住宅ローンには、契約通りに返済するだけではなく、手元資金を残高の返済に回して、一部繰り上げ返済することも可能です。
繰り上げ返済により、返済期間を短くできるなど、本来支払わなければならない利息を大幅にカットできる、また当面の毎月返済額を少なくできるといったメリットがあります。
今回は繰り上げ返済に当たって気をつけるべきポイント、繰り上げ返済の種類などについて解説していきます。
目次
そもそも繰上げローン返済って何?
そもそも住宅ローンの繰り上げ返済というのは、
毎月の返済額とは別に、住宅ローンの一部または全額を返済することができる仕組みです。
繰り上げ返済を行うことで、はじめの予定より返済期間が短くできたり、総返済額が少なくできたり、毎月の返済額を減らしたりできます。
住宅ローンの返済が始まってからも、しっかりと家計管理して貯蓄を進め、ある程度まとまったところで繰り上げ返済し、できるだけ早く返済を終え、総返済額を少なくしていきたいですよね?
ここ数年は多くの金融機関で、繰り上げ返済の手数料は無料になってきている状況ですが、まだ手数料がかかることもあるので、事前に確認の必要がありますのでご注意ください。
繰上げ返済の種類
繰上げローンの返済には大きく2つの種類がございます。
返済期間短縮型
1つ目は返済期間短縮型というのは、毎回の返済額は変えずに、残りの期間を短縮するタイプの繰り上げ返済です。
繰り上げ返済する資金をすべて元金に充当し、それに相当する期間だけ残りの返済期間を短縮するため、その分の利息支払いをカットできることになります。たとえば、繰り上げ返済額が5回分の返済額の元金に相当する場合、その5回分だけ返済期間は短くなり、さらにその期間に支払うはずだった利息もカットできることになる。
簡単にいうと返済金額の先払いです
設定:借入額3000万円、35年元利均等・100万円を一部繰り上げ返済した場合
1年後 | 3年後 | 5年後 | ||||
カットできる利息 | 短縮できる期間 | カットできる利息 | 短縮できる期間 | カットできる利息 | 短縮できる期間 | |
1% | 約39万円 | 16カ月 | 約36万円 | 16カ月 | 約34万円 | 15カ月 |
2% | 約94万円 | 19カ月 | 約86万円 | 18カ月 | 約79万円 | 18カ月 |
3% | 約167万円 | 23カ月 | 約153万円 | 21カ月 | 約139万円 | 20カ月 |
返済額軽減型
2つ目の返済額軽減型は、残りの返済期間を変えず、毎回の返済額を少なくしていくタイプの繰り上げ返済です。
例えば、その時点のローン残高が1500万円で、100万円を繰り上げ返済するとすれば、そこから100万円を差し引いた1400万円を残高として、残りの返済期間や金利をあてはめて返済額を再計算されることになります。
繰り上げ返済する金額にもよりますが、毎月の返済額を数千円〜数万円分も軽くすることが可能で、その上、本来支払うべき利息も一定額軽減できる効果があります。
設定条件:借入額3000万円、35年元利均等、100万円を一部繰り上げ返済
1年後 | 3年後 | 5年後 | ||||
カットできる利息 | 月々の返済減少額 | カットできる利息 | 月々の返済減少額 | カットできる利息 | 月々の返済減少額 | |
1% | 約18万円 | 2898円 | 約17万円 | 3051円 | 約34万円 | 3224円 |
2% | 約38万円 | 3385円 | 約35万円 | 3534円 | 約79万円 | 3703円 |
3% | 約59万円 | 3919円 | 約56万円 | 4061円 | 約139万円 | 4224円 |
住宅ローンの繰上げ返済を行う上で注意するべきこととは?
繰り上げ返済の効果をより高めるには、次のような点を挙げることができます。
繰り上げ返済は金利が高い時期ほど効果が絶大
繰り上げ返済の効果は住宅ローンの金利によっても大きく変わってきます。
結果から言うと、金利が高いほど繰り上げ返済の効果が大きく、金利が低いほど効果は小さくなっていきます。
ですから
複数のローンを抱えている場合、金利の高いローンから繰り上げ返済を実施していくのが得策と言えます。
例えば、借り入れ額3000万円で返済開始3年後に期間短縮型で100万円繰り上げ返済する場合、金利1%だとカットできる利息は36万円ですが、これが金利2%だと86万円になり、さらに3%だと153万円に増えます。金利が高ければ高いほど効果が倍増するので、金利動向には常に注目しておきましょう。
借り入れ残高が多いほど住宅ローンの軽減効果は大きくなる
先に述べた実行時期を早めることともつながりますが、ローンの残高が多いほど繰り上げ返済の効果が大きくなる点にも注目すべきです。
複数のローンがある人なら、残高の多いほうから繰り上げ返済するほうが、効果が大きくなる可能性が高いです。
1本のローンであれば、先述したようにできるだけ早い、ローン残高が多い時期のほうが、軽減できる金額が大きくなります。
繰上げ返済を行う前に住宅ローン控除を見直そう
ここまで繰上げ返済の話をしてきてなんですが、、
繰上げ返済の前に住宅ローンを控除を見直し繰り上げ返済自体をが必要かどうか検討することも大切です。
住宅ローン控除とは、「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる制度の通称です。
https://finance.recruit.co.jp/article/k017/
マイホームをローンで購入した場合において、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される制度のことをいいます。
住宅ローン控除を利用することで、住宅を購入する際の経済的な負担を軽減することができます。
住宅ローン控除は「控除」ですので、本来納めるべき税金から差し引かれることを意味し支払う金額そのものを減らすことができますので、
知らなかったという方はぜひ活用していきましょう。
家計が苦しくならないように具体的な返済シュミレートをすることが大切
このように、住宅ローンの繰り上げ返済には大きなメリットがある一方、
無理しすぎて手元資金の余裕がなくなり、ローンの延滞が発生といった事態になっては本末転倒です。どんな場合にでも、常に一定の手元資金は残しておく必要があります。
万が一の場合、退職や病気、ケガなどで収入が減ったり無くなったりしても、半年程度は生活していけるだけの資金は手元に残しておく必要があります。
当初からしっかりと計画を立て、住宅ローンの返済をしながらも着実に貯蓄を増やしていくこと、3年に1度など、一定額の余剰金ができたら繰り上げ返済していくなどの計画性がほしいところです。
一昔前は、繰り上げ返済には一定の手数料が必要で、繰り上げ返済を繰り返すと手数料でかえって損するといったことがあり、
また繰り上げ返済の最低単位を100万円からとする金融機関もあって、
何かと使い勝手が悪かったのが実情でしたが、最近ではネット上で手続きできるところも多く、手数料無料かつ少額から可能な金融機関が増えていることから利用者も増加傾向にあります。
住宅ローンは正しくシステムを活用することで10年ぐらい返済期間を短縮することが可能です。
そのためには、いつごろ、いくら繰り上げ返済すれば何年短縮できるなどといった具体的な目標を立てる必要があります。
そうすることで普段の仕事にも精が出て、節約するやりがいというものが自然と身についてくるのではないでしょうか?
正しい知識をみにつけて賢く住宅ローンと向き合っていきましょう。