家を買うときには気にすることの少ないサイディング。
サイディングとは外壁に張る仕上げ用の板材のことです。
外壁リフォームを考えるときに、自宅のサイディングのことを知っておくと補修や取り換えのときに役立ちます。
この記事では、サイディングの基礎知識やリフォームを円滑に進めるコツについて解説します。
目次
サイディングとは?
サイディングとは外壁に張る仕上げ用の板材のことで、選んだタイプによって種類・用途・性能・価格帯は多種多様です。
一戸建てのリフォームを考えるときに気になるサイディングについて、掘り下げて説明していきましょう。
よく耳にする「乾式」と「湿式」のどっち?
サイディングは乾式と呼ばれる工法で作られる板材で、一般住宅で普及している外壁の仕上げ工法となります。
「サイディング」「サイディングボード」といった呼び方が一般的です。
一方、湿式と呼ばれる工法で作られる仕上げ工法は塗り壁で、職人が外壁に手作業で塗っていくタイプのものをいいます。
湿式による塗り壁は経年劣化と共にひび割れが起こりやすいです。
家のイメージ・色・質感・貼り方で選ぶ
一口にサイディングボードと言っても様々な種類があります。
特に注文住宅の場合は、複数のサイディングボードから適した素材を選ぶことができます。
サイディングボードにはレンガ調やタイル調など様々な種類がありますし、色・模様を混ぜ合わせて使用することも可能。
サイディングボードは完成した家のイメージに合わせて色・質感・張り方で選んでいくと良いですね。
湿式の塗り壁と比較したサイディングのメリット
サイディングボードは湿式の塗り壁に比べてどんなメリットがあるでしょうか。
詳しく紹介していきます。
値段が比較的安い
サイディングボードは値段が安いことが特徴です。
一定サイズの板を張っているものなので、工場で簡単に大量生産することができます。
また、職人の技術が必要になる塗り壁に比べて、サイディングボードは板を張り合わせていくものなので特殊な技術を必要としません。
このような事情から、サイディングボードは値段を安く済ませることができるのです。
工事期間が短い
サイディングボードは、塗り壁に比べると工事期間が短いことがメリット。
職人が外壁を塗っていく塗り壁に比べ、サイディングボードは板を張り合わせて施工していきます。
板は大量生産された既製品ですから、職人の手際も早いです。
耐水性・耐天候性に優れている
耐水性・耐天候性に優れているところも、サイディングボードの良いところ。
サイディングボードは、雨の影響や悪天候などで痛むことが比較的少なめです。
デザインが豊富
サイディングボードには4種類のタイプがありますが、どれもデザインの種類は豊富です。
例えば、窯業系というサイディングボードなら、レンガ風のものや石積み風まで様々なデザインがあります。
色や模様なども複数の種類から選べますから、「どんなデザインにしたら良いか」と悩むだけで楽しいですね。
経年劣化しにくい
塗り壁と比べてサイディングボードは経年劣化しにくいことがメリットです。
年月が経過すると塗り壁はひび割れになることもありますが、サイディングボードは耐水性・耐天候性に優れていることもあって耐久性があります。
4種類のサイディングボードとそれぞれの特徴
サイディングボードには「窯業系」「金属系」「木質系」「樹脂系」と4つの種類があります。
それぞれにどんな特徴があるのかを紹介します。
窯業系
窯業系サイディングボードは、セメント質と繊維質が組み合わさって板状に作られたものです。
レンガや石積み風などのオシャレなデザインは窯業系サイディングボードで作られたものです。
セメントが入っているので地震や火災にも強いですね。
窯業系サイディングボードは日本で多く使用されています。
窯業系サイディングボードにもメンテナンスは必要で、塗装が剥がれてくると補修しなくてはいけません。
金属系や樹脂系サイディングボードと比べると劣化しやすいのがデメリットです。
金属系
金属系サイディングボードは、ガルバリウム・アルミニウム・ステンレスのような鋼板で作られたサイディングボードです。
金属系サイディングボードは、その名の通り金属で作られていますから、耐久性に優れているため頻繁なメンテナンスが不要になります。
また、金属系サイディングボードは耐天候性に優れているため、寒冷地や悪天候になりやすい地域でも使いやすいといえます。
このように使い勝手が良い金属系サイディングボードですが、素材が高いため金額が高価になりがちな点がデメリットです。
木質系
木質系サイディングボードは、天然木を使ったサイディングボードのことをいいます。
木を使っているだけに1つ1つの木目が異なるためデザイン性に優れています。
また、木の温かみが色濃く出るため、洗練された外壁にすることができるでしょう。
デメリットとしては、木を使っているので水に弱く腐りやすい点。
そのため、こまめなメンテナンスをする必要があります。
天然木を使っているのでサイディングボード自体の価格も高くなりますから、オシャレなデザインにこだわるだけでなく、初期費用とランニングコストを考慮して木質系サイディングボードを選ぶようにしましょう。
樹脂系
樹脂系サイディングボードは、プラスチックを板状に加工されたサイディングです。
樹脂加工されているため頑丈で劣化しにくいことが特徴。
また、窯業系サイディングボードより軽いため、施工しやすいです。
樹脂系サイディングボードのデメリットは、軽く、薄いため遮音性は今一つである点です。
外に声が漏れたり、逆に外の音が家の中に聞こえやすくなったりします。
また、日本国内において樹脂系サイディングボードを扱っている企業は少ないため、「樹脂系サイディングボードの家にしたい」と思っても難しい場合があります。
初心者が知っておきたいサイディングボードのメンテナンス
サイディングボードを長持ちさせるには、それぞれの種類の特徴に合わせたメンテナンス方法を知る必要があります。
メンテナンスの周期は?
4種類のサイディングボードのメンテナンスの周期は、次のようになっています。
●窯業系サイディングボード:7~15年
●金属系サイディングボード:10~15年
●木質系サイディングボード:3~10年
●樹脂系サイディングボード:10~30年
メンテナンス周期を見ると樹脂系サイディングボードが最も優れているのですが、樹脂系サイディングボードは日本のハウスメーカーでは取り扱っていないことが多いです。
そのため、窯業系サイディングボード、お金に余裕があれば金属系サイディングボードを選んでおくと、短期のメンテナンスが不要になります。
自分の目と手でも確認できる修繕が必要な症状例
サイディングボードは耐天候性に優れている素材が多いですが、汚れや排気ガスによっていずれは劣化していきます。
サイディングボードのメンテナンス周期を目安に、自分の目と手でメンテナンス時期を確認してみましょう。
確認できる症状として、以下が代表的です。
✔シーリング(サイディングのつなぎ目)が割れていないか
✔サイディングを触った時に白い粉がつかないか
✔サイディングにひび割れがないか
サイディングボードに以上の症状が現れた時は、補修工事を念頭に入れ、自分でできることはないかを考えておきましょう。
自分でできることについては、後ほど説明いたします。
メンテナンスの価格相場は?
サイディングの中で劣化しやすいひび割れのシーリングを替える場合の価格は25~30万円です。
サイディングのひび割れにシーリング材を入れて補修する場合の価格は20~40万円かかります。
ひび割れを放置すると雨水が入ってくる原因になるので、確認次第早急に対処したいところ。
サイディングを触った時に白い粉がついた時、これは塗装が剥がれていることを示します。
サイディングの塗装工事を行う場合の価格は、80~150万円程度かかってきます。
軽度の劣化症状が出た際はビスを使えば修繕可能
サイディングボードの劣化にも程度があります。
例えば、サイディングが少し反り返っている程度であれば、ご自身でビスを打ち付けるだけで修繕することもできるのです。
直ぐに業者を呼んで補修するのではなく、症状を見ながら修繕できるものは自分で修繕してコスト削減に努めましょう。
おしゃれで長持ちするサイディングボードを選ぼう!
この記事ではサイディングボードにまつわる基礎知識をまとめてみました。
外壁リフォームする時は、どんなサイディングボードにしたら良いのか、デザインや種類、また、将来のメンテナンスのことまで考慮しながら選んでいきましょう。