスクがある
ペアガラスの使い方によっては、内側のガラスと外側のガラスの温度差により、ヒビが入る「熱割れ」のリスクがあります。
特に寒い日は暖房器具の使用に注意が必要です。
エアコン程度であれば、熱割れの可能性は低いでしょう。
しかし暖房器具の温風や、強い光源を窓付近で使用するとペアガラスが高温になり危険です。
安全のため窓から離れた場所に配置してください。
通常のガラスよりも重い
ペアガラスは1枚のガラスよりも重さがあります。
設置する場所によっては、窓の開け閉めがしづらい場合も考えられます。
ペアガラスの重さも踏まえて導入を検討しましょう。
ペアガラスには寿命がある
きちんとメンテナンスしていても、時間の経過による劣化は避けられません。
ペアガラスの交換時期の目安は約10年〜15年とされています。
この期間でなくても、ペアガラスを導入してから数年後に結露が発生した場合は、寿命と考えて良いでしょう。
多くのメーカーは保証期間を10年としていますが、メーカーによって期間はさまざまです。
ペアガラスの購入前と設置後に、ガラスの状態に問題がないかチェックしてください。
ペアガラスの種類
ペアガラスには、いくつか種類があります。
ペアガラスを効果的に活用するには、配置する場所や使う目的に合ったタイプを選ぶことが大切です。
Low-E複層ガラス|目的に合わせて2種類から選べる
エコガラスとも呼ばれるLow-E複層ガラス。
室内か室外のどちらかに、Low-Eガラスを使った複層ガラスのことです。
Low-Eガラスはコーティングされた金属の膜によって、太陽の光を吸収し、反射させる性質をもっています。
室内と室外のどちらにLow-Eガラスを使用するかで以下の2種類に分けられます。
それぞれの違いを理解し、目的に合わせて選びましょう。
- 断熱型:冬の寒さ対策向き。暖かい空気を通す。
- 遮熱型:夏の暑さ対策向き。外側のガラスで日光をブロックする。
真空ガラス|より高い断熱性と結露改善が期待できる
真空ガラスはガラス同士の間が真空状態になった複層ガラスです。
ガラスの間に空気がない分、ほかの複層ガラスよりも高い断熱性と結露改善が期待できます。
また遮音効果もあるので、生活音が外に漏れるのを抑えたい人にもおすすめです。
ただし断熱性や結露防止を重視するなら、真空ガラスだけでなく窓枠やサッシも慎重に選びましょう。
特にアルミのサッシの場合、結露が発生しやすいので注意が必要です。
ペアガラスの性質を理解したうえで注文住宅に導入しよう
この記事ではペアガラスの特徴やメリット・デメリット、導入するときの注意点について解説しました。
1枚ガラスと異なり間に空気の層があることから、結露改善や省エネ効果などが期待できます。
その反面、注意しておきたいポイントもあるので、必要に応じて対策が必要です。
ペアガラスの性質を十分に理解したうえで、注文住宅への導入を検討してください。