仏壇を置いてお参りする部屋として知られる「仏間」。配置のルールやお参りマナーが細かく存在するため、レイアウトに迷ってしまう人も多いはず。
この記事では、仏間の特徴やレイアウトのコツなど、仏間を作るときに押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
目次
そもそも仏間とは?
仏間とは、仏壇や位牌を安置する部屋のことを指します。
仏教において先祖を祀る神聖な場所であり、先祖に対して供養やお参りをする目的で使用されます。
定義には諸説ありますが、一般的に仏壇を配置している部屋とイメージしておけば良いでしょう。
仏間と床の間の違い
仏間と混同されやすいのが「床の間」です。
床の間は和室特有の装飾の一つで、掛け軸などの装飾品を置く飾り棚としての機能があります。
仏間は仏壇を置く部屋全体を意味するのに対して、床の間は和室の一部スペースのみを指すのが特徴。
「床の間に仏壇を置くのはNGなのでは?」と思っている人が多いですが、床の間は和室における最高位の場所なので、仏壇を配置しても全く問題はありません。
仏間に適した部屋の条件
仏間に適した部屋の条件を簡単にまとめると、
- お参りしやすい
- 部屋までの移動が楽
- 仏壇を置くのに十分なスペースがある
などのポイントが挙げられます。
配置やインテリアの良し悪しを考えるよりも、人が自然と集まる居心地の良い空間を目指したほうが、仏間としての完成度は高くなります。
部屋数や広さが限られる賃貸マンションであれば、空いているスペースを仏間として活用する方法でも大丈夫。
新築の場合は、将来的に仏間として使えるスペースや部屋割りを考えて設計するのもありです。
仏間に配置する仏壇の種類
仏間に必須となる仏壇は、価格帯・大きさ・配置タイプ・デザイン・色など、各メーカー共に豊富な種類を取り揃えています。
- 良質な素材を使用した大型仏壇
- タンスや備え付け収納の上に置ける中型サイズ
- 卓上にも置けるコンパクトなタイプ
ライフスタイルに合わせて選べる幅広さが魅力です。
最近では洋室のインテリアにも合わせやすいモダンデザインの仏壇も増えており、賃貸住宅でも十分立派な仏壇を配置することができます。
仏間を作る前に考えておきたい3つのこと
ここからは、本格的に仏間を作る前に考えておきたい3つのポイントを紹介します。
後々後悔しないために、準備段階にできることをチェックしておきましょう。
仏壇を先に下見しておく
仏壇を探すときのパターンは、以下の二つです。
- 仏間の間取りに合った仏壇を購入する
- 仏壇のサイズに合った仏間を作る
特に後者のように、仏壇ありきで仏間のレイアウトを考える場合、購入予定の仏壇をあらかじめ下見しておくのが鉄則です。
先に部屋の条件や置き場所を細かく決めてしまうと、「欲しい仏壇を見つけたけどサイズが微妙に合わない…」といった状況に陥りがち。
店舗・ネットどちらでも詳しいリサーチが可能なので、希望に合った仏壇を購入できるように種類を調べておきましょう。
仏間にする部屋を決めておく
どの部屋を仏間として使うのかも事前にイメージしておいたほうが良いです。
移動経路・広さ・お参りのしやすさなどを考えながら、理想の部屋を選定しましょう。
仏壇は一般的に和室に置くイメージが強いですが、通常の居室に置いても大丈夫。
洋室のインテリアに合わせやすいデザインの仏壇もたくさん販売されています。
間取り的に仏間だけの部屋を確保するのが難しい場合は、家族が集まりやすいリビングの一部を仏間にするのもありです。
仏間の向きと置き場所を考える
仏壇を置く場所や向きも重要な要素です。
仏壇の向きは宗派や考え方によって最適な方角が大きく変わりますが、厳密なルールはないので好みで配置しても大丈夫です。
家相や風水面での相性が気になる人は、事前にルールを調べて向きを決めましょう。
置き場所で特に気を付けたいのは床の強度です。
家の作りによっては床材が仏壇の重みに耐えられない可能性がありますし、畳の上に置くと凹みやキズができてしまう場合もあります。
保護シートを引いて床を守ったり、強度の高い台座を配置するなど、部屋の作りに合った対策を考えておきましょう。
仏間の間取りを構築するときのポイント5選
仏間をレイアウトするときに抑えておきたいポイントを5つの項目で紹介します。
お参りしやすい導線を考える
仏間の間取りで一番に重視すべきポイントは、お参りのしやすい導線を作ることです。
いくらお参りマナーに完璧に配慮したとしても、家族や知人が使いにくい仏間になってしまうと意味がありません。
人の出入りが少ない仏間を作るほうが先祖に対して失礼にあたるので、細かいルールやマナーは二の次で大丈夫。
など、誰もが気軽にお参りできる導線を意識して間取りを考えてみましょう。
仏壇を置く高さに注意する
仏壇を置くときに注意したいポイントの一つが、決して仏壇を見下ろすような配置にしないこと。
お参りするときに上から仏壇に向かって手を合わせるのは失礼にあたります。
低すぎる位置に置くと自然と見下ろす形になってしまうので、お参りするときの体勢を事前にイメージしてから仏壇を配置しましょう。
- 椅子に座ってお参りする場合
棚の上にコンパクトな仏壇を設置する - 本格的な仏壇を床に置く場合
座布団やござを敷いてお参りする
など、使い方に合った配置を考えてみてください。
床の間と仏壇の位置に注意する
床の間は部屋における最上位の場所という扱いなので、和室に仏壇を置くときは特に注意が必要です。
床の間に仏壇を置くこと自体は何の問題もありませんし、横に置くのも大丈夫です。
問題は床の間の反対側に配置すること。
床の間の反対側は部屋における下位(重要ではない場所)の意味になってしまうので、できる限り避けるのがベストです。
床の間にそのまま置いてしまうか、床の間の対角線上以外の場所や部屋を探すのが良いでしょう。
湿気と直射日光を避ける
仏壇のほとんどは木製素材で作られているため、直射日光や湿気が苦手です。
木の変色や劣化を防ぐためにも、日差しや湿気が多い場所はできる限り避けて配置してください。
特に日差しが強くなりやすい窓付近は要注意。
間取り上どうしても無理な場合は、日除けや障子などで上手に日差しを遮りましょう。
湿気対策はこまめな換気と掃除を徹底して行うのが一番。湿気がひどくなりやすい場合は、使い切りの湿気取りや除湿機を配置するのもおすすめです。
神棚も配置する場合は位置を調整
仏間内に神棚がある場合は、仏壇を置く位置に注意する必要があります。
まず避けたいのは、神棚と向かい合わせに仏壇を配置すること。
お参りするときに神棚・仏壇のどちらかに背を向ける形になるので、神様や先祖に対して失礼にあたります。
また、神棚の真下に仏壇を配置するのもNGマナーです。
これではどちらにお参りしているのか分からないうえ、神棚の方面を向くときに仏壇を見下ろす形になってしまいます。
NG配置を避けて仏壇を置くか、仏間にする部屋を変えるなどで対応しましょう。
正しい知識を学んで仏間をレイアウトしよう
今回は仏間を作るときに気を付けたい重要ポイントをまとめました。
仏間にはさまざまなルールが存在しますが、全てのルールを守りきるのは現代の住宅事情では厳しいことがほとんど。
一番大切なのは先祖を敬う気持ちそのものです。細かいルールはある程度無視しても構わないので、住む人がお参りしやすい理想的なレイアウトを考えてみてくださいね。