光触媒塗料とはどんなもの?性能・コスト・導入するときの注意点について解説

    光触媒塗料とは、家の外壁を汚れから守り、メンテナンスの費用や手間を削減できる次世代塗料のことです。

    一方でまだ開発されてから日が浅いこともあり、実績や情報が足りていないなどの不安要素もあります。

    光触媒塗料を取り入れる場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

    この記事では、塗料選びや外壁リフォームを検討している人向けに、光触媒塗料の特徴や性能、メリット・デメリットなどについて解説します。

    光触媒塗料とは

    光触媒塗料は、壁に塗ることで日光が外壁についた汚れを分解して浮かせるという画期的な塗料です。

    浮いた汚れは雨が洗い流す「セルフクリーニング効果」があるため、メンテナンスの手間が省けます。

    また、塗布するだけで空気清浄効果やヒートアイランド現象の抑制にも役立つなど、環境にも配慮されています。

    まだ開発されて年月が浅いためデータの少ない塗料ではありますが、その優れた機能性に住宅業界・建設業界が注目。

    光触媒塗料を検討する人は多く、エコや環境に優しい素材が重視される時代において、今後も需要は広まっていくと予想できるでしょう。

    光触媒塗料のメリット

    光触媒塗料が注目される理由は、今までの塗料にはない高性能なクリーニング機能が備わっているためです。

    詳しい性能について一つずつ見ていきましょう。

    汚れに強く耐久力が高い

    光触媒塗料は、塗布をすることで酸化チタンという物質を発生させます。

    酸化チタンは紫外線を浴びて活性酸素を生み出し、その活性酸素が壁の汚れを分解するという仕組みです。

    また、光触媒塗料は親水性塗膜を張るため、水分が留まりにくい特性もあります。

    活性酸素によって外壁表面に浮かび上がった汚れが雨水によって自動的に落ちていくため、光触媒塗料が汚れに強いとされている理由の一つにもなっています。

    空気清浄効果

    光触媒塗料には、空気清浄効果もあります。

    たとえば株式会社ピアレックステクノロジーズから販売されている「ピュアコート」は、1,000平方メートルの施工面積で、空気清浄効果の高いポプラの木約100本分と同じ効果を発揮します。

    塗布をした建物だけでなく周りの空気まで浄化するため、光触媒塗料を導入する建物が多ければ多いほど、空気清浄の範囲が広がります。

    光触媒塗料が一般化すれば、環境問題の一つである空気汚染の減少が期待できるでしょう。

    メンテナンス費用を削減

    光触媒塗料の耐久年数は20年と言われています。

    外壁塗装の塗り替えは一般的に10年が目安とされているため、その倍に相当する耐久年数を誇っています。

    一般的な塗料に比べてメンテナンスの間隔が短くて済むため、トータルコストの削減に大きく役立つでしょう。

    ただしまだデータが少ないため、あくまでも目安の期間として認識しておくのが良いです。

    塗料によっては遮熱効果も期待できる

    光触媒塗料によっては、遮熱効果も期待できます。

    たとえば過去にTOTO株式会社が販売していたハイドロテクトコート、現行で販売されている株式会社ピアレックステクノロジーズのピュアコートANプラスは、太陽光を反射する機能を持っています。

    家の壁が太陽熱を溜め込まなければ、夏の期間も快適な温度で過ごすことができます。

    日中の気温差を抑えることでエアコン代の削減にも繋がるでしょう。

    光触媒塗料のデメリット

    このように高性能な光触媒塗料ですが、当然デメリットも存在します。

    特に金額・性能面で注意すべきポイントが多々あるため、一つずつチェックしておきましょう。

    初期費用がかかる

    光触媒塗料の費用は、通常の塗料より1.5倍ほど高くなります。

    初期費用が高くなるので、ほかの塗料と比較したときに思わず躊躇してしまうケースが多いです。

    しかしメンテナンス費用が削減できることから、長期的に見れば金額に大きな差は出ないと考えられます。

    選択肢が少ない

    光触媒塗料は取り扱いメーカーが少なく、選択肢の幅が狭いです。

    酸化チタンの色が白系統に限定されるため、色のバリエーションも少なめ。

    塗料を選ぶ楽しさが少ないことは確かでしょう。

    また、屋根用の光触媒塗料はないため、壁と屋根を一緒の色・素材でリフォームするという選択も難しいです。

    もし屋根と壁を同時にリフォームする場合、屋根は別の塗料にしつつ光触媒の耐用年数に合わせたグレードを選ばないと、メンテナンスの時期にズレが生じます。

    その結果、足場をリフォームのたびに組み立てる必要がでてしまい、トータルコストが高くなります。

    ひび割れしやすい

    光触媒塗料は、従来の塗料に比べてひび割れしやすいという特徴もあります。

    塗料は乾燥すると表面に「塗膜」という薄い膜ができます。

    光触媒塗料はこの塗膜が堅くなっているため、シーリングの伸び縮みでひびが入りやすいのが原因です。

    汚れが付着することもある

    光触媒のセルフクリーニング効果はとても便利ですが、その機能を発揮できないケースもあります。

    たとえば光触媒の源である太陽光がない場所では、光触媒反応が発生しません。

    仮に光触媒が十分でも、雨のあたらない場所では汚れを落とすことは不可能です。

    太陽光と雨の条件が揃った場所でのみ、初めてセルフクリーニング機能が発揮されると覚えておきましょう。

    光触媒塗料の平均費用

    光触媒塗料の平均費用は、塗料と施工代(足場含む)で一坪あたり3~4万程度が相場と言われています。

    30坪の家であれば、90~120万円程度になります。もちろんこれはあくまでも目安なので、施工業者や家の状態によっても金額は変わります。

    安易に120万円以上だから悪徳、90万以下だから良心的とも限らないため、実際に依頼するときには注意しましょう。

    光触媒塗料選びの注意点

    光触媒塗料はまだ実績が浅いため、施工をする側・される側双方が知識として知っておかなければいけないことがあります。

    特に下記で紹介する項目はよくチェックしておきましょう。

    100%汚れないとは思わない

    光触媒塗料は日光と雨の条件さえ整えば、セルフクリーニング効果を発揮します。

    しかし、セルフクリーニングができるのは一部の汚れのみ。

    鳥のフンや金属のサビ、泥汚れなどには作用しません。

    これらの点を踏まえると、「まったくお手入れが不要」ということはないため、施工業者がアピールする「お手入れをしなくても大丈夫」という言葉を鵜呑みにしすぎないようにしましょう。

    実績が豊富な業者を選ぶ

    「ピアレックス」など一部の光触媒塗料は、メーカーが認めた「認定施工店」でなければ施工が許されていません。

    光触媒塗料は通常の塗料と施工方法が異なるため、当然塗装には相応の技術が必要になります。

    依頼する場合は認定施工店に指定されている工務店の中から、光触媒塗料の実績が豊富な会社を選んだほうが安心です。

    DIYでやろうとしない

    塗装技術が必要な光触媒塗料をDIYでやるのはとても危険です。

    塗装手順を間違えれば光触媒の効果が得られないばかりか、高い位置の塗装によって転落の危険性もあります。

    普通の塗料と同じ感覚で考えるのは危険なので、必ず専門の施工会社に依頼をしましょう。

    光触媒塗装は慎重に選択しよう

    光触媒塗料はまだ塗装実績が少なく、塗ってから数十年経過した家は少ないです。

    そのため、実際の不具合やリスクなどの情報を集めるのが困難な側面もあります。

    塗料を選ぶときはコスト感も含めて慎重に判断しましょう。

    また、依頼をする施工会社との信頼関係も非常に大切です。

    光触媒塗料で失敗しないように、事前知識をしっかりと収集してから検討するのがおすすめです。