日本家屋の定番である縁側。
落ち着いた和の雰囲気に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。
古民家にあるイメージが強い縁側ですが、近年は現代風にアレンジしたコンパクトな縁側を取り入れるケースが多くみられます。
この記事では、再認識されている縁側の魅力を解説し、おしゃれな縁側の作り方や活用事例を紹介します。
新築に和の雰囲気を取り入れたい方、省エネ住宅が気になる方は必見!ぜひ、参考にしてください。
そもそも縁側とは
縁側とは、和室と屋外の間にある板張りになった通路のこと。
部屋同士をつなぐ廊下の役割や家全体を囲う回廊の役割があり、日本家屋独自の意匠性がある構造です。
一般的に、外に面する側に壁がなく、建具が設けられています。
建具を開ければ半屋外として利用でき、閉めれば屋内として活用できるため、和室をアレンジできる利便性が特徴です。
その汎用性から近年では、多目的かつ贅沢を感じられるスペースとして注目されています。
縁側の種類
縁側は主に2種類あり、住宅内外の配置場所によって異なります。
濡れ縁とは、壁や雨戸の外側に作られた縁側です。
雨天時に風が吹いて濡れることから「濡れ」縁と呼ばれています。
濡れ縁は床より10〜15cm下げて設置することもあり、くれ縁よりも開放感があります。
濡縁に屋根を付ければ、外での作業スペースとして活用可能。
濡縁の中には持ち運びができる可動式もあるため、掃除の際に動かしたり踏み台として使われたりなど汎用性が魅力です。
縁側の5つの魅力
日本家屋ではスタンダードであった縁側。
実は、縁側の機能性は大変優れており、現代に活かせる点が近年注目されています。
その魅力を5つ紹介しましょう。
省エネ効果がある
縁側は、居住部分の室温を快適な温度に調整できるため省エネ効果が期待できます。
注目すべきは縁側の上の軒やひさしです。
これらが夏の直射日光を遮り、太陽の位置が低い冬には日差しを積極的に取り込める役割があります。
また、縁側の空間に空気層が生まれることで暑さ寒さを和らげる効果もあるのです。
つまり、1年を通して室内を快適な環境に保てるため、居室の冷暖房の設定を弱くしても過ごしやすい空間が期待できます。
風通しがよい
縁側は開口部を広く取るのが一般的です。
開口部が広いほど通風を得られるため、室内に湿気がたまらない環境になります。
心地いい風が家全体に行き渡り、エコなライフスタイルを希望する方には魅力的といえるでしょう。
コミュニケーションスペースになる
従来の縁側は、日向ぼっこしたり庭を眺めながら休憩したりなど家族の憩いの場でした。
また、外空間とつながる気軽な半屋外であるため、近所の人と程よい距離でコミュニケーションできるスペースとしても親しまれてきました。
そのため、広めな縁側であれば家族や友人が集まりやすいスペースとして活躍します。
夏はバーベキューや花火、秋はお月見、冬は雪見など季節に合わせた思い出つくりのきっかけになるでしょう。
借景を楽しめる
開口部が広く庭とのつながりを感じられる縁側は、自然の風景を部屋に取り込む「借景」を楽しめる点も魅力の一つ。
ガーデニングや植栽が趣味の方は、お気に入りの景色を部屋の中から楽しめるため日常生活に潤いをもたらします。
部屋を広く見せる
部屋を広く見せる要素には「余白を作る」ことが重要です。
実は、縁側にも余白に似た「間」があり、工夫次第で空間を広く見せる効果があるのです。
例えば、縁側を部屋と同じ高さに設置する・居室部分と縁側部分の床材を同じにするなど。
そうすれば、まるで1部屋であるような一体感と統一感が生まれ、より開放的な空間になります。
おしゃれな縁側を作るポイント
家の中と外をつなぐ役割の縁側。
最近では、庭に面してコンパクトな縁側を取り入れるケースが増えており、現代風に進化しています。
ここからは、おしゃれな縁側を作る3つのポイントを紹介しましょう。
縁側と庭をデザインする
室内から見える整った景色が縁側作りの最も重要なポイントです。
そのため、縁側だけにこだわるのではなく、庭を含めたデザインにしましょう。
もし、庭が狭かったり目の前に塀や隣家があったりすると魅力は軽減してしまいます。
この場合は、背が高い植栽を植える、生け垣を設置するなど自然にマッチしたものを取り入れましょう。
おしゃれで目隠しにもなるため効果的です。
カラーをモノトーンや低彩度にまとめる
縁側をアレンジするなら、外観・内装をモノトーンで統一するのがおすすめです。
モノトーンだと縁側の木目が映えるため、よりスタイリッシュな演出ができます。
また、柔らかい雰囲気にしたいなら低彩度のアースカラーがよいでしょう。
淡い黄色や緑色は日本の伝統色でもあるため、縁側の雰囲気に馴染みやすく部屋を明るくします。
ちなみに、アースカラーは北欧テイストでも使われる配色です。
縁側に取り入れるだけでジャパンディスタイルが完成します。
インテリアは自然素材を使用する
縁側と縁側に隣接する部屋のインテリアは、和の要素を感じさせる自然素材を取り入れましょう。
例えば、木材・和紙・漆喰などは温かみがある素材であり、モダンなインテリアとも相性がよいアイテムです。
カーテンではなく和紙のロールスクリーンにすれば明るさを保ちながら防犯対策にもなります。
また、座布団ではなくあえて木材を使用した北欧チェアにすれば、おしゃれな縁側になるでしょう。
縁側を取り入れたおしゃれな活用事例
ここからは、実際縁側を取り入れたおしゃれな事例を紹介します。
縁側の固定概念を払拭できるアイデアなので、ぜひ参考にしてください。
縁側のある中庭でプライベート空間を満喫
小さな中庭でも、L字型やコの字型に沿って縁側を設置すればプライベートな空間が仕上がります。
人目を気にせずお昼寝したり日向ぼっこしたり、のびのびと過ごせますよ。
テーブルセットを置いてくつろぎタイム
広めの縁側ならば、自然を満喫しながら読書もできます。
籐やバンブー、ウォーターヒヤシンスのテーブルセットなら縁側の雰囲気にも合うため、まるでアジアンリゾートのような空間に!
土間に縁側を作れば出入りがスムーズ
玄関の土間に縁側を取り入れたモダンスタイルもおすすめです。
軽く腰をかけられるので、子どもやお年寄りのいる家庭なら実用性があり取り入れやすいでしょう。
玄関と庭の空間を抜けるように設置すれば、家のどこからでも外空間を感じやすくなりますよ。
1枚ガラスを使用してアウトドアリビングに
間口の広い縁側に1枚ガラスを使用して窓枠をスッキリさせれば、開放感は抜群です。
アウトドアリビングとして活用できて家族団らんスペースに!
照明を設ければ夜でも美しい風景を室内で楽しめるので、会話も弾みますよ。
ほっと一息できるヌックスペース
現代の縁側といっても過言ではないヌックスペース。
本棚を作って趣味のスペースにしたりハンモックを設置してお昼寝スペースにしたり。
おこもり感が居心地よく、ひとり時間を満喫できるスペースになりますよ!
侘び寂びとモダンの融合ジャパンディスタイルに
モダンテイストの中に縁側を加えると、スタイリッシュかつ温かみのあるジャパンディスタイルが完成します。
洗練された空間に機能面が備わっており、まるで高級旅館のような雰囲気に!
「全体的にシンプルすぎるな…」と感じた場合はアクセントとして縁側を取り入れるのもよいでしょう。
縁側を作るならメリットを活かして現代風にアレンジしよう!
縁側は古民家にあるイメージが強い印象ですが、機能性と汎用性を兼ね備えた空間です。
モダンテイストや北欧テイストなど異なるインテリアテイストに取り入れれば、一層空間をおしゃれにみせてくれます。
庭をこだわって作る方、お気に入りの景観に家を建てる方はぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
くれ縁とは、家の一部として設置されており、雨戸や引き戸の内側に作られた縁側です。
天候に関係なく利用でき、雨の日でも庭の景色を眺められる点が魅力。
また、室内との段差を設けずに作られているため、室内空間の延長として利用できます。
くれ縁の中でも奥行きが広いものは広縁(ひろえん)と呼ばれ、家具を設置すればくつろぎ空間として活用できます。