「これから建てる注文住宅をおしゃれな洋館風にしたい」という人は、欧米のドラマや映画でよく見かける上げ下げ窓を取り入れてみてはいかがでしょうか。
日本でもマンションの一部や公共施設で採用されていますが、新築住宅ではまだまだ一般的ではありません。
もし上手に取り入れられれば、本格的な洋館の雰囲気を取り入れた家づくりが可能です。
この記事では上げ下げ窓を取り入れるメリットとデメリット、難しいとされるカーテン選びのコツを解説します。
注文住宅をあこがれの洋館風に近づけられるように、ぜひ参考にしてみてください。
目次
上げ下げ窓とは?
上げ下げ窓とは、上下についている窓を縦方向、つまり上下にスライドさせる窓のことです。
窓の鍵は上下の窓が重なる中心部分についているのが一般的です。
上げ下げ窓は開け方によって3種類あるため、用途によって使い分けましょう。
シングルハング窓
シングルハング窓は「片上げ下げ窓」とも呼ばれ、上窓は固定されて開かず、下窓のみ上に向かって開閉する窓のことです。
上窓が開かないため気密性が高く、比較的低コストで取り入れられるのが特徴です。
スライドする網戸をつけることも可能で、外側の窓拭きしたい場合に手や顔を出せるため掃除がしやすいでしょう。
ダブルハング窓
ダブルハング窓は「両上げ下げ窓」とも呼ばれ、上窓・下窓とも縦方向にスライドして開けられる窓です。
2ヵ所の開口部ができるため、換気するのに向いています。
スライドしてどこでも好きな位置で窓を固定できるため、窓の開口部の広さを自分で調節できて便利でしょう。
網戸をつける場合は窓全面に固定することになり、顔を外に出せなくなるため掃除がしにくくなります。
バランス上げ下げ窓
ダブルハング窓は「スリット上げ下げ窓」とも呼ばれ、上窓・下窓どちらかを開けたり閉めたりすると反対側の窓も連動して開閉する窓です。
一度に窓が開くため換気がしやすく、閉めるのも片側の窓だけ動かすため、ダブルハング窓よりも簡単でしょう。
ただし、3種類の窓の中で一番設置コストが高くなってしまいます。
設置できる網戸は、窓全面に固定するタイプです。
上げ下げ窓のメリット
上げ下げ窓はリビングや寝室だけでなく、キッチンやトイレなどにも採用している家も多くなっています。
ここでは、おしゃれな上げ下げ窓を取り入れるメリットについて解説します。
風通しが良い
ダブルハング窓とバランス上げ下げ窓は上下に2つの開口部があり、1つの窓で風の通る道をつくれるため、部屋の換気を重視したい場合に便利です。
風通しをよくするためには、2つの窓を設置し風の通り道をつくるのが一般的です。
しかし、部屋が狭かったり隣家が近かったりという理由で窓を1つしか設置できない場合は、ダブルハング窓かバランス上げ下げ窓で換気の問題を解決できます。
防犯に優れている
万が一空き巣が入ろうとしても、上げ下げ窓は通常の左右開きの引き違い窓にくらべて幅が狭く、窓を開閉しにくいことから防犯にも役立つでしょう。
ただし上げ下げ窓であれば絶対に大丈夫ということではありません。
防犯ガラスや防犯フィルムなどを採用して、しっかりと防犯対策しましょう。
気密性・断熱性・遮音性が高い
通常の左右開きの引き違い窓は、戸車というパーツで横にスライドさせているため隙間ができやすい構造です。
しかし、上げ下げ窓は戸車がないため高い気密性を実現できます。
そのため断熱性も高くなり、外気の影響を受けにくくなるため、光熱費を節約できるでしょう。
見た目がおしゃれ
上げ下げ窓を目立つ場所に取り入れるだけで、優雅な洋館風の外観を実現できるでしょう。
窓枠や外壁の色も厳選しておしゃれに演出し、バルコニーやウッドデッキ、庭園風ガーデニングなどと合わせると、さらにあこがれの欧米風の雰囲気に近づけるでしょう。
上げ下げ窓のデメリット
おしゃれな上げ下げ窓ですが、デメリットもあります。
窓は何度も付け替えられない設備のため、しっかり検討することをおすすめします。
カーテンが選びにくい
一般的な引き違い窓のカーテンは両開きのため、上下で開く上げ下げ窓とはバランスが取りづらく、合わせるのが難しいでしょう。
選択肢としてはブラインドやロールスクリーンなどの上下で稼働するタイプを選ぶか、一般的なカーテンのサイズや使い方を工夫して設置することになります。
カーテンをつけたい場合、設計段階から上げ下げ窓のサイズや設置の場所を検討し、コーディネートすることをおすすめします。
開け閉めがしづらい
上げ下げ窓では特に下窓は持ち上げる構造のため、開閉することにストレスを感じるかもしれません。
重さを感じる窓の場合、小さな子どもやシニア世代には負担がかかるでしょう。
1日に何度も開け閉めする場所に採用するべきかは、家族でしっかり話し合いましょう。
掃除がしにくい
上げ下げ窓は外側が掃除しにくい構造になっています。
特にシングルハング窓は下窓を開けてしまうと上窓にガラス面が重なってしまうため、上窓の外側が拭けません。
バルコニーがあれば外に出て掃除できますが、ない場所では専用のモップを使うなど手間がかかるでしょう。
上げ下げ窓を設置する位置は見た目だけでなく、お手入れにも配慮する必要があります。
他の窓に比べて価格が高い
上げ下げ窓は日本の住宅に一般的な引き違い窓にくらべると、価格が高い傾向にあります。
そのため外観の見た目よりも建築費用を重視する場合は、上げ下げ窓の数を少なくしたり、別タイプの窓にしたりすることも検討しましょう。
上げ下げ窓にあうカーテンは?
上げ下げ窓のカーテン選びは難しいと悩む人もいるでしょう。
コーディネートに決まりはないため、自由な発想でカーテンを選びましょう。
ここでは、おすすめのカーテンやコーディネート方法を紹介します。
ロールスクリーン
窓枠の奥行きがあれば内側にも設置できるロールスクリーンは、ミニマムな雰囲気でシングルハング窓との相性もよい組み合わせです。
ロールスクリーンは好きな高さで開閉できるため、採光や風通しに合わせて調整できます。
ただしロールスクリーンは下から開閉するため、ダブルハング窓の場合は上窓が開けにくいのが難点です。
ロールスクリーンはシンプルでシックな雰囲気を演出できるため、欧米デザインのおしゃれな家具と相性がよいでしょう。
ブラインド
ブラインドは窓枠の外側に設置し、アルミや木製、布製などの横長の板状で構成されたものです。
ロールスクリーンとくらべると少し重量があるのが特徴です。
ブラインドはスタイリッシュさやナチュラルさを演出できるため、好みのインテリアとの相性で素材や色を選ぶとよいでしょう。
シェード
シェードは窓枠の外に設置し、下からジャバラ折りで開閉するタイプ。
両開きのカーテンと同じ素材でできているため、他の窓に設置されたカーテンと統一感が出せるでしょう。
カントリー風なイメージがあるため、上げ下げ窓と合わせるとナチュラルで開放的な雰囲気を感じさせます。
カーテン
2つ並んだ上げ下げ窓の左右に両開きカーテンを設置するコーディネートはいかがでしょうか。
日中用にはそれぞれの窓にレースのシェードをつけ、夜用として両開きのカーテンをつけます。
そうすることで日中はスッキリした見た目で、夜は外の冷気が入らないようにできるでしょう。
他にも、それぞれの上げ下げ窓にカーテンを1枚ずつ下げ、下から3分の1あたりをリボンでまとめるコーディネートもおしゃれでおすすめです。
上げ下げ窓の実用性を見極めよう
ここまで上げ下げ窓のメリット・デメリットや特徴を解説してきました。
上げ下げ窓は見た目のおしゃれさだけでなく、機能性も優れた点があります。
しかしデメリットもあるため、設置する場所を選ぶことをおすすめします。
例えば人の目を引く道路側・玄関側や換気がしづらい場所ではメリットを発揮し、おしゃれなイメージを満喫できるでしょう。
ぜひ新しい住まいのアクセントとして、上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。
また上げ下げ窓は遮音性も高く、近隣に道路や線路があり音が心配な場合は、騒音対策として検討されてはいかがでしょうか。